B型肝炎訴訟で塩基配列比較検査が必要な場合は?|費用や注意点も解説

B型肝炎訴訟では、塩基配列比較検査が必要になる場合があります。
この検査は、通常のB型肝炎の検査とは異なり、B型肝炎ウイルスのDNAを精密に解析するものです。
ケースによっては、給付金を受け取るために必須の検査になりますので、その内容はしっかりと確認しておきましょう。

この記事では、主に次の事項について解説します。

  • B型肝炎訴訟で塩基配列比較検査が必要になるケース
  • 塩基配列比較検査ができる医療機関
  • 塩基配列比較検査の検査費用
  • 塩基配列比較検査を受けるときの注意点

B型肝炎の塩基配列比較検査とは?

塩基B型肝炎の塩基配列比較検査とは、B型肝炎ウイルスのDNAを構成するアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4種類の化合物(塩基)の並び(配列)を、分子系統解析によって比較する検査のことです。

塩基配列を比較することによって、別々のB型肝炎ウイルスが、元々1つのウイルスから増殖したものなのかを確認することができ、感染源の特定につながります。

B型肝炎の塩基配列比較検査とは?

塩基配列比較検査でジェノタイプも明らかに

塩基配列比較検査をすることにより、B型肝炎ウイルスのジェノタイプも明らかにすることができます。

ジェノタイプとは、B型肝炎ウイルスの遺伝子型のことで、AからJまでに分類されます。ジェノタイプは、さらにサブジェノタイプに細分化され、例えばジェノタイプAは、AeとAaに分類されます。

日本に存在するジェノタイプは、ほとんどがA、B、Cに分類され、その約85%がC、約10%がB、残りの数%がAとなっています。

ジェノタイプCやBの場合は、大人になってから感染してもほとんど持続感染(6か月以上感染が継続すること)することはありませんが、ジェノタイプAeの場合は、10~15%の確率で持続感染し、慢性肝炎を引き起こす可能性があります。

B型肝炎訴訟で塩基配列比較検査が必要になる場合

B型肝炎訴訟で塩基配列比較検査が必要になるのは、次の3つの場合です。

  1. 一次感染者の父親がB型肝炎ウイルスに持続感染している場合
  2. 二次感染者が母子感染を主張する場合
  3. 二次感染者が父子感染を主張する場合

B型肝炎訴訟で塩基配列比較検査が必要になる場合

一次感染者の父親がB型肝炎ウイルスに持続感染している場合

一次感染者とは、幼少期の集団予防接種等によりB型肝炎ウイルスに持続感染(6か月以上感染が継続していること)した人のことです。
給付金を受け取るには、母子感染でも父子感染でもないことを客観的な資料により証明する必要があります。

そして、父親がB型肝炎に持続感染していた場合、父子感染ではないことを証明するために、塩基配列比較検査が利用されます。
自分と父親のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較することで、自分が持っているウイルスが、父親のウイルスに由来するものなのかどうか、父親が感染源なのかどうかを確認することができるのです。

B型肝炎訴訟で塩基配列比較検査が必要になる場合

二次感染者が母子感染を主張する場合

二次感染者とは、一次感染者から母子感染や父子感染によりB型肝炎ウイルスに持続感染した人のことです。
給付金を受け取るには、母子感染もしくは父子感染であることを、客観的な資料により証明する必要があります。

二次感染者が母子感染であることを証明するには、塩基配列比較検査を利用することができます。
自分と母親のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較することで、自分が持っているウイルスが、母親のウイルスに由来するものなのかどうか、母親が感染源なのかどうかを確認することができるのです。

塩基配列比較検査ができない場合の代替手段

塩基配列比較検査ができない場合には、出生直後に既にB型肝炎ウイルスに持続感染していたことを示す資料(カルテや検査結果など)によっても、母子感染であることを証明することができます。

また、次の条件をすべて満たすことによって、母子感染以外の感染原因が確認されないことを証明し、母子感染であることを認めてもらう方法もあります。

  • 出生前に母親の感染力が弱かったこと(HBe抗原陰性であったこと)が確認されない
  • 昭和60年12月31日以前に出生している
  • 医療記録等に母子感染とは異なる原因の存在をうかがわせる具体的な記載がない
  • 父親がB型肝炎ウイルスに持続感染していない、もしくは塩基配列比較検査によって、本人と父親のB型肝炎ウイルスの塩基配列が同定されない(父子感染であると確認されない)
  • B型肝炎ウイルスのジェノタイプがAeではない

B型肝炎訴訟で塩基配列比較検査が必要になる場合

二次感染者が父子感染を主張する場合

父子感染であることを主張して給付金を受け取るには、それを客観的な資料により証明する必要があります。
その方法として、塩基配列比較検査によって自分と父親のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較することで、自分が持っているウイルスが、父親のウイルスに由来するものなのかどうか、父親が感染源なのかどうかを確認することができるのです。

塩基配列比較検査の検査方法と検査費用

塩基配列比較検査の検査方法や検査できる医療機関、検査費用について解説します。

塩基配列比較検査の検査方法と検査費用

塩基配列比較検査の検査方法・検査できる医療機関

塩基配列比較検査は、血液検査です。
対象者全員の採血が必要ですので、母子の塩基配列比較検査をするのであれば、母と子の2人1組で医療機関を受診する必要があります。

なお、塩基配列比較検査は、診療所やクリニックのような小さな医療機関では受けられないことが多いです。国立病院や大学病院などの大きな総合病院で検査依頼するようにしましょう。

塩基配列比較検査の検査方法と検査費用

検査費用

塩基配列比較検査の検査費用は、健康保険の対象外となりますので、全額自己負担となります。
検査費用の相場は、6~7万円です。

なお、塩基配列比較検査のような治療とは直接関係ないサービス等の費用徴収については、厚生労働省から医療機関宛に、次の事項に留意するよう通知がされています。

治療とは直接関係ないサービス等の費用を徴収する際に留意すべきこと
  • 費用徴収に係るサービス等の内容および料金について患者にとって分かりやすく掲示しておくこと
  • 患者に対し、徴収に係るサービスの内容や料金等について明確かつ懇切に説明し、同意書によって、同意を確認の上徴収すること。
  • 患者から費用徴収した場合は、他の費用と区別した内容のわかる領収証を発行すること
  • 曖昧な名目での費用徴収は認められないこと

塩基配列比較検査の検査方法と検査費用

B型肝炎訴訟で和解成立すれば、検査費用の一部が戻ってくる

B型肝炎訴訟で国との和解が成立すれば、給付金とは別に、塩基配列比較検査の検査費用が支給されます。
支給される金額は定額で、次のとおりです。

  • 一次感染者が父子感染ではないことを証明するための塩基配列比較検査費用:65,000円
  • 二次感染者が母子感染もしくは父子感染であることを証明するための塩基配列比較検査費用:63,000円

塩基配列比較検査を受けるときの注意点

血液検査繰り返しになりますが、塩基配列比較検査を受けるときは、次の点に注意してください。

塩基配列比較検査を受けるときの注意点
  • 検査費用は6~7万円と高額であり、健康保険が適用されないので全額自己負担となる。
    (ただし、国との和解が成立すれば、検査費用の一部が戻ってくる)
  • 検査は2人1組で行うため、母子または父子で一緒に医療機関を受診する。
  • 小規模な医療機関(診療所)では検査できないことが多い。国立病院や大学病院などの大規模な医療機関に、あらかじめ検査ができるかどうか確認した方がよい。

B型肝炎給付金の金額

塩基配列比較検査によって、一次感染者が父子感染でないことを証明でき、あるいは二次感染者が母子感染(父子感染)であることを証明できれば、国と和解できる可能性が高まってきます。

和解成立した場合に支給される給付金の金額は、B型肝炎の病状(病態)や発症時期などによって異なります。詳しくは下表をご覧ください。

病態発症時期・感染時期
直近1年の診断・治療歴
給付金の金額
死亡・肝がん・重度肝硬変死亡・発症から20年未満3600万円
死亡・発症から20年以上900万円
軽度肝硬変発症から20年未満2500万円
発症から20年以上
直近1年で肝硬変の診断があるか、特定の治療歴がある
600万円
発症から20年以上
直近1年で肝硬変の診断がなく、特定の治療歴もない
300万円
慢性肝炎発症から20年未満1250万円
発症から20年以上
直近1年で慢性肝炎の症状があるか、特定の治療歴がある
300万円
直近1年で慢性肝炎の症状がなく、特定の治療歴もない150万円
無症候性キャリア感染から20年未満600万円
感染から20年以上50万円

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

B型肝炎訴訟で国に給付金を請求するためには、裁判所の手続きが必要です。
自分ひとりで手続きをすることもできますが、専門的なノウハウが必要ですので、手間や時間がかかります。スムーズに手続きするには、法律の専門家である弁護士に依頼する方がよいでしょう。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

訴状などの書類作成を任せることができる

給付金を請求するには、訴状や証拠一覧などの書類を作成しなければなりません。
これらは、裁判所に提出する書面ですので、法律の専門家である弁護士に任せた方が、迅速に、滞りなく作成することができます。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

必要書類収集のサポートを受けることができる

裁判所には、証拠資料となる血液検査結果や医療記録(カルテ)、公文書など、さまざまな書類を提出します。これらの必要書類を収集するには、医療機関や市区町村役場、場合によっては、卒業した小学校などとも、やりとりしなければなりません。
ご自身で、全てこのようなやりとりを進めると、かなりの労力を要しますが、弁護士がいれば、わからないときにアドバイスを受けたり、医療機関や役所への案内書を作成してもらったりすることができます。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

書類の精査により不備を防ぎ、迅速に給付金を受け取ることができる

集めた必要書類を、そのまま提出するだけでは、内容が間違っていたり、不足があったりします。完璧に集めたつもりでも、医療記録などの記載内容によって、新たな事実が判明し、追加書類を求められることもあります。
その点、弁護士がいれば、提出前に書類を隅々までチェックし、入念に精査しますので、極力、不足書類が出ないように準備することができます。その結果、給付金を受け取るまでの期間を短縮することが可能です。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

裁判所への出廷を任せることができる

裁判所には、平日の日中に出廷しなければなりませんが、普通に働かれている場合には、なかなか日程を調整するのが難しいのではないでしょうか。
弁護士に依頼していれば、弁護士が代理人として、代わりに裁判所に出廷してくれますので、ご自身で出廷する必要はありません。その結果、時間と労力の大幅な節約ができるでしょう。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

給付金の4%分が上乗せで支給される

弁護士に依頼して、手続きをした場合は、給付金の4%分が訴訟手当金として上乗せ支給されます。例えば、弁護士に依頼して、50万円の給付金が支給される場合は、その4%の2万円が上乗せされ、総額52万円が支給されます。

B型肝炎訴訟ならMIRAIOへ!

1 MIRAIOの実績(2023年3月末現在)

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  • 提訴件数 9,500件以上
  • 和解件数 8,900件以上
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MIRAIOは、給付金制度が始まった平成24年当時から、他の事務所に先駆けて、B型肝炎給付金のご相談をお受けしてきました。その結果、上記のような豊富な実績が積み重なっています。
そして、多くの案件を扱うことで、さまざまなノウハウが蓄積され、迅速かつ的確な事務処理ができる体制が確立されています。

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このようなお問い合わせをいただくことがよくあります。
改めてMIRAIOでお話をお聞きすると、確かに困難なケースもありますが、調査によっては、まだまだあきらめるには早いと思われるケースも多くあります。
あきらめる前に、一度MIRAIOにご相談してみてください。

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MIRAIOでは、必要書類収集のアドバイスや案内書の作成だけでなく、医療機関や役所と直接やりとりをして、代わりに書類を取得することも可能です。
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MIRAIOでは、B型肝炎給付金請求を手がける前から、医療過誤(医療ミス)に関する訴訟にも力を入れてきました。その相談実績は、7000件以上にのぼっています。
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6 和解後に病状が進行しても安心!追加給付金の請求も格安でサポート

国と和解をして給付金を受取った後に、B型肝炎の病状が進行してしまった場合には、追加給付金を請求することができます。
例えば、慢性肝炎で1250万円の給付金を受け取った後に、肝がんを発症してしまった場合には、肝がんの給付金3600万円と、受け取った1250万円との差額の2350万円が追加給付金として支給されます。
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