円満廃業を目指したい!会社VS従業員を回避する為の7つのポイント

頭を抱える

廃業させることになったが、従業員にはなんと伝えたらいいのだろう?
尽くしてきてくれた従業員と争いになるのは心苦しい…

会社を廃業させなければならなくなった時、経営者は従業員に解雇を言い渡さなければなりません。
解雇は生活に重大な影響を与えてしまうため、会社に尽くしてきてくれた従業員に解雇を言い渡すことは、とても心苦しい事かと思います。
少しでも円満な解雇のためには、しっかりと準備をしてから解雇を告げる必要があります。
この記事では、トラブル回避のための下記の7つのポイントをご紹介していきます。
一緒にこの苦境を乗り越えましょう。

ポイント1:「廃業に伴う解雇」をするときに守らければならないルール
ポイント2:「廃業に伴う解雇」の特徴
ポイント3:「解雇」の2つの要件
ポイント4:「廃業」が決まったら準備しておきたいこと
ポイント5:「廃業に伴う解雇」で起きやすい2つのトラブル
ポイント6:「廃業」を回避して、従業員を守る手段
ポイント7:「廃業」を選択する前にしたいこと

「廃業に伴う解雇」をするときに守らければならないルール

就業規則会社が廃業すると告げられた時、従業員が真っ先に心配するのは今後の収入についてです。今の収入が無くなり、再就職しても給与や待遇がどの程度のものになるのかわからず、とても不安な気持ちになります。また不安な気持ちになると、攻撃的な考えに陥りやすく、怒りの矛先が会社に向けられる可能性があります。
「どうしてくれるんだ!?何か補償はあるのか!!」と補償を求める声が挙がることもあると思います。
では、実際に会社が従業員を解雇する時に、最低限守らなければいけないルールはどんな内容なのでしょうか?

「解雇予告」とは

労働基準法第20条では「解雇予告」という取り決めがあります。
「解雇予告」とは、解雇するにはあらかじめその予告をしておかなくてはならないというルールです。具体的には次の2つのうち、どちらかの措置をとらなければならないという定めがあります。

(1)解雇予告:少なくとも解雇の30日よりも前に、解雇の予告をすること。
(2)解雇予告手当の支払い:解雇の予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うこと。

つまり、急に「明日で廃業です」と告げたとしても、少なくとも30日間は雇い続けなければならず、もし「廃業のため、明日からは来なくていい」と従業員に告げた場合には、少なくとも30日分以上の平均賃金にあたる解雇予告手当を支払わなければなりません。
ただ、急に「もう来なくていい」と言われた場合、従業員の反発心も強くなりやすいと思いますので、廃業の日程が決まったら速やかにスケジュールを立て、解雇の30日以上前に予告できることが望ましいでしょう。

「解雇」は主に種類

従業員の解雇は、普通解雇・整理解雇・懲戒解雇種類があり、「廃業に伴う解雇」の場合は「整理解雇」に位置付けられます。ここでは整理解雇の特徴について簡単にご紹介します。

「整理解雇」とは

整理解雇とは,経営上の理由による人員削減として行われる解雇をいいます。
裁判所は,整理解雇の適法性について以下の4つの要素を総合評価して解雇の有効性判断する傾向にあります

(1)人員削減の必要性
倒産寸前に追い込まれている、整理解雇をしなければならないほどの経営上の必要性が客観的に認められること。

(2)解雇回避の努力
配置転換、出向、希望退職の募集、賃金の引き下げその他、整理解雇を回避するために、会社が真摯な努力を尽くしたこと。

(3)人選の合理性
勤続年数や年齢など解雇の対象者を選定する基準が客観的で合理的なもので、かつ、基準に沿った公正な運用が行われていること。

(4)手続きの妥当性
整理解雇の必要性やその時期、方法、規模、人選の基準などについて、労働組合や労働者と十分に協議をし、納得を得るための努力を尽くしていること。

もっとも、廃業に伴う解雇の場面では、上記整理解雇の考え方がそのまま適用にはならず、いろいろな裁判例があります。経営者が廃業することの自由を認め、それに伴う解雇を原則有効とする考え方もあり得るところです。
しかし、一般的には解雇を原則有効とはせずに、廃業の合理性や労使交渉の状況を考慮して解雇の有効性を判断する傾向にあると思われます。そのため、経営者は従業員に対する誠意を示す必要があります。

「解雇」するための2つの要件

解雇予告をしたからと言って、必ず解雇予定日に解雇できるわけではありません。解雇自体が、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には解雇権を濫用したものとして、解雇が無効とされることになります。また、従業員から不当解雇だと訴えられる可能性もあります。トラブルを防ぐためには,解雇が正当である事を従業員に示す必要があります。
では具体的に「客観的に合理的な理由があること」「社会通念上相当であること」とはどのような要件なのでしょうか?

「客観的に合理的な理由があること」とは

一般的に解雇時における「客観的に合理的な理由」とは以下のような類型に分けられます

①労働者の労務提供の不能や適格性の欠如・喪失
例1)会社が十分な教育や指導をしても向上の見込みがない場合
例2)病気やけがなどで、休職期間を満了しても復帰が困難であると判断される場合

②労働者の義務違反や規律違反行為
例1)故意・過失により業務上重大な事故を起こした場合
例2)コンプライアンス遵守の観点から逸脱行為をした場合

③会社の経営上の問題
例1)経営不振により廃業を行う場合 等

「解雇が社会的に相当であること」とは

社会通念上,解雇が相当であると認められることですが,裁判所は,解雇の社会的相当性については、従業員に有利事情を考慮したり,解雇以外の対応を求めたりするなどして社会的相当性をなかなか認めない傾向にあります

廃業が決まってから従業員に告げるまでに準備しておきたい3つのこと

廃業により従業員を解雇する場合のリスクを下げるためには、誠意をもって従業員に向き合い、できる限り不安を取り除いてあげなければなりません。具体的な誠意をもった対応とは、次のような措置をとる事です。

十分な退職金の用意

第一に、お金が無くなる不安から解放するために、十分な退職金を用意しておけることがあげられます。退職金規定がある場合は、規定に沿った金額から割増しで退職金を支払うことが望ましいでしょう。また、退職金規定が無い場合でも、退職金相当の一時金を用意してあげられると良いでしょう。

退職金の用意ができない場合には「未払賃金立替払制度」を利用しよう

法人倒産などにより、賃金や退職金の支払いができない場合には、一定の条件のもと,「未払賃金立替払制度」を利用することができます。「未払賃金立替払制度」とは,使用者が倒産したために,賃金未払いのまま労働者が退職を余儀なくされた場合に、「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づき,独立行政法人労働者健康福祉機構がその法人に代わって,賃金の一部を労働者に支払うという制度のことです。

再就職先の斡旋

次に、仕事がなくなる不安から解放するために再就職先の斡旋を行えると良いでしょう。再就職支援サービス等を使用者側が用意して、スムーズに再就職にできるように支援できることが望ましいでしょう。使用者側が再就職支援サービスを用意する場合は、人材会社への委託費用を支払わなければなりませんが、従業員にとっては多くのメリットがあります。また、業務上可能であれば、就業中にも就職活動の許可を出して、面接に行かせてあげると、より反発が起きにくいかもしれません。

退職後の事務手続きを速やかに行う

ハローワークの登録や、失業保険の申請等、解雇後に労働者がしなければならないことはたくさんあります。できる限りスムーズに手続きできるように、使用者は早い段階で書類の用意・申請等を行っておけると良いでしょう。

「廃業に伴う解雇」で起きやすい2つのトラブル

にらみあい従業員に「解雇する」と伝えると、今まで通りの関係性ではいられなくなることが予測されます。多くの場合、従業員と使用者の関係は悪くなるでしょう。この章では、従業員との信頼関係が壊れてしまった時に起きやすい2つのトラブルについてご紹介します。

残業代の未払いなどで訴えられる可能性がある

日常的にサービス残業をさせていたり、勝手に従業員のタイムカードを切っていたりした場合に、残業代の未払いなどで訴えられる可能性があります。廃業の手続きで忙しい時に、訴訟の対応まですることにならないよう、普段から会社内で法令順守を浸透させ、常に正しい賃金支払いを徹底しましょう。

「独自技術」「ノウハウ」等がライバル会社に流出してしまう

会社が長い年月をかけて培ってきた「独自技術」や「ノウハウ」は、会社とともに成長してきた従業員の中にも培われています。従業員の再就職先は同業他社であることが多いので、ライバル会社に技術が流出してしまう可能性があります。「廃業するし、他の会社で技術を生かしてくれるならうれしい」という事であれば問題ないかと思いますが、廃業後も「独自技術」を活用する予定なら、技術の流出は大きな痛手となる可能性があります。

廃業を回避して、従業員を守る手段「事業承継」について

握手どんなに誠意をもって対応しても、廃業により解雇されると従業員の生活は一変してしまいます。もし会社に「独自技術」や「ノウハウ」があるのなら、解雇を回避する手段として、「事業承継」を選択できる可能性があります。「事業承継」とはその名前の通り、事業を後継者に引き継ぐことです。この章では「事業承継」を行った場合の経営者と従業員のメリットについてご紹介します。

経営者にとってのメリット

  • 従業員解雇のためのコストやリスクを負う必要がなくなる
  • 従業員の雇用が守られる
  • これまで長い間蓄積してきた技術やノウハウが伝承される

従業員にとってのメリット

  • 雇用が守られ、安心して働くことができる
  • これまで培った技術がそのまま活かせる
  • 場合によっては経営者としての道が拓けることがある

「廃業」を検討し始めたら、「経営相談」が得意なMIRAIOに相談してみよう!

経営困難な状態に陥っても「廃業」以外の選択ができれば、経営者にとっても従業員にとっても多くのメリットをもたらします。「廃業」の手続きを始める前に一度「経営相談」の専門家に相談してみてはいかがでしょう?
法律事務所MIRAIOでは「事業承継」「M&A」「助成金申請」などの「経営相談」を得意とする弁護士が、無料で相談を受け付けております。法律事務所MIRAIOは、総合法律事務所として20年以上にわたってさまざまなご相談をお受けしてまいりました。相談実績は38万件以上、債務整理の解決実績に関しては15万件以上の法律事務所です。是非一度あなたのお悩みをお聞かせください。きっと解決への第一歩につながるはずです。

【さいごに】

会社を廃業させるという事は、経営者にとっても従業員にとっても、人生にかかわる重大事件です。円満な廃業を望むには、従業員にとっての不利益を減らしてあげることが肝心です。最後にこの記事の重要ポイントをおさらいしてみましょう

【1】「廃業に伴う解雇」をするときには、2つのうち、どちらかをしなければならない
(1)解雇予告
(2)解雇予告手当の支払い

【2】「廃業に伴う解雇」は「整理解雇」に位置付けられる。解雇以下の種類ある
(1)普通解雇
(2)整理解雇
(3)懲戒解雇

【3】「解雇」するためには2つの要件がある
(1)客観的に合理的な理由があること
(2)解雇が社会的に相当であること

【4】「廃業」が決まったら3つの用意をしておこう
(1)退職金の用意
(2)再就職斡旋会社の紹介
(3)書類の用意

【5】「廃業に伴う解雇」をするときには2つのトラブルが起きやすい
(1)未払い残業代等で訴えられる
(2)技術等の漏洩

【6】「事業承継」は経営者・従業員双方にメリットがある
経営者:①コスト削減 ②従業員を解雇させずにすむ ③技術の伝承
従業員:①雇用が守られる ②技術が活かせる ③昇進の可能性

【7】「廃業」の前には専門家に相談しよう
(1)MIRAIOは初回相談料無料
(2)「経営相談」を得意とする弁護士がそろっている

最後までお読みいただき、ありがとうございました。