債務超過は倒産でない?4つのリスクと負債を減らす3つの手段を解説

債務超過

倒産する企業など、ニュースで「以前から債務超過状態であり・・・」という表現を聞いたことがあるかと思います。債務超過であれば、即倒産や破産をイメージしてしまいますが、債務超過状態であり・・・、ということは債務超過でも営業を続けることが出来ていたと理解しています。それでは、債務超過状態でも事業を行えるとは一体、どういう状態のことなのでしょうか。本文では、債務超過になっただけでは、倒産や破産までは至っていないという事や、債務超過と赤字の違い、債務超過の判断基準などについて解説致していきます。

債務超過とは?

債務超過とは一言で表すと、負債が資産の額を上回る状態を指します。負債が資産の額を上回ると言われてもピンとこない方もおられるかと思われます。そこで、負債や赤字といった言葉を解説しつつ、債務超過とはどういう状態か解説します。まず以下の図を見てみましょう。貸借対照表は、一定時点での財政状態を表すものとなります。図表のとおり、会社が持っている財産と財産の元となったお金の調達方法の一覧表のことです。

貸借対照表

貸借対照表に記載される、会社が保有する財産的にプラスの価値のあるものが「資産」であり、返済の義務のあるものが「負債」であり、返済の義務のないものを「純資産」と言います。そして、純資産がなくなる状態が債務超過であります。債務超過の場合、仮にその時点で会社を解散した場合、持っている資産を全て売却しても負債全額の返済はできないことを意味します。

負債と借金の違い

まず、借金ですが、これは法的には金銭消費貸借契書を交わし、借主は借りた金銭と同額(または契約で定めた利息を含む)を返済することの総称です。そして、負債は借金には変わりありませんが、個々の貸し借りというよりは、会社が金融機関など第三者に返済すべき借金ということになります。会社経営では貸借対照表(BS:バランスシート)と損益計算書(PL:プロフィット&ロスステートメント)を用いて会計や決算を行いますが、どのように資金調達を行って、運用しているかを表したものが貸借対照表といいます。前述のとおり「資産」「負債」「純資産」の3つに分類されており「借金」という言葉は貸借対照表上にはありません。負債と借金の違い

債務超過と赤字の違い

ここで、債務超過と赤字の違いについて判りやすく解説します。前述で、会社経営では貸借対照表と損益計算書があると述べましたが、貸借対照表は債務超過を見る指標、損益計算書は赤字を見る指標とお考えください。赤字は一定期間の費用が、収益を上回る状態のことであり、債務超過は一定時点での負債が資産を上回る状態のことです。どちらも倒産や破産を連想しますが、すぐさま倒産や破産に追い込まれるということはないと認識して頂いて結構です。損益計算書は、収益と費用の内容を表示しているものになります。売上高から各種経費を差し引いた書類です。費用をすべて引いた結果、残高が残っていたらそれが黒字(利益)になり、マイナスになったら赤字ということになります。簡単に言うと、家計簿の会社版といったところでしょうか。これを、月次や四半期、年次毎に見ていきますので、その期間が赤字であっても債務超過とは違う状態となります。債務超過と赤字の違い

債務超過の判断基準

1章で述べた通り、一言でいうと『純資産』がマイナスになると債務超過に陥っているとお考えください。そして、純資産についてもう少し詳しく述べたく思います。純資産は株主資本・資本金・資本剰余金・利益剰余金・自己株式・株式等評価差損金から構成されています。一般的に企業が得た利益というのは、利益剰余金として純資産に付加されます。反面、利益がマイナスとなる赤字では、当然、純資産は減少していきます。そのようなことから、純資産がプラスかマイナスかを基準として、債務超過の判断をしましょう。毎年赤字が続いていて、資本金を上回る赤字が累積していくと、気が付いたら純資産がマイナスになっているということもあります。大幅な赤字や長期的な赤字を出すことで、債務超過になる可能性が高まりますので、純資産が毎年どのように減っているのか見極めることが重要となります。債務超過の判断基準

債務超過の4つのリスク

前述のとおり、債務超過に陥ったからと言ってすぐさま倒産にはなりません。しかし、債務超過を放置すると会社にどのようなリスクがあるでしょうか?ここでは大きく4つのリスクを解説します。

金融機関から融資が受けられない可能性

債務超過に陥ると、金融機関からの融資が受けられない可能性が出てきます。主要取引銀行との付き合いが親密であるからと言っても、債務超過は信用にかかわる問題です。融資を行う金融機関にとっては、債務超過の場合、融資先としての印象はかなり悪くなります。仮に融資を継続した場合、返済遅延や返済不能になってしまう貸倒れのリスクがあり、最悪倒産するかもしれない企業への融資は躊躇してしまうのも当然です。

金利の引き上げや融資の返済を求められる可能性

債務超過が長く続く場合、金融機関としても企業の倒産や廃業といった最悪の事態を想定し、金利の引き上げや、融資残金の早期返済を求めてくるリスクがあります。既に融資を受けている金融機関があるからといって、債務超過状態でも安心だと思っていると早期に融資の返済を求められることもありますので注意が必要です。金融機関融資

取引先との関係悪化の可能性

会社が債務超過だと判ると、取引先や仕入れ先からの信用低下により、場合によっては取引の停止といったリスクも考えられます。いくら親しい商取引の間柄といっても、相手方の債権回収ができなくなる可能性のある会社との取引は、リスク回避のため取引を停止するというのは当然の経営判断であります。このように金融機関だけではなく、事業運営上において必要な取引先仕入れ先などの関係企業からの信用も失ってしまう可能性が高いでしょう。

倒産のリスクが高くなる

債務超過に陥ると、金融機関から融資を受けられなくなり、資金繰りが厳しくなるだけでなく、前述のように取引先や仕入れ先等からの取引停止などによって、経営は一層厳しくなります。そして、その負のスパイラルから脱却できないと、結果として倒産や破産といったリスクが高くなります。取引先の倒産

自社努力で負債を減らす3つの手段

債務超過であっても一定した売上があれば倒産から逃れることが出来るかも知れません。勿論、金融機関や取引先などステークホルダーの協力も必要ではありますが、先ずは自社内の努力で負債を減らすことに注力してみましょう。

資産の売却を行う

貸借対照表にある資産の内訳を確認してみましょう。社歴が長いと思わぬ資産が隠れているという事もあります。以前活用していたが事業の変遷によって社業として使用していない土地、随分昔に取得した有価証券が、取得時価額より現在の時価のほうが高い場合など、その売却益で資本が増え負債が減るといったこともあります。是非、今一度、貸借対照表にある資産の部の詳細をチェックしてみましょう。資産売却

無駄な経費を減らし利益を上げる

債務超過状態に陥っている中、売上を多く出して営業利益・経常利益を高めるのはあまり現実的ではありません。勿論、新商品がヒットすれば一気に債務超過から脱却という事もなくはないです。しかし、売上高を確保することと並行し、経費削減の徹底が負債の圧縮に繋がります。闇雲に人員や人件費を削減すると従業員のモチベーションの維持向上にも問題が出てきます。先ずは、無駄な経費があれば徹底的に見直しましょう。具体的には・・・

・売上原価の見直して極力安くて品質の良いものに変えるよう交渉する
・仕入れ先や取引先から相見積を取り直し適正な取引価格とする
・テレワーク実施等に伴う事務所移転などによる賃料の削減 など

自社で行える経費削減策は多くありますので検討してみてください。経費削減

事業における選択と集中

会社の商材が単一商品のみの場合は該当しませんが、もし複数の事業(サービス)を展開している場合、コア事業に特化してみるのも手であります。一番利益の出ている事業に特化することによって、組織内に蓄積された技術やノウハウを一元化し、効率的な事業活動を展開できるようになります。コア事業への依存度が高まり、経営の選択肢の幅が狭くなるというリスクもありますが、負債を減らす努力を試みるには実行する価値はあります。

外部機関を活用し負債を減らす3つの手段

自社努力によって債務超過を脱却する方法にも限界がある場合もあります。その際は有効的手段として外部機関を活用し負債を減らすことを検討しましょう。

第三者からの出資による増資

債務超過の解消法として増資があります。増資して純資産を増やすことが即効性のある対策です。銀行と相談し、投資ファンドやベンチャーキャピタルから出資を募ることにより痛手は少なく済みます。但し、株主構成が変わることで経営権にも影響が出ることも想定されるので慎重な判断が必要となります。また、1名株主などのオーナー企業の場合は、代表者から会社に資金を投入し、資本金を増やすといった事も考えられます。何れにしても債務超過を解消する劇薬にはなりますが、経営そのものが改善されなければ一過性の措置となってしまいます。第三者から出資による増資

DES(デット・エクイティ・スワップ)の実行

DESとは、一言でいうと「債務の株式化」という意味になります。デット(債務)・エクイティ(株式)・スワップ(交換)という言語の組み合わせです。金融機関が、融資対象でありながら経営不振状態に陥っている企業を、支援する目的で行われるようになりました。単純に債務を免除するだけではなく、DESの実行により株主になり、経営に対して直接的に意見をすることができます。何れにしてもDESは会社法により一定の手続きが必要になりますので、弁護士等に相談することをお勧めします。

(注)債権の現物出資という形式をとることから、現物出資に関する会社法の規制を受けることとなり、現物出資財産の価額につき検査役の調査を受けなければなりません(会社法207条第1項)。ただし、調査に時間と費用を要することから、弁護士・公認会計士・税理士等の証明を受けた場合は、検査役の調査を要しないものとされている(会社法207条第9項第4号)。その他、弁済期の到来した金銭債権を、帳簿価額以下の価額で出資する場合については、検査役の調査を不要としています(会社法207条9項5号)

民事再生による会社立直し

債務超過に陥ると自社努力では限界があることを述べましたが、会社経営を維持しながら法的整理を行う民事再生も視野に入れてみましょう。民事再生とは、債務の返済がかさみ経営難に陥った会社が、裁判所に申請(申立)して、返済条件を見直して経営再建する「再建型倒産手続き」のことです。より自主的な経営再建を目指したい場合は,まずは民事再生を検討するのが良いでしょう。民事再生に関する記事が様々な法律に関する記事が掲載されている法律サプリ内の民事再生で主体的な経営再建!破産や会社更生との違いも簡単解説にアップされています。破産や会社更生との違いについても解説されていますので、参考にしてみてください。

債務超過の判断に迷ったらMIRAIOに相談を

会社がどういった状態か判らない、会社評価や価値を知りたい、債務超過かも知れないが、今後、法的な手続きが必要だろうか・・・そんなお悩みありませんか?。増資やDESといった手続きは勿論、民事再生といった法的手続きについても多くの専門的な知識と経験が求められます。そして、その分野は法律や裁判だけでなく、登記、税金、労務、許認可など、多岐に渡ります。そのような場合、特定の専門家に依頼するのではなく、多くの専門家を抱えている総合法律事務所に相談されることをお勧めします。その点、法律事務所MIRAIOは、弁護士だけでなく、税理士、司法書士、社会保険労務士などとの協力関係がありますので、ワンストップでサービスをご提供できます。弁護士法人 法律事務所MIRAIOでは約3,500件の企業法務に関する相談を受けてきました。債務超過の判断に迷ったら実績と信頼のMIRAIOに先ずはご連絡ください。ロゴ枠あり