【職業別に解説】交通事故の休業損害と休業補償!計算方法や請求方法

休業補償

交通事故の被害にあい、仕事を休まないといけなくなったが、休んだ分の補償はちゃんとしてもらえるのだろうか、と不安ではありませんか。

交通事故の被害にあい、仕事を休んだ場合には、本来もらえるはずの給料がもらえないことになります。このように給料がもらえない損害のことを「休業損害」といいます。「休業補償」とは、労災保険による休業の給付のことです。

休業損害は計算方法が適用される基準によって異なり、もらえる補償内容も異なることになります。

この記事では

  • (職業別)休業損害の計算方法
  • 休業損害の請求方法
  • 休業損害はいつまでもらえるのか

について解説しています。

この記事を読んでいただければ、適切な休業損害の請求方法がわかるでしょう。

交通事故の休業補償と休業損害は違う!

休業補償との違い

交通事故のために仕事を休業し、本来もらえるはずだった給料がもらえないという損害のことを「休業損害」といいます。

「休業補償」とは、労働者が業務上の事故等により仕事ができなくなったことで生じる損害に対する労災保険による給付のことです。

交通事故が、業務中または通勤中の事故の場合には、仕事ができずもらえなかった給料について、加害者への休業損害の請求と、労災保険に対する休業補償の請求を行うことができます。もちろん二重取りはできません。

労災保険の休業補償については金額が定まっており、請求方法も決まっています。そのため、以下の章では、「休業損害」について解説します。

休業補償の内容と申請方法

労災保険では、休業補償として「給付日額の80%(休業(補償)給付=60%+休業特別支給金=20%)」が支給されます。

申請の流れとしては

  1. 労働者が雇用主に労働災害が発生した旨を報告する
  2. 雇用主が労働基準監督署長宛に必要書類の提出を行う
  3. 労働基準監督署が調査を行う
  4. 保険金が給付される

という順で進みます。

休業補償の請求の仕方等については、下記の記事で解説していますので、ご参照ください。

仕事中に交通事故に遭った!労災保険のメリット・手続き方法を解説!

職業別、休業損害の計算方法

計算方法

休業損害は【日額×休業日数】で計算されます。

休業損害の日額については、金額や計算方法が、適用される基準によって異なります。その基準とは、自賠責基準と任意保険基準、弁護士基準の3つです。

なお、自賠責基準の場合の休業損害の日額は原則6100円(令和2年3月31日までに発生した事故については5700円)となります。

下記では、被害者の職業別に、弁護士基準の休業損害の日額と計算方法を解説します。

会社員の場合

会社員が仕事を休んだり、有給を使用した場合に、その日数分休業損害を請求できることになります。

弁護士基準の場合の日額は、

【事故前3か月間の給与合計額÷90日】

で計算することが多いです。

なお,日額を

【事故前3か月間の給与合計額÷事故前3か月間の実際の稼働日数】

で計算することもあります。

半休の場合にも、その分の休業損害を請求できます。

 

Column 有給を使用した場合に休業損害を請求できる理由

休業損害は、会社から給料が支払われないことが損害なので,有給休暇の場合には会社から給料が支払われている以上、給料がもらえないという損害はないため、休業損害を請求できないとも考えられます。

もっとも,自賠責保険においても,裁判例においても,年次有給休暇使用分が休業による損害として評価され,年次有給休暇使用分についての休業損害の請求を認めています。理由としては,有給使用権に財産的価値を認めているからであると考えられます。

なお,これとは別に,代休を使用した場合には休業損害を請求することはできません。休日に通院しても休業損害を請求できないのと同様,代休は休みを変更しているに過ぎないからです。

 

主婦(主夫)の場合

主婦(主夫)の場合にも,家事労働をしていたとして,家事労働ができなかったことに対する休業損害を請求することができます。

休業損害の日額

日額は,事故が発生した当時(当時のものが発表されていない場合は事故前年)の「女性・学歴計・年齢計」の平均賃金額(厚労省「賃金構造基本統計調査」(賃金センサス)を参照)を年収とし、これを365日で除した額が主婦(主夫)の休業損害の日額になります。なお,高齢者の場合には,「女性・学歴計・年齢別」の賃金センサスを用いることもあります。

休業日数

休業日数については,実際に家事をしなかった日を特定して証明することはできないため、通院日を休業日数として算定する方法もありますが,通院期間に応じて,家事への支障割合を逓減(ていげん)方式で計算する方法もあります。

これは,事故から1か月は家事労働への支障割合80%,事故から2,3か月目は支障割合50%等と仮定して,1か月目は「日額×80%×30日」,2,3か月目は「日額×50%×60日」,として休業損害額を算定する方法です。

また、通院期間の家事への影響を平均化して、「日額×20%×通院期間」として計算する方法もあります。

自営業者の場合

自営業者の場合には基本的には

(事故前年度の申告所得(収入から経費を除いたもの)÷365日)×休業日数

として,休業損害額を計算します。

申告所得よりも実際の収入が多い場合には,その実際の収入を基礎とすることも有り得ますが,意図的に過少申告していたということになるため実際の収入額を認定してもらうことは厳しいです。

なお,休業していても発生してしまう「固定費(家賃等)」については,その金額を所得額に含めることが多いです。

アルバイト、パートの場合

パート、アルバイトの方も会社員と同様に休業損害を請求することができます。

その場合の日額は、

【事故前3か月間の給与合計額÷90日】

で計算したり、

【時給×事故前3か月間の1日当たりの平均労働時間】

で計算することになります。

無職者の場合

無職者の場合には、事故がなかった場合にもらえるはずであった給料がないため、原則として休業損害を請求することはできません。

もっとも、無職であっても、休職中であり、就労の意欲や能力、就労の蓋然性(内定を受けていた等)がある場合には例外的に休業損害を請求できることが有ります。

この場合の日額は、

【前職での給料日額】や【内定先の給料日額】によって算定することになります。

休業損害の請求方法

証明書

休業損害は、基本的には加害者の保険会社に請求することになり、その場合には一定の資料を提出する必要があります。

会社員、アルバイト、パートの場合

会社員等の給与所得者は「休業損害証明書」という書式を保険会社からもらいます。

そして、それを勤務先に提出し、従前の給料額や、休業した日を記入してもらい、それを保険会社に提出することによって休業損害を請求していくことになります。

また、就労していた証拠として、事故前年度の源泉徴収票も必要となります。

なお、休業したために、会社での成績が悪くなり、賞与が減額されたという場合には、別途「賞与減額証明書」という書式に、賞与が減額された旨記載してもらいましょう。

主婦(主夫)の場合

主婦(主夫)の場合には、従前家事労働に従事していたことを証明する必要があります。

この場合には「住民票」であったり「家族構成表」を提出することによって、同居家族の有無を主張していくことになります。

なお、日本では未だ女性が家事をするもの、と考えられていることから、主夫の場合にはこれに加えて、夫婦の収入資料の提出を求められることが多いです。

自営業者の場合

自営業者の場合には、給与所得者と異なり、休業したことを証明してくれる人が存在しないため、休業損害証明書を書いてもらうことができません。

したがって、帳簿等で休業していた間、収入がなかったことを証明したり、基礎収入算定のために、事故前年度の確定申告書を提出して休業損害の請求をしていくことになります。

休業損害はいつまでもらえるのか

休業損害は、交通事故の治療や痛みのために休業してしまったことを補填するものですので、通院終了(治癒や症状固定)までの分を請求することができます。

もっとも、事故日から最終治療日まで全期間休業したからといって、全日の休業損害がもらえるわけではありません。休業の必要性・相当性がある範囲しか認められないからです。

休業が必要かは業種によって異なるため一概には言えませんが、むち打ち症の場合には、長くても1か月間程度の休業しか認められないことが多いでしょう。

なお、治療終了後も後遺障害により労働能力が喪失し、収入が下がってしまったことへの補償は、後遺障害逸失利益による補償となります。

逸失利益については下記の記事で解説していますのでご参照ください。

交通事故逸失利益の全知識!計算方法や基礎収入の認定方法も解説

休業損害の請求については弁護士に相談しよう

休業損害の請求は、どのような資料を提出するかや、日額をどのように計算するのかなど、難しいことも多いです。また、日額を自賠責基準から弁護士基準に増額できるというメリットもあります。

したがって、休業損害の請求も含めた示談交渉は、弁護士に依頼して行ってもらうのがいいでしょう。

 

交通事故の相談なら法律事務所MIRAIOへ

交通事故の被害者になってしまった場合は、休業損害額の計算や資料の収集など、専門的な知識が求められます。また、初期対応を間違えてしまうと,後々取り返しのつかない不利益が生じてしまうこともありますので、なるべく早い段階で弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

損害額の算出、専門的書類の作成をしてもらえる

交通事故の損害賠償を請求するには、交通事故の調査、損害額の算出、内容証明郵便の作成、示談書の作成、訴状の作成など、専門的な知識と経験が求められる作業がいくつもあります。

このような時間と手間のかかる作業を弁護士に一任することで、治療に専念することができます。

示談や訴訟の代理人になってもらえる

加害者や保険会社との示談交渉や訴訟の代理人になってもらうことができますので、ご自身で直接相手方と話す必要がありません。

この点において、精神的な負担も軽減することが可能です。

より高額の示談金を受け取ることが出来る可能性がある

弁護士に依頼した場合、損害額は弁護士会の基準で算出します。この弁護士会の基準というのは、過去の判例(裁判所の判決内容)を参考に基準額を算定したもので、自賠責保険や任意保険会社の基準よりも高額となっています。

例えば、後遺障害等級第1級の慰謝料は、自賠責保険基準だと上限1650万円ですが、弁護士会基準で算出すると上限2800万となり、実に1150万円もの差があります。

1150万円アップ

弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用は無料になるかも!?

弁護士特約とは、自動車保険や火災保険などに付いている特約のことで、この特約が付いた保険に加入していると、加害者に損害賠償請求する際にかかる弁護士費用についても保険金の対象となります。

一般的には、着手金や成功報酬に300万円まで、相談料や書類作成費用に10万円までが支給されます。

弁護士特約の詳細については、こちらの記事もご参照ください。

「弁護士費用特約の4つの特徴」

MIRAIOが選ばれる理由

交通事故被害について弁護士に相談されるなら、まずは「法律事務所MIRAIO」でご相談ください。MIRAIOには次のような強みがあります。

相談実績14,000件以上

MIRAIOは創業以来、20年以上にわたり交通事故被害の解決に力を入れてきました。実にその相談件数は14,000件以上に上っています。

医学的知見が豊富

MIRAIOは、医療過誤(医療ミス)やB型肝炎訴訟にも力を入れていますので、医師との協力関係もあり、医学的な知見を豊富に持ち合わせています。

特に、後遺障害がどの等級で認定されるかについては、示談金の金額に大きく影響します。例えば、弁護士会基準による第2級の慰謝料は2370万円ですが、これが第1級に上がると2800万円となり、実に430万円もの増額が可能なのです。

そして、この認定を左右するのが医師の診断書です。MIRAIOであれば、医学的知見を駆使して、より高い後遺障害等級の認定が得られやすい診断書についてのアドバイスをすることが可能です。

損害保険会社の代理人経験も!経験豊富な弁護士が多数在籍

MIRAIOには、交通事故被害に関する経験が豊富な弁護士が多数在籍しています。中には、大手損害保険会社の代理人経験のある弁護士もおります。

示談金がいくらになるかについては、保険会社との交渉次第ですので、相手側の事情に通じていればその分交渉が有利となり、より多くの示談金をえるための効果的な戦略を立てることができます。

初回相談料・着手金無料!

MIRAIOでは交通事故の示談交渉の初回相談料・着手金は無料です。安心してご相談ください。

※ただし、弁護士費用特約付きの保険に加入されている場合は、保険会社の補償の範囲内で相談料や着手金をいただく場合があります。

MIRAIOでの解決事例

実際の解決事例をいくつかご紹介します。

※あくまでも一例ですので、すべての事件において同じような示談金を獲得できるとは限りません。

賠償額が1000万円以上アップ!

1000万円以上アップ

被害者:30代 男性 会社員
事故の概要:バイクで交差点を直進中に、右折してきた自動車と衝突した。
過失割合:被害者15%
後遺障害等級:12級
保険会社の提示金額:約500万円
最終的な示談金額:約1500万円

最初に保険会社が提示してきた金額の中で、特に問題があったのが後遺障害による「逸失利益(事故がなければ得ることができたであろう将来の給与・収入など)」の額でした。

保険会社が計算した逸失利益は、約300万円でしたが、これは一般的な計算基準から見ても明らかに少なすぎる金額でしたので、MIRAIOは正当な方法で計算しなおして、約1300万円と算出しました。

さらに、慰謝料についても増額し、最終的には1500万円余りの示談金を獲得しました。

まさかの提示額10万円からの大逆転!示談金900万円を獲得!

被害者:40代 女性 アルバイト
事故の概要:自転車で横断歩道を走行中に、左折してきた自動車に衝突された。
過失割合:被害者10%
後遺障害等級:12級
保険会社の提示金額:10万円
最終的な示談金額:約900万円

最終的に後遺障害とまで認定される大怪我を負ったにもかかわらず、保険会社からの当初の提示額はたったの10万円でした。

MIRAIOは、保険会社が審査すらしていなかった後遺障害の認定を得ることに成功し、それに伴い、後遺障害の慰謝料として290万円、逸失利益として約560万円を獲得しました。さらに、怪我の慰謝料や休業損害の増額にも成功し、最終的には約900万円の示談金を獲得しました。

保険会社から目を疑うような示談金を提示され、もっともらしい説明を受けたとしても、簡単には同意しないでください。納得できないところがあれば、示談書にサインする前にMIRAIOにご相談ください。

過失割合も減額して約1200万円アップ!

1200万以上アップ

被害者:40代 男性 会社員
事故の概要:歩行中に後ろから自動車にはねられた。
過失割合:被害者45%⇒30%へ
後遺障害等級:8級
保険会社の提示金額:800万円余り
最終的な示談金額:2000万円余り

保険会社からは、後遺障害による逸失利益や慰謝料として800万円余りを提示されました。

その後交渉を重ねることで、逸失利益と慰謝料の合計2000万円余りの獲得に成功しました。

さらに、過失割合についても、当初は被害者45%の過失を主張されていましたが、事故当時の状況を細かく分析し、反論した結果、30%にまで下げることができました。

結果として、示談金は約1100万円以上も増額させることに成功しました。

過失割合も示談金に大きく影響が出ます。納得できないところがあれば、MIRAIOにご相談ください。

ADR制度を利用して和解成立

被害者:40代 男性 会社員
事故の概要:自転車で交差点を横断中に、右折してきた自動車と衝突した。
後遺障害等級:12級
保険会社の提示金額:約280万円
最終的な和解金額:約770万円

保険会社からの提示には後遺障害の逸失利益が全く含まれていませんでした。

MIRAIOにて妥当な逸失利益の金額を算出したところ、約950万円となり、さらに、慰謝料についても増額し、合計約1200万円を請求しました。

しかし、保険会社側に歩み寄る姿勢が見られなかったため、交通事故紛争処理センターにADRの申請をしました。

その結果、約500万円の逸失利益が認められ、合計約770万円で和解が成立しました。

示談交渉がうまくいかない場合でも、第三者機関によるあっせん手続きであるADRや、裁判所手続きの調停や訴訟により解決することができます。

MIRAIOであれば、示談交渉だけでなく、ADRや調停・訴訟の代理人となることができますので、安心してお任せください。

まとめ

いかがだったでしょうか。

休業損害の計算方法や請求方法がわかりましたでしょうか。

休業損害は原則として「日額×休業日数」により計算します。

休業損害の請求は、必要な資料の収集が難しかったり、日額をどうするかについての交渉が入ることが多いです。

適切な休業損害額を得るためには、弁護士に依頼して交渉してもらった方がいいでしょう。