法人破産で役員が責任を負う場合や役員破産時の法人への影響を解説

頭を抱える

「自分は法人の役員だが,自己破産して会社になにか影響はないだろうか」
「自分が役員をしている会社が破産しそうだが,自分になにか影響がないだろうか」
といったことが疑問ではないでしょうか。

実は,法人の役員が自己破産すると,一度法人の役員を退任することになりますが,すぐに再任できるため大きな問題はありません。しかし,法人が破産する際に役員に責任追及されることがあります。

この記事では

  • 法人の役員が自己破産した場合の役員の地位への影響や対策
  • 法人が破産した場合の役員への影響

について解説します。

この記事を読み終えていただければ,役員が自己破産した場合の地位や,法人が破産した場合の役員への影響について理解できるでしょう。

役員が自己破産する場合には役員を一度退任することになる

社長に謝罪

法人の役員が自己破産をする場合には,自己破産の開始決定により一度役員を退任することになります。法人と役員との関係は,従業員のような雇用契約ではなく委任契約であり,委任契約は,委託者又は受任者が破産手続開始の決定を受けることにより終了することになるからです(会社法第330条民法第653条第2号参照)。なお,ここでいう「役員」には,取締役だけでなく,会計参与や監査役も含みます(会社法第329条)。

また,持分会社(合名会社,合資会社,合同会社)の社員については,社員の破産手続開始の決定が法定退社事由とされているため,社員の自己破産の開始決定により,一度社員を退社する必要があります(会社法第607条第1項第5号)。

なお,役員を一度でも退任したくないという場合には,自己破産ではなくて個人再生や任意整理を選択するという方法により,退任を回避することが可能です。

役員を一度退任しても再任することは可能

役員が自己破産の開始決定を受けることにより,委任関係が終了し,役員は一度退任することになりますが,退任した役員をすぐに株主総会の決議により役員に再任させることは可能です。役員の自己破産の免責確定を待つ必要はありません。

なお,会計参与については,会計参与になれる資格が「公認会計士」や「税理士」であり,これらの資格は破産手続き開始の決定を受けた後,復権を得た後に取得できるため,会計参与であった者を自己破産手続き中に再任することはできないことになります。

Column 旧商法時代の規制

旧商法の時代には,「破産手続開始ノ決定ヲ受ケ復権セサル者」は取締役になることができなかったため,取締役の自己破産の免責決定が確定するまでは,取締役に再任することはできませんでした(旧商法第254条の2第1項第2号)。もっとも,現行会社法では破産手続開始決定のみが法人と取締役の委任契約の終了事由となっているだけですので,取締役の免責決定を待たずに再任できます。

 

過去に破産していたとしても役員になれる

過去に自己破産の経験がある者であっても役員に選任することはできます。上述したように,現行法では役員の自己破産については委任関係が終了するという意味において役員の地位に影響するのであり,その他過去に自己破産歴があったとしても役員の就任資格には影響がないからです。

なお,自己破産以外の役員の資格制限事由については,下記の各法条に記載があります。

参考条文
会社法第331条(取締役の資格等)
会社法第333条(会計参与の資格等)
会社法第335条(監査役の資格等)

法人が破産する際に役員が責任を負う場合がある

頭を抱える
Team of unhappy businesspeople sitting in business meeting./strain meeting

法人が破産することになったとしても,直ちに役員が破産に際して経営責任を問われるわけではありません。経営が失敗して破産する場合に常に結果責任を求められると,役員は経営を委縮してしまうからです。

もっとも,役員は会社に対して善管注意義務・忠実義務を負っているところ,一定の不当な行為を行っていた場合には,法人破産に際して会社や株主,第三者から責任追及されることがあります。

また,役員が法人の債務を「保証」していた場合には,保証債務を履行しなければならなくなるという点で影響を受けます。

なお,これら責任についてはこちらの記事で詳しく解説していますので,こちらの記事を参照してください。

「法人破産時は代表者も破産リスクあり!その対策と代表者が負う責任」

役員の責任査定裁判申立て制度

役員責任査定の制度とは,破産管財人の申し立てまたは裁判所の職権により,破産する会社の役員に損害賠償の支払いを命じる制度,です。

通常であれば,役員の責任に基づく損害賠償請求については,破産管財人が通常訴訟を提起してその責任追及をしていくことになるので決着に時間がかかるのに対し,この制度では責任追及を簡単な手続きで終わらせることができます。

なお,実際には中小企業の法人破産案件では,法人と同時に役員個人も破産していることが多く,役員に支払い能力がないことが多いため,この制度はあまり利用されていません

参考条文
破産法第178条(役員の責任の査定の申立て等)

法人の役員の破産についての相談は法律事務所MIRAIO

法人の役員が破産をする場合には,役員を一度退任しなければならないが,すぐに再任できるので大きな問題はありません。もっとも,自己破産以外の債務整理の方法(任意整理や個人再生)であればそもそも役員を一度も退任する必要はありません。自分が破産しなければならないのか,他の解決方法がないのかについては,法律の専門家であり,かつ債務整理に精通している弁護士に相談するのが良いでしょう。

法律事務所MIRAIOでは,10年以上債務整理の業務を行っており,債務整理については15万件以上の解決実績を有しており,豊富な経験と実績があります。

法人の役員の方で債務整理をお考えの方は,まずは法律事務所MIRAIOにご相談ください。

また,自身が役員となっている法人が破産しそうな場合にも,法律事務所MIRAIOであれば法人の破産の相談も承っておりますので,ご相談ください。

法律事務所MIRAIOのホームページはこちら

まとめ

いかがだったでしょうか。破産と役員の関係についてご理解いただけましたでしょうか。

この記事をまとめますと

  • 法人の役員が破産する際には,一度役員を退任することになる
  • 退任後,すぐに役員に再任することは可能
  • 法人が破産する際に,不当な行為をしていた役員の責任を追及される可能性がある
  • 法人が破産する場合に,役員の責任査定の申立て制度が存在する

となります。

もっとも,実際に役員若しくは法人が破産を検討している際には,その両者の関係にとどまらず,他の問題が生じていることも多いため,早期に専門家に相談することをおススメします。