B型肝炎の治療費はいくら?医療費助成制度の対象や自己負担額は?

聴診器と計算機

B型肝炎を発症すると、抗ウイルス薬による長期にわたる治療が必要で、その治療費は高額になります。

この記事では、B型肝炎の治療法治療費の目安医療費助成制度について詳しく紹介していきます。

B型肝炎は完治する?感染の種類と治療法について

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染することで起こる肝機能障害をともなう肝臓の病気です。
感染には「一過性感染」と「持続感染」の2種類があり、それぞれ治療法が異なります。

B型肝炎ウイルスの感染の種類と治療法

一過性感染と治療法

一過性感染とは、感染状態が6か月未満の一時的な感染のことです。
免疫機能が確立した成人後(おおよそ思春期以降)に感染すると、20~30%の確率で急性肝炎を発症しますが、おおよそ2~3か月でウイルスが排除されて、ほぼ完治します。

急性肝炎の主な治療法は、安静にすることと食事療法です。

B型肝炎ウイルスの感染の種類と治療法

持続感染と治療法

持続感染とは、6か月以上にわたって感染状態が継続することです。
免疫機能が確立していない幼少期に感染すると、すぐにウイルスを排除することができず、90%以上の確率で持続感染者(B型肝炎キャリア)となります。
B型肝炎キャリアは、一生に渡ってウイルスを完全に排除することはできず、完治することは困難です。

B型肝炎キャリアは、症状が出ない(無症候性キャリア)ことがほとんどですが、10~15%の確率で慢性肝炎を発症します。

慢性肝炎を発症した場合は、抗ウイルス薬によって、肝炎を鎮静化し、ウイルスの増殖を抑制することで、肝硬変肝がんへの進行を防ぐことが治療の目的です。
抗ウイルス薬による治療法には、インターフェロン治療核酸アナログ製剤治療があります。

インターフェロン治療

インターフェロンとは、ウイルスに感染したときに体内で作られる物質のことで、ウイルスを排除したり、増殖を防いだりする効果があります。

現在使われているインターフェロン製剤は、ペグインターフェロンという製剤で、週1回のペースで、48週間にわたって注射で投与します。
ほぼすべての患者に、倦怠感、発熱、頭痛、関節痛などの副作用が現れます。

核酸アナログ製剤治療

核酸アナログ製剤とは、B型肝炎ウイルスの増殖を抑制する効果のある飲み薬です。
現在使われている主な製剤は、次の3種類です。

  • バラクルード(エンテカビル)
  • テノゼット(テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩)
  • ベムリディ(テノホビル・アラフェナミド)

副作用はほとんどありませんが、服用を中止することで肝炎が再燃するリスクがあるため、長期投与が必要です。

B型肝炎の治療費はいくら?医療費助成制度で負担を軽減しよう

入院費に悩む夫婦インターフェロン治療や核酸アナログ製剤治療は、薬代だけでも非常に高額で、さらに長期間継続する必要があるため、治療費は大きな負担となってしまいます。

例えば、核酸アナログ製剤のひとつの「ベムリディ」は、1錠で約1000円もします。1日1回服用しますので、1か月で約3万円となり、健康保険で3割負担になったとしても、薬代だけで月1万円ほどかかることになります。

そこで、国(厚生労働省)と都道府県は、患者の負担を軽減するために、インターフェロン治療核酸アナログ製剤治療に対して医療費助成を行っています。医療費助成を受ければ、毎月の医療費の自己負担額を最大でも2万円に抑えることができます。

B型肝炎治療の医療費助成制度

医療費助成の対象者と認定基準

B型肝炎の医療費助成の対象者は、次のすべての条件を満たす方です。

  • B型肝炎のインターフェロン治療、もしくは核酸アナログ製剤治療を要すると診断されたこと
  • 健康保険、国民健康保険などの公的医療保険に加入していること
  • 申請先となる市区町村に住所があること

インターフェロン治療と核酸アナログ製剤治療の医療費助成について、それぞれの認定基準は次のとおりです。

インターフェロン治療医療費助成の認定基準

B型慢性肝炎と診断をされたうえで、次の基準を満たす必要があります。

  • HBe抗原陽性でかつHBV-DNA陽性のB型慢性活動性肝炎で、インターフェロン治療を行う予定、またはインターフェロン治療実施中の者のうち、肝がんの合併のないもの
  • ただし、ペグインターフェロン製剤を用いる治療に限っては、HBe抗原陰性のB型慢性活動性肝炎も対象とする。

核酸アナログ製剤治療医療費助成の認定基準

B型慢性肝炎B型代償性肝硬変B型非代償性肝硬変と診断されたうえで、次の基準を満たす必要があります。

  • B型肝炎ウイルスの増殖を伴い肝機能の異常が確認されたB型慢性肝疾患で、核酸アナログ製剤治療を行う予定、または核酸アナログ製剤治療実施中の者

B型肝炎治療の医療費助成制度

医療費助成の対象となる医療

B型肝炎の医療費助成の対象となる医療は、次のとおりです。

  • インターフェロン治療および核酸アナログ製剤治療と、それらの治療に関する検査などで保険適用となっているもの
  • インターフェロン治療および核酸アナログ製剤治療による副作用に対する治療

医療費助成の対象外となる治療

次の治療や費用については、医療費助成の対象とはなりません。

  • インターフェロンの少量長期投与による治療
  • インターフェロンおよび核酸アナログ製剤による治療を中止して行う副作用の治療
  • 保険診療以外の費用(診断書料、室料差額など)

B型肝炎治療の医療費助成制度

医療費助成によって治療費の自己負担額はいくらになる?

B型肝炎の医療費助成を受けることにより、治療費の自己負担額上限は、下表のとおりとなります。

世帯全員の市区町村民税(所得割)の課税年額自己負担額の上限
235,000円未満月額10,000円
235,000円以上月額20,000円

例えば、世帯全員の市民税(所得割)の課税年額が15万円の場合、自己負担額上限は月額1万円となりますので、核酸アナログ製剤治療の治療費が月5万円かかるとしても、月1万円のみを負担すればよいということになります。

B型肝炎治療の医療費助成制度

医療費助成の期間

B型肝炎の医療費助成の期間については、申請書を提出した月の初日から1年間としている都道府県が多いです。
ただし、治療内容によっては期間が短縮される可能性もあります。

治療状況に応じて、医師が必要と認めれば、助成期間の延長や更新ができる場合もあります。

期間については、都道府県によって運用が異なっていますので、詳しくはお住まいの市区町村の窓口にお問い合わせください。

B型肝炎の医療費助成の申請方法

申請書B型肝炎の医療費助成の申請方法は、次のとおりです。
申請すれば必ず助成を受けられるわけではなく、各都道府県による審査が行われます。

B型肝炎の医療費助成の申請方法

医療費助成の申請先

申請先は、住所地を管轄する市区町村の窓口(保健所など)です。

B型肝炎の医療費助成の申請方法

医療費助成の申請に必要な書類

医療費助成の申請に必要な書類は、各都道府県によって異なりますので、詳しくは住所地の市区町村保健所などにお問い合わせください。

例えば、東京都の場合は、次のような書類が必要です。

  1. B型ウイルス肝炎治療医療費助成申請書
  2. B型ウイルス肝炎治療医療費助成に係る診断書
    ※東京都が指定する肝臓専門医療機関による診断書
  3. 住民票
    ※続柄と世帯全員が記載されており、発行から3か月以内のもの
  4. 健康保険証の写し
  5. 高齢受給者証の写し(お持ちの方のみ)
  6. 住民票に記載された世帯全員分の市区町村民税の課税状況を証明するもの
    ※満20歳以上の世帯員に関して、①市区町村民税の課税(非課税)証明書、②納税通知書(写し)、③決定通知書の写しのいずれか

B型肝炎の肝炎治療受給者証の交付と更新

医療費助成の申請が認められると、受給者証が交付されます。受給者証の名称は、都道府県によって異なりますが、一般的には「肝炎治療受給者証」などと呼ばれます。

各都道府県によって異なりますが、受給者証が交付されるまでには、申請から2か月ほどかかります。

助成対象となる医療を受ける際には、医療機関の窓口で受給者証を提示します。そうすれば、自己負担額上限を超える分は、公費が充てられますので、窓口で支払う必要はありません。

B型肝炎の肝炎治療受給者証

受給者証が届く前に支払った医療費はどうなる?

助成期間内であっても、受給者証が届く前であれば、自己負担額上限を超える医療費を支払う必要があります。
この場合には、住所地の市区町村に請求することにより、医療費の払戻しを受けることができます。
各都道府県によって異なりますが、払戻しされるのは、請求から2か月程度かかるようです。

B型肝炎の肝炎治療受給者証

受給者証の更新

受給者証の有効期間は、申請書を提出した月の初日から1年間としている都道府県が多いです。

ただし、核酸アナログ製剤治療の受給者証については、医師が治療継続が必要であると認めれば更新することができます。
その場合、有効期間が満了する2か月前までには、市区町村の窓口に更新申請書を提出するようにしましょう。

B型肝炎の治療中なら給付金がもらえるかも!病状進行したら追加給付金も!

2人の弁護士現在、B型肝炎の治療中の方は、B型肝炎訴訟によって給付金を受け取れる可能性があります。

給付金を受け取った後に、B型肝炎の病状が進行してしまった場合には、その病状に応じて追加給付金が支給される可能性もあります。

B型肝炎給付金とは?

給付金の対象者

給付金の対象者には、大きく分けて一次感染者二次感染者がいます。

一次感染者とは、幼少期の集団予防接種等により、直接、B型肝炎ウイルスに持続感染(感染状態が6か月以上継続していること)した人のことです。

二次感染者とは、一次感染者から母子感染(出生時に母親から感染すること)などにより、B型肝炎ウイルスに持続感染した人のことです。

それぞれの条件は次のとおりです。

一次感染者になる条件

  1. B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  2. 満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること
  3. 集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと
  4. 母子感染(母親からの感染)でないこと
  5. 父子感染(父親からの感染)でないこと
  6. 成人後感染でないこと
  7. その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと

二次感染者(母子感染)になる条件

  1. 母親が一次感染者の条件を満たすこと
  2. B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  3. 母子感染であること

B型肝炎給付金とは?

給付金の金額

給付金の金額は、B型肝炎の病状(病態)発症時期などによって異なります。
詳しくは下表をご覧ください。

病態発症時期・感染時期
直近1年の診断・治療歴
給付金の金額
死亡・肝がん・重度肝硬変死亡・発症から20年未満3600万円
死亡・発症から20年以上900万円
軽度肝硬変発症から20年未満2500万円
発症から20年以上
直近1年で肝硬変の診断があるか、特定の治療歴がある
600万円
発症から20年以上
直近1年で肝硬変の診断がなく、特定の治療歴もない
300万円
慢性肝炎発症から20年未満1250万円
発症から20年以上
直近1年で慢性肝炎の症状があるか、特定の治療歴がある
300万円
直近1年で慢性肝炎の症状がなく、特定の治療歴もない150万円
無症候性キャリア感染から20年未満600万円
感染から20年以上50万円

B型肝炎給付金とは?

B型肝炎の病状が進行したら追加給付金がもらえる

B型肝炎給付金を受け取った後に、病状が進行してしまった場合は、追加給付金を受け取ることができます。

追加給付金の金額は、進行した新たな病状(病態)で受け取れる給付金と、すでに受け取った給付金との差額となります。

例えば、発症から20年経っていない慢性肝炎で和解して、1250万円の給付金を受け取った後に、肝がんに進行してしまった場合は、肝がんの給付金3600万円との差額2350万円が追加給付金となります。

追加給付金について詳しい内容は、次の記事もご参照ください。

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 2023.04.18

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

B型肝炎訴訟で国に給付金を請求するためには、裁判所の手続きが必要です。
自分ひとりで手続きをすることもできますが、専門的なノウハウが必要ですので、手間や時間がかかります。スムーズに手続きするには、法律の専門家である弁護士に依頼する方がよいでしょう。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

訴状などの書類作成を任せることができる

給付金を請求するには、訴状や証拠一覧などの書類を作成しなければなりません。
これらは、裁判所に提出する書面ですので、法律の専門家である弁護士に任せた方が、迅速に、滞りなく作成することができます。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

必要書類収集のサポートを受けることができる

裁判所には、証拠資料となる血液検査結果や医療記録(カルテ)、公文書など、さまざまな書類を提出します。これらの必要書類を収集するには、医療機関や市区町村役場、場合によっては、卒業した小学校などとも、やりとりしなければなりません。
ご自身で、全てこのようなやりとりを進めると、かなりの労力を要しますが、弁護士がいれば、わからないときにアドバイスを受けたり、医療機関や役所への案内書を作成してもらったりすることができます。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

書類の精査により不備を防ぎ、迅速に給付金を受け取ることができる

集めた必要書類を、そのまま提出するだけでは、内容が間違っていたり、不足があったりします。完璧に集めたつもりでも、医療記録などの記載内容によって、新たな事実が判明し、追加書類を求められることもあります。
その点、弁護士がいれば、提出前に書類を隅々までチェックし、入念に精査しますので、極力、不足書類が出ないように準備することができます。その結果、給付金を受け取るまでの期間を短縮することが可能です。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

裁判所への出廷を任せることができる

裁判所には、平日の日中に出廷しなければなりませんが、普通に働かれている場合には、なかなか日程を調整するのが難しいのではないでしょうか。
弁護士に依頼していれば、弁護士が代理人として、代わりに裁判所に出廷してくれますので、ご自身で出廷する必要はありません。その結果、時間と労力の大幅な節約ができるでしょう。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

給付金の4%分が上乗せで支給される

弁護士に依頼して、手続きをした場合は、給付金の4%分が訴訟手当金として上乗せ支給されます。例えば、弁護士に依頼して、50万円の給付金が支給される場合は、その4%の2万円が上乗せされ、総額52万円が支給されます。

B型肝炎訴訟ならMIRAIOへ!

1 MIRAIOの実績(2023年3月末現在)

  • 相談件数 44,000件以上
  • 提訴件数 9,500件以上
  • 和解件数 8,900件以上
  • 獲得給付金 800億円以上

MIRAIOは、給付金制度が始まった平成24年当時から、他の事務所に先駆けて、B型肝炎給付金のご相談をお受けしてきました。その結果、上記のような豊富な実績が積み重なっています。
そして、多くの案件を扱うことで、さまざまなノウハウが蓄積され、迅速かつ的確な事務処理ができる体制が確立されています。

2 セカンドオピニオンもOK!他の事務所に断られた方のご相談もお受けします!

「他の事務所に相談したところ、給付金の対象外だと言われてしまった・・・」
このようなお問い合わせをいただくことがよくあります。
改めてMIRAIOでお話をお聞きすると、確かに困難なケースもありますが、調査によっては、まだまだあきらめるには早いと思われるケースも多くあります。
あきらめる前に、一度MIRAIOにご相談してみてください。

3 必要書類の収集をしっかりサポート!代わりに取得することも可能!

MIRAIOでは、必要書類収集のアドバイスや案内書の作成だけでなく、医療機関や役所と直接やりとりをして、代わりに書類を取得することも可能です。
特に、病院の医療記録(カルテ)や血液検査結果については、専門的な用語も多く、わかりにくいところがありますので、MIRAIOが直接、病院とやりとりをした方が圧倒的にスムーズに取得することが可能です。

4 医療過誤の相談実績7000件以上!医師との協力体制も

MIRAIOでは、B型肝炎給付金請求を手がける前から、医療過誤(医療ミス)に関する訴訟にも力を入れてきました。その相談実績は、7000件以上にのぼっています。
そのため、医療に関する基礎知識やカルテの読解方法などのノウハウが豊富で、医師との協力体制も充実しています。その結果、診断書やカルテを精査してお客様にとって有利な情報を見つけ出し、さらに医学的な観点を踏まえて主張することが可能です。

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B型肝炎給付金の相談料は、何回でも無料です。
また、電話やWEBでのご相談も可能で、ご来所いただく必要はありません。
万全の態勢で、全国からのご相談をお待ちしております!

6 和解後に病状が進行しても安心!追加給付金の請求も格安でサポート

国と和解をして給付金を受取った後に、B型肝炎の病状が進行してしまった場合には、追加給付金を請求することができます。
例えば、慢性肝炎で1250万円の給付金を受け取った後に、肝がんを発症してしまった場合には、肝がんの給付金3600万円と、受け取った1250万円との差額の2350万円が追加給付金として支給されます。
MIRAIOでは、この追加給付金の請求手続きについて、追加給付金の4%(税込4.4%)という格安の報酬でお手伝いいたします。