【B型肝炎訴訟】母親死亡でも大丈夫!母子感染を否定する4つの方法

疑問を解決するパズル
不安げな男性

母親は10年以上前に死亡しているから、いまさらB型肝炎訴訟なんて無理かなあ・・・

そんなことはありません!あきらめるのはまだ早いですよ!

確かに、B型肝炎訴訟では、集団予防接種が原因でB型肝炎ウイルスに感染した方が対象となりますので、母子感染を否定する必要があります。

そのため、原則は母親の血液検査が必要なのですが、母親が死亡している場合には、いくつかの代替手段が用意されているのです。

ここでは、母親が死亡している場合に、母子感染を否定するための方法や必要書類、手続き上の注意点を詳しく解説します。

B型肝炎訴訟ってなに?給付金の対象者は?

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染することによって起こる肝臓の病気です。

B型肝炎ウイルスは、血液などの体液を介して感染し、主な感染経路は、母子感染(出産前後に、母親から胎児や出生児に感染すること)、父子感染などの家族内感染、輸血、性行為、医療上の針刺し事故などがあります。

また、集団予防接種、内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ)、ピアスの穴開け、入れ墨、覚せい剤使用などの際に、消毒が不十分な器具を使用することにより、感染するケースもあります。

B型肝炎訴訟とは

B型肝炎訴訟とは、幼少期の集団予防接種等(予防接種またはツベルクリン反応検査)によって、B型肝炎ウイルスに感染した方などが、国に損害賠償を請求するための手続きです。

昔の集団予防接種等では、注射器(注射針や注射筒)の回し打ちが横行していました。そのため、子どもから子どもへとB型肝炎ウイルスの感染が拡がってしまったのです。

国は、このような事態を把握できたにもかかわらず、注射器の回し打ちを止めるよう適切な指導をしませんでした。そのため、国の過失が問われ、平成18年には最高裁判所の判決により国の賠償責任が確定しました。

平成24年1月には、B型肝炎の給付金制度が始まり、国による損害賠償は給付金という形で支給されることになりました。

給付金の金額は、B型肝炎の病状などに応じて、50万円から3600万円となっています。

B型肝炎給付金の対象者

B型肝炎給付金の対象者には、大きく分けて「一次感染者」「二次感染者」がいます。

「一次感染者」とは、幼少期の集団予防接種等により、直接、B型肝炎ウイルスに感染した人のことです。

「二次感染者」とは、一次感染者から母子感染(出生時に母親から感染すること)などにより、B型肝炎ウイルスに感染した人のことです。

詳しい対象者の条件については、次の記事をご確認ください。

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 2023.04.19

母親が死亡している場合、B型肝炎訴訟で母子感染を否定する方法

疑問解決

一次感染者として給付金を請求する場合、集団予防接種で感染したことを裏付けるため、まずは母子感染ではないことを証明する必要があります。

そのためには、「母親がB型肝炎ウイルスに持続感染していない」ということを証明しなくてはなりません。

原則は、母親に血液検査を受けてもらうのですが、母親が死亡している場合は、それは不可能です。
その場合、次の4つの方法があります。

  1. 母親の生前の血液検査結果を病院に開示してもらう
  2. 年長のきょうだいに血液検査を受けてもらう
  3. 年長のきょうだいの生前の血液検査を病院に開示してもらう
  4. 母親の生前の医療記録等、可能な限りの資料を提出する

母親の生前の血液検査結果を病院に開示してもらう

母親が死亡している場合は、生前に通院していた病院などに、当時の検査結果の写しを開示してもらいます。必要な検査結果は、次のとおりです。

【原則】
HBs抗原 陰性
HBc抗体 陰性もしくは低力価陽性(一定の値よりも低い数値の陽性)

【HBc抗体の血液検査結果が存在しない場合】
・80歳未満時点でのHBs抗原 陰性

原則は、HBs抗原とHBc抗体の両方の検査結果が必要なのですが、通常はHBc抗体の検査はされていないことがほとんどです。
その場合は、80歳未満時点のHBs抗原の検査結果だけで足ります。

ただし、検査結果などの医療記録は、母親が死亡してから5年経過すると廃棄されてしまっている可能性があります。その場合は、次の方法をとります。

年上のきょうだいに血液検査を受けてもらう

B型肝炎の検査

母親が死亡しており、必要な検査結果も残っていない場合には、母親を同じくする年上のきょうだい(兄、姉)の誰か1人に血液検査を受けてもらいます。

次のような検査結果が出れば、その年上のきょうだいはB型肝炎ウイルスに持続感染しておらず、母子感染していないということがわかります。

そして、同じ母親から生まれた年上のきょうだいが母子感染していないので、請求者本人も母子感染ではない、ということが証明できるのです。

なお、検査を受けるのは、誰か1人だけでよく、年上のきょうだい全員が受ける必要はありません。

・HBs抗原 陰性
・HBc抗体 陰性もしくは低力価陽性(一定の値よりも低い数値の陽性)

なぜ年下ではなく、年上のきょうだいの血液検査が必要なのか?
なぜ、年下ではなく、年上のきょうだいの血液検査が必要なのかというと、同じ母親から生まれたきょうだいでも、先に生まれた方が母子感染しやすく、後から生まれた方は母子感染しにくいためです。

B型肝炎ウイルスに感染していても、ウイルスは年齢とともに自然に少なくなっていきます。そのため、母親が若い時に生まれた子の方が、出生時に多量のウイルスにばく露することになり、より母子感染しやすくなるのです。

そのような事情があるため、仮に自分の年下のきょうだいがB型肝炎ウイルスに感染していないとしても、単に母親のウイルス量が年齢とともに減ったことによって、運よく母子感染しなかっただけであって、母親がB型肝炎ウイルスに感染していなかったという証明にはなりません。

つまり、請求者本人が母子感染したのではないという証明にはならないのです。

そのため、請求者本人よりも、母子感染する可能性の高い年上のきょうだいが、B型肝炎ウイルスに感染していないということを示して初めて、母親はB型肝炎ウイルスに感染していなかった、つまり、本人は母子感染ではないということが証明できるのです。

年上のきょうだいの生前の血液検査を病院に開示してもらう

母親も年上のきょうだいも全員死亡していて、母親の検査結果も残っていない場合には、年上のきょうだいの生前の検査結果を病院に開示してもらいます。

必要な検査結果は、母親の時と同様で、次のとおりです。

【原則】
HBs抗原 陰性
HBc抗体 陰性もしくは低力価陽性(一定の値よりも低い数値の陽性)

【HBc抗体の血液検査結果が存在しない場合】
・80歳未満時点でのHBs抗原 陰性

原則は、HBs抗原とHBc抗体の両方の検査結果が必要なのですが、通常はHBc抗体の検査はされていないことがほとんどです。その場合は、80歳未満時点のHBs抗原の検査結果だけで足ります。

ただし、検査結果などの医療記録は、年上のきょうだいが死亡してから5年経過すると廃棄されてしまっている可能性もあります。

母親の生前の医療記録等、可能な限りの資料を提出する

書類の山母親も年上のきょうだいも全員亡くなっていて、必要な検査結果も存在しない場合には、母親の生前の医療記録等、可能な限りの資料を提出するという方法もあります。

母親の医療記録などの資料から、客観的に見て、母親がB型肝炎ウイルスに持続感染していなかったということが確認できれば、母子感染ではないことを認められる可能性もあります。

ただし、これは極めて例外的な方法であり、必ずしもうまくいくとは限りません。いろいろな資料を集めては見たものの、肝心のB型肝炎に関しての確認はできないということもあります。

資料の収集や調査には、専門的な知識やB型肝炎訴訟についての経験が必須ですので、この方法を検討される場合は、必ず弁護士に相談するようにしましょう。

母親が死亡している場合のB型肝炎訴訟の注意点

B型肝炎訴訟において、母親が死亡している場合は、母子感染の否定だけでなく、次のような注意点があります。

  1. 母親と年上のきょうだいとの親族関係がわかる戸籍謄本が必要になる。
  2. 父親か年上のきょうだいに陳述書を書いてもらう。
  3. 母親の検査結果を開示してもらうときに、遺族(相続人)であることの証明が必要になる。
  4. 母親の死因が肝疾患である場合は、母子感染を疑われる可能性がある。

母親と年上のきょうだいとの親族関係がわかる戸籍謄本が必要になる

請求者本人と母親との親子関係、血液検査をしてもらう年上のきょうだいとの関係、そして、年上のきょうだいと実の母親が同じであることが確認できる戸籍謄本が必要になります。

もちろん、母親が死亡していること死亡日がわかる戸籍も必要です。

結婚などにより、請求者本人やきょうだいの名字が変わっている場合には、その変遷を確認するために、複数の戸籍謄本が必要になることもあります。

父親か年上のきょうだいに陳述書を書いてもらう

母子健康手帳や予防接種台帳等、集団予防接種を受けたことを示す資料が残っていない場合には、通常は母親に当時の状況を説明した陳述書を書いてもらいます。

母親が死亡している場合は、代わりに父親、父親も死亡している場合は年上のきょうだいにわかる範囲で陳述書を書いてもらう必要があります。

陳述書は、チェック式の書式になっていますので、それほど作成が難しいものではありません。

母親の検査結果を開示してもらうときに、遺族(相続人)であることの証明が必要

病院などに母親の生前の検査結果を開示してもらう場合、自分が母親の遺族(相続人)であることを証明するために、戸籍謄本などの書類が必要になります。

母親の死因が肝疾患である場合は、母子感染を疑われる可能性がある

請求者本人の医療記録(カルテ)などに、「母親が肝がんで死亡した」「母親はB型肝炎で死亡した」などと記載されている場合は、母子感染を疑われる可能性があります。

証拠として提出する医療記録に、そのような疑わしい記載がないかどうか、しっかりと確認するようにしましょう。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

B型肝炎訴訟で国に給付金を請求するためには、裁判所の手続きが必要です。
自分ひとりで手続きをすることもできますが、専門的なノウハウが必要ですので、手間や時間がかかります。スムーズに手続きするには、法律の専門家である弁護士に依頼する方がよいでしょう。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

訴状などの書類作成を任せることができる

給付金を請求するには、訴状や証拠一覧などの書類を作成しなければなりません。
これらは、裁判所に提出する書面ですので、法律の専門家である弁護士に任せた方が、迅速に、滞りなく作成することができます。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

必要書類収集のサポートを受けることができる

裁判所には、証拠資料となる血液検査結果や医療記録(カルテ)、公文書など、さまざまな書類を提出します。これらの必要書類を収集するには、医療機関や市区町村役場、場合によっては、卒業した小学校などとも、やりとりしなければなりません。
ご自身で、全てこのようなやりとりを進めると、かなりの労力を要しますが、弁護士がいれば、わからないときにアドバイスを受けたり、医療機関や役所への案内書を作成してもらったりすることができます。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

書類の精査により不備を防ぎ、迅速に給付金を受け取ることができる

集めた必要書類を、そのまま提出するだけでは、内容が間違っていたり、不足があったりします。完璧に集めたつもりでも、医療記録などの記載内容によって、新たな事実が判明し、追加書類を求められることもあります。
その点、弁護士がいれば、提出前に書類を隅々までチェックし、入念に精査しますので、極力、不足書類が出ないように準備することができます。その結果、給付金を受け取るまでの期間を短縮することが可能です。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

裁判所への出廷を任せることができる

裁判所には、平日の日中に出廷しなければなりませんが、普通に働かれている場合には、なかなか日程を調整するのが難しいのではないでしょうか。
弁護士に依頼していれば、弁護士が代理人として、代わりに裁判所に出廷してくれますので、ご自身で出廷する必要はありません。その結果、時間と労力の大幅な節約ができるでしょう。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

給付金の4%分が上乗せで支給される

弁護士に依頼して、手続きをした場合は、給付金の4%分が訴訟手当金として上乗せ支給されます。例えば、弁護士に依頼して、50万円の給付金が支給される場合は、その4%の2万円が上乗せされ、総額52万円が支給されます。

まとめ

B型肝炎訴訟で、一次感染者(集団予防接種で感染した人)として給付金を請求する場合、母子感染ではないということを証明しなければなりません。

母親が健在であれば、母親に血液検査を受けてもらえばよいのですが、母親が死亡している場合は、次の4つの方法があります。

  1. 母親の生前の血液検査結果を病院に開示してもらう
  2. 年長のきょうだいに血液検査を受けてもらう
  3. 年長のきょうだいの生前の血液検査を病院に開示してもらう
  4. 母親の生前の医療記録等、可能な限りの資料を提出する

また、母親が死亡している場合のB型肝炎訴訟の手続きにおいては、次の4点にも注意しましょう。

  1. 母親と年上のきょうだいとの親族関係がわかる戸籍謄本が必要になる
  2. 父親か年上のきょうだいに陳述書を書いてもらう必要がある
  3. 母親の検査結果を開示してもらうときに、遺族(相続人)であることの証明が必要になる
  4. 母親の死因が肝疾患である場合は、母子感染を疑われる可能性がある

いずれにしても、ノウハウが求められる手続きとなりますので、B型肝炎訴訟を行うには、経験豊富な弁護士に依頼することが一番です。

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