会社の資金繰りがピンチ!現預金がショートした時にできる6つのこと

お金に悩む人

資金繰りがうまく行かず、現預金が底を突いてしまった!
今月の支払いはどうしたらいいのだろう…

急な支払いが集中したり、取引先からの入金が遅れたりなど、ちょっとしたきっかけで資金バランスが崩れ、資金繰りがショート寸前に陥ってしまうことは珍しい事ではありません。資金繰りがショートしてしまう原因は様々ありますが、順調な経営状態にある会社でも、予想不可能な出来事によって、資金繰りが突然ショートし、黒字にも関わらず倒産してしまう可能性があります。

この記事では、実際に資金繰りがショートした時に起きる問題や、ショートに陥る原因及びその対策等をご紹介していきます。この記事を最後まで読めば、もしショートしてしまいそうな時にどんな行動をとれば良いのか、ショートしないためにはどのようなことに気を付けていれば良いのかが分かり、経営への不安が軽減されるでしょう。

資金繰りの「ショート」とは、必要な支払いが出来なくなること

そもそも、資金繰りが「ショート」している状態とは、現預金が足りず、必要な支払いが出来なくなっている状態を指します。資金繰りの不調に関しては、ショートと並んで「赤字状態」や「債務超過状態」という言葉をよく耳にします。これらとショートとは何が違う状態なのでしょうか?この章では「ショート」と「赤字状態」や「債務超過状態」との違いを簡単にご紹介していきます。

赤字状態とは

一般的に赤字状態とは、支出が収入を上回り、利益がマイナスになった状態のことを言います。ショートのような現預金の不足状態とは関係なく、現預金があっても支出が収入を上回っていれば赤字状態です。赤字状態が長期的に続いてしまうことは、あまり良い状態ではありませんが、一時的な赤字状態は一般的に良く起きることなので、赤字状態になった理由がはっきりしていて、近い将来解決する予定がある場合は、それほど神経質になる必要はないかもしれません。

債務超過状態とは

債務超過状態とは、負債の総額が、資産の総額を超える状態になり、資産をすべて売却しても負債を返済しきれなくなった状態のことを言います。債務超過状態であっても、現預金があり、支払い能力がある場合は資金繰りのショートではありません。ただし、債務超過状態は通常、事業継続が難しくなるため、収支を早急に改善し、債務超過状態を解消する努力が必要です。

資金繰りが「ショート」すると起きる3つの問題

お金×資金繰りがショートすると、多くの利害関係者に様々な影響が発生します。この章では、実際に資金繰りがショートした時に起きる3つの問題についてご紹介していきます。

労働者への給料が支払えなくなる

労働基準法により、労働者の給料は現金で支払うことが定められています。現預金が無いからといって、商品などの代替品で給料を支払うことはできません。また、一度の給料遅配(不配)でも、重大な法的処罰の対象となる可能性があります。労働者への給料に充てる現金は、特に優先して確保できるよう努めましょう。

取引先の信頼を失う

現預金が無ければ、取引先への買掛金があっても支払うことができません。会社の規模や信頼関係にもよりますが、一度の支払いの遅れでも、その後の関係に大きな傷を残す可能性が高いです。取引先の不利益を最小限にし、また、今後の取引に不安を感じさせないよう、誠意をもって支払いの遅れの理由を説明し、ご理解頂くよう努めましょう。

手形の不渡りが2回発生すると事実上の「倒産」となる

現金の代わりに取引に使われる代表的な証券に「手形」と「小切手」があります。便利な「手形」と「小切手」ですが、支払うべきタイミングに口座残高が足りず、「不渡り」を起こしてしまうと、その取引先だけにとどまらず、会社の信用に重大な影響を与えてしまいます。不渡りを起こした事実は金融機関に伝わり、その後の借入は困難になります。更に1回目の不渡りから半年以内に2回目の不渡りを起こしてしまうと「銀行取引停止処分」となり事実上の「倒産」状態となります。

「手形」と「小切手」とは?

「手形」とは?(ここでは「約束手形」について)

手形とは、振出人(支払人)が受取人に対して、「何月何日に○○円支払います」と約束する有価証券のことです。支払期日が到達すると、手形に記載された金額が、振出人の当座預金から受取人に支払われます。手形は支払期日までに預金の確保が出来れば良いので、当座預金残高が無い場合にも振り出す(発行)することができます。

「小切手」とは?

小切手とは、手形と同様に、後でお金を支払うことを約束をする有価証券ですが、手形と異なり、有効期限内であれば、受取人はいつでも支払いを受けることができます。小切手の場合、受取人は小切手が振り出されてからすぐに支払いを受けることができるため、小切手に記載された金額以上の当座預金残高が無い場合は振り出すことができません。

「不渡り」とは?

不渡りとは、受取人が支払期日の到達した手形や小切手を銀行に呈示し、決済しようとした際に、何らかの事情で決済ができない状態をいいます。
不渡りは3種類あり、一般的には当座預金の残高不足による「1号不渡り」を、いわゆる「不渡り」といいます。

「0号不渡り」とは?

0号不渡りとは、呈示期限が切れてしまった手形や小切手を、受取人が提示した場合や形式上の不備があった場合に起こる不渡りです。基本的に振出人の信用への影響はありません。

「1号不渡り」とは?

1号不渡りとは、当座預金の残高不足や、手形や小切手を振り出した後、決済までの間に振出人が当座預金を解約した場合などに起きる不渡りです。振出人の信用力にかかわる問題の為、処分の対象(不渡り処分、銀行取引停止処分等)となります。

「2号不渡り」とは?

0号不渡りにも1号不渡りにも該当しない場合、2号不渡りとなります。

資金繰りが「ショート」してしまう原因と対策

お金タワー資金繰りがショートしてしまう原因は様々ですが、多くは「不意な出来事」によって、急な支払いが発生したり、本来なら得られたはずの入金が無くなったりした場合に発生します。この章では、資金繰りが「ショート」してしまう原因と対策についてご紹介していきます。

取引先の倒産により売掛金が回収不能になる

大口の取引先が経営破綻し、売掛金の回収が滞ってしまった場合、その影響により資金繰りがショートしてしまう可能性があります。一度の回収遅延でも影響が出てしまうような大口の取引先がある場合は、特に注意して与信管理を行いましょう。

事故やトラブルによる急な出費の発生

社用車が事故を起こしてしまった場合等に、多額の損害賠償請求を受ける可能性があります。またその事故の対応に弁護士を雇う場合には、損害賠償金等の他に弁護士費用も発生します。社用車を多く利用する場合など、リスクが高いことが予想される場合には、しっかりと賠償保険等に加入し、突然の事故等に係る出費に備えましょう。

過剰在庫を抱えている

余分な在庫を持つことは、在庫を抱えることによるコストの増加や利益の圧迫という悪影響が生じますが、最も深刻な影響を与えるのは資金繰りについてです。現預金が仕入を行った結果、在庫に置き換わり、手元現預金の減少を招きます。在庫は売れなければ現預金とならないため、過剰な在庫を抱えることは百害あって一利なしです。過剰在庫を回避するためには、適正な在庫量の見極めを行い、入出庫の徹底管理を行い、常に在庫量を正確に把握する以外には無いですが、意外とこれができていないことが多いようです。地道な業務ではありますが、資金繰りの要ともいえる部分ですので、在庫には常に気を配っておきましょう。

資金繰りの管理が甘かった

そもそも、資金繰りの管理が甘く、予想していた資金繰りと実際の資金繰りが異なっていた場合、ある日突然、急に資金繰りがショートしてしまう可能性があります。管理ミスの例としては、売掛金が入金されるタイミングと買掛金の支払いのタイミングを読み違え、支払日に現金が不足してしまった場合などが挙げられます。実際のキャッシュ・フロー(資金繰り)と予定が異なっていないか、しっかりと確認しましょう。

緊急対応!現預金が不足した時にできる6つのこと

6種類のコイン今ある現預金では、資金繰りがショートしてしまうことが判明した場合、なんとかして支払日までに必要な現預金を確保しなければなりません。この章では、資金繰りがショート寸前に陥った時にできる6つの事をご紹介していきます。

役員報酬の減額

現預金が不足した時、経営者が真っ先にできることは、役員報酬の額を減額することです。本来、事業年度の途中で役員報酬の額を変更することはできませんが、正当な理由があれば、事業年度の途中でも役員報酬を変更することができます。一般の労働者よりも経営状況の把握をしている役員の立場であれば、役員報酬の減額がやむを得ない状況である事は十分に理解できるはずです。現預金確保の為に、まずは役員報酬の減額を検討しましょう。

 資産を売却する

役員報酬の減額と並行してすぐに行いたいことは、利用していない資産を売却することです。

特に投資用不動産やリゾート会員権などの直接利益に貢献しない資産は維持費等の経費を削減する観点からも、率先して現金化を行いましょう。また、不要な資産がある事は、銀行から融資を受ける際に、不利な要素となってしまう可能性もあります。資産の売却は現金化まで時間がかかることが多いため、平時から不要資産の整理を心がけておきましょう。

経費を見直す

資金繰りがショート寸前に陥った場合、売上などの収入を増やすことも大切ですが、実際に入金されるまでには時間がかかり、問題解決への即効性は見込めません。応急処置が必要な場合は、不必要な経費(出費)を削減し、現金の流出を抑えることが賢明です。

過剰な広告宣伝費や、無駄な残業代など本来不必要な経費は平時から常に見直し、経費削減に努めましょう。人件費や管理費用などは、全てを社内で抱えるのではなく、一部を外注することで固定費から流動費化することができます。また、改善見込みの薄い赤字事業が有る場合は、不採算部門の事業譲渡等事業自体を整理することも検討しましょう。

支払いの優先順位を見直す

必要な支払いを滞らせてしまうことは、決して認められることではありません。ただ、どうしても資金繰りがショートしてしまいそうな時には、支払いに優先順位をつけ、支払期限を延ばしてもらえそうな取引先や銀行等が有れば、協力してもらえるよう交渉してみましょう。

直接倒産に繋がる「手形」や「小切手」の不渡りは何としても避けなければなりません。また、労働者への給料の遅配も、法的処罰の対象となるため優先する必要があります。

できる限り影響が出ないよう慎重に相手を見極めて、支払いの優先順位をつけましょう。

融資を受ける

プロパー融資

プロパー融資とは、「信用保証協会」の保証を付けずに、直接銀行から融資を受ける融資方法です。プロパー融資の場合、信用保証協会への保証料が発生しない為、手数料は少なく済みますが、銀行は貸し倒れのリスクを負うため、審査が厳しく、財務状況が良好な企業の小口融資などでなければ、融資を行ってくれない可能性が高いでしょう。

保証付き融資

保証付き融資は、信用保証協会が融資に保証を付けてくれるため、プロパー融資を受けられない企業でも、融資が受けられる可能性があります。保証付き融資を利用する場合、保証料の支払いが発生しますが、審査はプロパー融資に比して厳しくないことが一般的です。

ビジネスローン

ビジネスローンは審査期間が比較的短く、無担保で借入れができるため、急ぎで現金が必要な場合に、重要な選択肢となります。ただしビジネスローンには、金利が高く返済期間が短い、といったデメリットもあります。近いうちに現金が入る目途が無ければ、危険な選択となる事も理解しておかなければなりません。

ファクタリング(3社間)を利用する

ファクタリングとは、手形や売掛金などの売掛債権を買い取ってもらう金融サービスをいいます。売掛債権の早期現金化が可能となり、緊急時の現金確保として有効な資金調達方法です。ファクタリングには2社間(利用者―ファクタリング業者)で行うものと、3社間(利用者―売掛先―ファクタリング業者)で行うものがあります。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングは、売掛先に知られることなく利用できる点が魅力的ではありますが、手数料が高額であることや、違法性が問われるような取引も多く実在することから、おすすめの資金調達法とは言えません。

3社間ファクタリング

3社間ファクタリングは、売掛先に債権譲渡の事実を通知し、承諾を得なければ取引が成立しない為、「債権の譲渡性・指名債権の譲渡の対抗要件(民法第466条、同467条)」に反しない資金調達方法であると考えられます。3社間ファクタリングの場合、手数料は少額(売掛債権の1~5%程度)であることが一般的ですが、審査や売掛先の承諾を得るために、数週間程度の時間がかかる事が多いようです。3社間ファクタリングの利用を検討する時は、緊急の資金調達ではなく、一か月後の支払いの為の資金調達など、時間に猶予がある場合に適しています。なお、3社間ファクタリングであっても違法性が問われる取引(ヤミ金に準じるなど)は存在します。利息制限法を遵守し、正しく貸付を行う貸金業登録業者を選択しましょう。

【さいごに】

最後に、この記事の重要ポイントを振り返ってみましょう。

資金繰りの「ショート」とは、必要な支払いが出来なくなること

赤字状態:現預金の不足とは関係なく、利益がマイナスになった状態のこと

債務超過状態:負債が資産を超え、すべての資産を売却しても、負債を返済しきれなくなった状態のこと

資金繰りが「ショート」すると起きる3つの問題

  • 労働者への給料が支払えなくなる
  • 取引先の信頼を失う
  • 手形の不渡りが2回発生すると事実上の「倒産」となる

 資金繰りが「ショート」してしまう原因と対策

  • 原因①:取引先の倒産により売掛金が回収不能になる
  • 対策①:取引先の与信管理を徹底する
  • 原因②:事故やトラブルによる急な出費の発生
  • 対策②:保険等に加入し、出費に備える
  • 原因③:過剰在庫を抱えている
  • 対策③:在庫の管理を徹底する
  • 原因④:資金繰りの管理が甘かった
  • 対策④:キャッシュ・フローの管理を徹底する。

緊急対応!現預金が不足した時にできる6つのこと

  • 役員報酬の減額
  • 資産を売却する
  • 経費を見直す
  • 支払いの優先順位を見直す
  • 融資を受ける
  • ファクタリング(3社間)を利用する

最後までお読みいただきありがとうございました。