B型肝炎の抗体が陽性だとどうなる?種類別の特徴や検査方法も解説

ウイルスと戦う抗体
疑問顔の高齢者

人間ドックを受けたら、B型肝炎の抗体があると言われました。これってどういう意味なんでしょうか?

B型肝炎の抗体がある場合、単にB型肝炎ウイルスへの免疫があるだけでなく、現在も感染している可能性があります。

抗体にはいくつかの種類がありますが、そのうち、どの抗体があるのかによって、意味合いが大きく異なります。

ここでは、B型肝炎ウイルスの抗原(ウイルスを構成するたんぱく質)と抗体の種類、それぞれの抗原と抗体が陽性の場合の意味を説明します。

また、抗体検査の受け方や、B型肝炎給付金についてもご案内します。

B型肝炎ってなに?

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染することによって起こる肝臓の病気です。

B型肝炎ウイルスの感染経路

B型肝炎ウイルスは、血液などの体液を介して感染します。

主な感染経路としては、母子感染(出産前後に、母親から胎児や出生児に感染すること)、父子感染などの家族内感染、性交渉などがあります。

以前は、輸血や集団予防接種時の注射器の回し打ちでも感染が起こっていましたが、現在はしっかりと感染予防がされています。

B型肝炎ウイルスに感染するとどうなる?

肝炎って何?

B型肝炎ウイルスが肝臓の細胞に入り込むと、免疫機能によって、ウイルスを体外に排除しようとしますが、その際に肝臓の細胞(肝細胞)も一緒に攻撃してしまうために、肝臓が炎症を起こし、肝機能が低下してしまいます。
これが肝炎です。

具体的な症状としては、次のようなものがあります。

  • 食欲不振
  • 全身のだるさ(けん怠感)
  • 発熱
  • 吐き気と嘔吐
  • 黄疸(皮膚と白眼が黄色に変色すること)

免疫機能が発達した大人がB型肝炎ウイルスに感染すると、1か月から6か月の潜伏期間を経て、肝炎を発症します。症状は数週間から最大6か月継続します。
これが急性肝炎です。

一方、免疫機能が未熟な乳幼児期にB型肝炎ウイルスに感染すると、ウイルスを体外に排除することができずに、ウイルスが体内に残り続けてしまいます。
このようにして、ウイルス感染が6か月以上継続することを持続感染といいます。

持続感染した人の85%~90%は、無症状のままですが、10%~15%の人は慢性肝炎(6か月以上、肝機能異常が継続すること)を発症します。

さらに、そのうち数パーセントの人は、肝硬変肝細胞がんに進行してしまう恐れがあります。

B型肝炎ウイルスの抗原と抗体の種類

抗体とは、体に入り込んだ病原体などの異物(抗原)と結合して、体外に排除する働きを持つたんぱく質です。

B型肝炎ウイルスには、たんぱく質に包まれたDNA(コア粒子)と、その外側を被う外殻があり、次の3種類の抗原があります。

B型肝炎ウイルスの構造

  • HBs抗原
  • HBc抗原
  • HBe抗原

そして、これらの抗原に対応する抗体が、次の3種類です。

  • HBs抗体
  • HBc抗体
  • HBe抗体

HBs抗原

HBs抗原とは、B型肝炎ウイルスの外殻を構成するたんぱく質です。

B型肝炎ウイルスが肝細胞の中で増殖する際、HBs抗原が過剰に作られて、血液中に流れ出します。そのため、B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを確認するには、まずHBs抗原の検査がされます。

HBs抗原が陽性である場合は、B型肝炎ウイルスに感染しているということになります。

基準値は、検査方法によって異なりますが、CLIA法の場合は「0.05IU/mL未満」です。つまり、数値が0.05IU/mL以上だと陽性ということになります。

HBs抗体

HBs抗体とは、HBs抗原に対応する抗体で、B型肝炎ウイルスへの感染を防御する働きがあります。

過去にB型肝炎ウイルスに感染したことがあったり、B型肝炎ワクチンを接種していたりすると、HBs抗体が陽性になります。

基準値は、検査方法によって異なりますが、CLIA法で「10mIU/mL未満」、PHA法では「8倍未満」です。つまり、CLIA法で、数値が10mIU/mL以上であれば陽性で、HBs抗体ができているということになります。

HBc抗原

HBc抗原とは、B型肝炎ウイルスのコア粒子を構成するたんぱく質です。外殻に包まれてウイルスの内部に存在するため、そのままでは検査で確認することができません。

HBc抗体

HBc抗体とは、HBc抗原に対応する抗体で、次の2種類があります。B型肝炎ウイルスへの感染を防御する働きはありません。

IgM-HBc抗体

IgM-HBc抗体は、感染初期に現れて、数か月で消失します。陽性の場合は、比較的最近感染したということになり、急性肝炎の診断根拠となります。

基準値は、検査方法によって異なりますが、CLIA法の場合は「1.0未満(S/CO)」です。つまり、数値が1.0以上(S/CO)だと陽性で、IgM-HBc抗体ができているということになります。

IgG-HBc抗体

IgG-HBc抗体は、IgG-HBc抗体の少し後に現れ、ほぼ生涯にわたって血液中に検出されます。陽性の場合は、過去にB型肝炎ウイルスに感染したことがあるということになります。

また、HBs抗原が陰性であっても、IgG-HBc抗体が陽性の場合は、肝臓の中にごく微量のB型肝炎ウイルスが存在し続けており、血液中にも検出される場合があります。

基準値は、検査方法によって異なりますが、CLIA法で「1.0未満(S/CO)」、PHA法では「64倍未満」です。つまり、数値が1.0以上(S/CO)だと陽性で、IgG-HBc抗体ができているということになります。

HBe抗原

HBe抗原とは、B型肝炎ウイルスのコア粒子の一部を構成するたんぱく質です。

B型肝炎ウイルスが肝細胞の中で増殖する際、HBe抗原が過剰に作られて、血液中に流れ出します。
HBe抗原が陽性である場合は、B型肝炎ウイルスに感染しているということに加え、ウイルスが盛んに増殖しているためウイルス量が多く、感染力が強いことを意味します。

基準値は、検査方法によって異なりますが、CLIA法の場合は「1.0未満(S/CO)」です。つまり、数値が1.0以上(S/CO)だと陽性ということになります。

HBe抗体

HBe抗体とは、HBe抗原に対応する抗体です。B型肝炎ウイルスへの感染を防御する働きはありません。

陽性の場合は、B型肝炎ウイルスの増殖も穏やかになり、ウイルス量も減り、感染力も弱くなります。

基準値は、検査方法によって異なりますが、CLIA法の場合は「阻害率50.0%未満」です。つまり、数値が50.0%以上だと陽性で、HBe抗体ができているということになります。

B型肝炎ワクチンで得た抗体はいつか消える?効果の持続期間とは

B型肝炎ワクチンを接種すると、HBs抗体という抗体を獲得できます。
この抗体は、20年以上にわたって、B型肝炎の発症を予防する効果があると言われています。

また、抗体は年月の経過により少なくなっていきますが、発症予防効果は持続しますので、ワクチンの追加接種は必要ないとも言われています。

B型肝炎ワクチンを接種しても抗体がつかないことがある?

B型肝炎ワクチンを接種しても、抗体を獲得できない場合もあります。
幼少期に接種すれば、抗体を獲得しやすいですが、年齢が高くなるにつれ、獲得しにくくなります。

B型肝炎ワクチンを接種しても抗体がつかない確率

B型肝炎ワクチンを接種した年代が、40歳未満であれば約92%、40歳以上でも約84%の人が抗体を獲得できたという報告があります。

したがって、B型肝炎ワクチンを接種しても抗体がつかない確率は、全体で見れば10%前後で、幼少期の接種であれば5%前後と言えるでしょう。

B型肝炎ワクチンを接種しても抗体がつかない原因

原因は明らかではありませんが、体質によってB型肝炎の抗体が獲得できない人もいます。

1シリーズ(3回接種)のB型肝炎ワクチン接種で、抗体が獲得できなかった場合は、もう1シリーズを追加接種します。追加接種することにより、30~50%の確率で抗体が獲得できたという報告もあります。

B型肝炎ウイルスの抗体検査

抗体検査

B型肝炎ウイルスの抗体ができているかどうかは、血液検査によって確認することができます。

抗体検査を受ける方法

抗体検査は、次の方法で受けることができます。

健康診断

職場の健康診断や人間ドックなどの際に、B型肝炎についての検査を受けることができます。通常の検査内容に含まれていない場合は、オプション検査になります。
一般的に検査される項目は、HBs抗原、HBs抗体です。

献血

献血で採血された血液は、輸血に適しているかどうかを確認するため、さまざまな病原体の検査がされます。そこで、B型肝炎ウイルスについても、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HBV-DNA(B型肝炎ウイルスのDNA)の検査がされます。

検査の結果、HBc抗体1.0以上12.0未満かつHBs抗体200mIU/mL未満の場合は、輸血用血液には適さないものとして扱われ、その後の献血はできなくなってしまいます。

B型肝炎ワクチン接種後の検査

B型肝炎ワクチンを3回接種した、4週間から8週間後、免疫ができているかどうかを確認するため、抗体検査がされます。

HBs抗体の数値が、10mIU/mL以上(CLIA法)であれば、抗体獲得と判定されます。

なお、獲得した抗体は、3年から5年で消えてしまう(HBs抗体陰性化)可能性がありますが、それでも、免疫の効果は持続するため、追加接種の必要はありません(日本環境感染学会『医療関係者のためのワクチンガイドライン第3版』)。

なお、B型肝炎ワクチンについての詳細は、次の記事もご確認ください。

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かかりつけ医などの医療機関での検査

かかりつけ医など、任意の医療機関での抗体検査です。自由に検査項目を指定して検査を受けることができます。

抗体検査の費用

医療機関での抗体検査の費用相場は、5,000円から10,000円ほどです。
B型肝炎等の治療目的でなければ、健康保険が適用されませんので、全額自己負担になります。

抗体検査の結果はいつわかる?

抗体検査の結果がいつわかるのかについては、検査を受ける医療機関によって異なります。

検査自体を同じ病院内で行っているところであれば、即日結果が出る場合もあります。
一方、検査機関に委託しているような場合には、1~2週間かかることもあります。

HBc抗体が陽性の場合は、B型肝炎給付金の対象になるかも!

2章でも触れましたが、HBs抗原が陰性であっても、HBc抗体が陽性の場合は、単にB型肝炎ウイルスへの免疫があるだけでなく、肝臓の中にごく微量のウイルスが存在し続けており、血液検査でも検出される場合があります。

その場合、ウイルスに持続感染していると認められれば、B型肝炎給付金の対象となり、国から給付金が支給されるかもしれません。

なお、給付金がもらえる詳しい条件は、次の記事もご参照ください。

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B型肝炎給付金とは?

B型肝炎給付金とは、幼少期の集団予防接種等(予防接種またはツベルクリン反応検査)の際の注射器の回し打ちが原因で、B型肝炎ウイルスに感染した方などに対し、国から支払われる損害賠償金のことです。

対象者は、集団予防接種で直接的にB型肝炎ウイルスに感染した方(一次感染者)に加え、一次感染者から母子感染などによって感染した方(二次感染者)も対象となります。

給付金の金額は、B型肝炎の病態(病状)に応じて、50万円から3600万円です。

B型肝炎ウイルスへの持続感染とは?

B型肝炎給付金の対象条件のひとつに、「B型肝炎ウイルスに持続感染していること」があります。
この持続感染の条件を満たすには、血液検査で次の(A)または(B)の結果であることです。

  1. 次のいずれかの項目が、6か月以上継続して陽性である
    ・HBs抗原
    ・HBV-DNA
    ・HBe抗原
  2. HBc抗体 高力価(一定以上高い値)の陽性である

つまり、HBs抗原やHBV-DNAなど、ウイルスを構成するものが検出されなくても、抗体のひとつであるHBc抗体が、一定以上の数値で陽性(高力価陽性)であれば、持続感染と認められるのです。

HBc抗体高力価の条件

HBc抗体が高力価となる基準値は、その検査方法に応じて、次のとおりです。

  • CLIA法 10.0以上(S/CO)
  • PHA法 2の10乗(1024倍)以上
  • RIA法・EIA法(200倍希釈) 90%以上

つまり、CLIA法で検査したHBc抗体が10.0以上の数値であった場合、B型肝炎ウイルスに持続感染していると認められ、給付金が支給される可能性があるのです。

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    まとめ

    B型肝炎ウイルスには、3種類の抗原と、そのそれぞれに対応する抗体があります。その役割や意義は下表のとおりです。

    B型肝炎ウイルスの抗原と抗体

    抗体検査は、健康診断や献血、B型肝炎ワクチン接種の際などに受けることができます。

    抗体の中でも、HBc抗体が陽性の場合は、単にB型肝炎ウイルスへの免疫があるというだけでなく、B型肝炎ウイルスに持続感染している可能性があります。

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