B型肝炎の母子感染(垂直感染)とは?確率や感染防止策|給付金の条件も解説

考える女性

病院でB型肝炎の垂直感染って言われたけど、そもそも垂直感染って何?

不安げな女性

私はB型肝炎キャリアですが、子どもができたら、100%母子感染させてしまうの?感染防止するにはどうしたらいい?

疑う男性

B型肝炎給付金のことを医者に相談したら、母子感染だから対象にならないと言われました。本当でしょうか?

B型肝炎の垂直感染とは、母子感染のことです。
母子感染であっても、B型肝炎給付金を受け取れる可能性があります

ここでは、次の内容について解説します。

  • B型肝炎の母子感染とは?
  • 母子感染する確率と感染したらどうなるか?
  • 母子感染を防止するにはどうしたらいい?
  • 母子感染の場合でも給付金もらえる?その条件は?

B型肝炎の母子感染(垂直感染)とは?

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染することによって起こる肝臓の病気です。

B型肝炎ウイルスは、血液などの体液を介して感染します。その感染経路は、母子感染(垂直感染)とそれ以外の水平感染に分類されます。

母子感染とは、B型肝炎ウイルスに感染した母親から、その胎児もしくは出生児へ、出産前後に感染することです。

乳幼児は、免疫機能が確立していませんので、B型肝炎ウイルスに感染してもウイルスを体外に排除することができず、持続感染(6か月以上感染状態が継続すること)します。
このように、B型肝炎ウイルスに持続感染している人のことをB型肝炎キャリアと言います。

B型肝炎の母子感染(垂直感染)とは?

B型肝炎が母子感染(垂直感染)する確率は?

B型肝炎が母子感染する確率は、母親のHBe抗原の有無により異なります。

HBe抗原とは、B型肝炎ウイルスが増殖する際に作られるたんぱく質です。HBe抗原があるということは、B型肝炎ウイルスが活発に増殖しており、感染力が強いということを意味します。

HBe抗原が陽性の母親から生まれた子が母子感染する確率は、80~90%です。さらに、その90%以上の子が、持続感染し、B型肝炎キャリアとなります。

HBe抗原が陰性の母親から生まれた子の場合は、6~7%の確率で一過性感染が起こり、急性肝炎や劇症肝炎を発症する恐れがあります。

B型肝炎の母子感染(垂直感染)とは?

母子感染(垂直感染)でB型肝炎キャリアになったらどうなる?

母子感染により、B型肝炎ウイルスに持続感染し、B型肝炎キャリアとなると下図のような経過をたどります。

母子感染後の自然経過

免疫機能が未熟なうちは、ウイルスに感染しても身体が何の反応もせず、症状も出ません。この状態が、無症候性キャリアです。

免疫機能が確立してくる15~30歳ごろになると、免疫の力でウイルスを体外に排除しようとします。その際に、ウイルスだけでなく肝臓の細胞(肝細胞)も一緒に攻撃してしまい、肝炎を発症します。

肝炎を発症した人の85~90%は、ウイルスを排除でき、抗体ができて、肝炎は落ち着きます(非活動性キャリア)。ところが、残りの10~15%の人は、肝炎の状態が続いてしまいます。

このように、肝炎が6か月以上続いた状態のことを慢性肝炎と言います。

慢性肝炎が長年続くと、肝細胞の破壊と再生が繰り返されます。その結果、肝臓の線維化が進行し、硬く小さくなってしまいます。これが、肝硬変です。

また、肝細胞の破壊と再生という過程において、肝細胞が突然変異することで、肝がんを発症する恐れもあります。

B型肝炎の母子感染(垂直感染)防止対策とは?

B型肝炎の母子感染を防止するため、昭和61年1月から、国による母子感染防止事業が実施されています。
具体的には、すべての妊婦が公費負担でHBs抗原の検査を受け、HBs抗原が陽性だった母親から生まれた子には、グロブリン(抗HBs人免疫グロブリン)B型肝炎ワクチンが投与されます。

グロブリン(抗HBs人免疫グロブリン)とは
B型肝炎ウイルスに対する抗体を多く含んだ薬剤で、B型肝炎ウイルスを速やかに中和して、肝炎の発症を予防する効果があります。

B型肝炎ワクチンについては、次の記事もご参照ください。

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グロブリンとB型肝炎ワクチンの接種対象

HBs抗原が陽性の母親から生まれた子

グロブリンとB型肝炎ワクチンの接種スケジュール

生後6か月までに、計3回接種します。

  • 1回目:出生直後(なるべく12時間以内) グロブリンとB型肝炎ワクチン
  • 2回目:生後1か月 B型肝炎ワクチン
  • 3回目:生後6か月 B型肝炎ワクチン

グロブリンとB型肝炎ワクチンの接種費用

接種費用は、健康保険が適用されます。

B型肝炎は母乳でも感染するのか?

B型肝炎に感染している母親から生まれた子には、生後すぐにグロブリンとB型肝炎ワクチンが投与されており、B型肝炎ウイルスに対する一定の抵抗力があるため、母乳で感染する可能性は極めて低いです。

むしろ母乳には、乳児にとって理想的な栄養が含まれており、感染症を防いだり、乳幼児突然死症候群で死亡する確率を減らしたりする効果もあります。
B型肝炎に感染しているからといって、授乳を控えないようにしましょう。

ただし、乳首や乳輪に傷があって出血しているような場合には、血液を介して感染する可能性がありますので、傷が治るまでは授乳を控えるようにしましょう。

B型肝炎に母子感染(垂直感染)したかどうかの検査方法と対処法

B型肝炎に母子感染しているかどうかは、血液検査で確認することができます。

B型肝炎に感染している(HBs抗原が陽性である)母親から生まれた子には、生後6か月までにグロブリンとB型肝炎ワクチンが3回接種されますが、その後、生後9~12か月を目安に、HBs抗原HBs抗体の検査がされます。

HBs抗原が陽性の場合は、B型肝炎に感染しているということになり、HBs抗体が陽性の場合は、B型肝炎の抗体ができているということになります。

具体的な検査結果と、その後の対処方法は次のとおりです。

B型肝炎の母子感染(垂直感染)の検査方法と対処法

HBs抗原陰性、HBs抗体≧10mIU/mL の場合

この場合、B型肝炎には感染しておらず、抗体が獲得できていますので、母子感染防止に成功しており、ワクチン接種はこれで終了となります。

B型肝炎の母子感染(垂直感染)の検査方法と対処法

HBs抗原陰性、HBs抗体<10mIU/mL の場合

この場合、B型肝炎には感染していませんが、抗体の獲得が不完全ですので、B型肝炎ワクチンの追加接種が必要です。

B型肝炎の母子感染(垂直感染)の検査方法と対処法

HBs抗原陽性 の場合

この場合、B型肝炎に感染していますので、母子感染防止は失敗ということになります。
その後は定期検査が必要となりますので、専門医療機関の受診が勧められます。

なお、B型肝炎に関する検査については、次の記事もご参照ください。

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母子感染でもB型肝炎給付金の対象になる!条件と必要書類とは?

B型肝炎給付金とは、幼少期の集団予防接種等(予防接種またはツベルクリン反応検査)の際の注射器の回し打ちが原因で、B型肝炎ウイルスに持続感染した方などに対し、国が損害賠償として支払う金銭のことです。

給付金は、集団予防接種で直接的にB型肝炎ウイルスに感染した方(一次感染者)に加え、一次感染者から母子感染などによって感染した方(二次感染者)も対象となります。

病院などで、「母子感染は対象にならない」などと言われることがあるようですが、それは正確ではありません。一定の条件を満たせば、母子感染であっても給付金の対象になるのです。

母子感染の方が給付金の対象になる条件は、次の3つです。

  1. 母親が一次感染者の条件を満たすこと
  2. B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  3. 母子感染であること

条件1

母親が一次感染者の条件を満たすこと

一次感染者としての条件は、次の7つです。

  1. B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  2. 満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること
  3. 集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと
  4. 母子感染(母親からの感染)でないこと
  5. 父子感染(父親からの感染)でないこと
  6. 成人後感染でないこと
  7. その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと

この条件の詳しい内容や必要書類については、次の記事をご確認ください。

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条件2

B型肝炎ウイルスに持続感染していること

血液検査のための採血持続感染とは、B型肝炎ウイルスに6か月以上継続して感染していることです。
この条件を確認するためには、次の書類が必要です。

  1. 本人の血液検査結果(次のAまたはB)
    A:次のいずれかの2回分の結果(6か月以上の間隔が空いているもの)
       ・HBs抗原 陽性
       ・HBV-DNA 陽性
       ・HBe抗原 陽性
    B:HBc抗体 高力価陽性(一定以上の値の陽性)
  2. 本人の血液検査の報告書(医療照会書)

条件3

母子感染であること

母親からB型肝炎ウイルスに感染したということを、客観的に証明する必要があります。
そのためには、次の書類が必要です。

  1. 母親の戸籍謄本/除籍謄本
  2. 本人と母親の医療記録
    A:本人が出生する前後6か月の母親の医療記録
    B:出生後6か月の肝疾患に関する本人の医療記録
    C:医療記録の不存在証明書(廃棄などにより上記医療記録が存在しない場合)
  3. 次のA、Bのいずれかの書類
    A:本人が出生直後にすでにB型肝炎ウイルスに持続感染していたことを示す資料
    B:本人と母親とのB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査結果(本人と母親のB型肝炎ウイルスの塩基配列が一致するもの)
  4. 次のA~Eのすべての条件を満たしていることを確認できる資料(3の書類が提出できない場合)
    A:出生前に母親の感染力が弱かったこと(HBe抗原陰性だったこと)が確認されないこと
    B:本人の生年月日が昭和60年12月31日以前であること
    C:医療記録等に母子感染とは異なる原因の存在を伺わせる具体的な記載がないこと
    D:父親が持続感染者ではない、もしくは父親との塩基配列が同定されないこと
    E:ジェノタイプAeではないこと

給付金の金額

母子感染(二次感染者)の場合も、給付金の金額は一次感染者と同じです。
B型肝炎の病状(病態)に応じて、次の表のとおりです。

給付金等の内容2

父子感染でもB型肝炎給付金の対象になるかも!

離乳食を与える父親

B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染しますが、唾液や汗にも微量のウイルスが含まれていることがわかっています。

そのため、B型肝炎ウイルスに感染している父親が、乳幼児に口移しで食物を与えたりすると、父子感染を起こす可能性があります。

このような場合も、次の条件を満たせば、給付金が支給される可能性があります。

  1. 父親が一次感染者の条件を満たすこと
  2. B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  3. 父子感染であること

1、2の条件を証明する書類は母子感染の時と同様ですが、3については「本人と父親とのB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査結果(本人と父親のB型肝炎ウイルスの塩基配列が一致するもの)」が必要です。

なお、父子感染については、次の記事もご参照ください。

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兄弟姉妹や子どももB型肝炎給付金の対象になるかも!

ご自身が母子感染であるということは、当然、母親がB型肝炎ウイルスに感染しているということですので、同じ母親から生まれた兄弟姉妹も感染している可能性があります。

その場合は、兄弟姉妹も同じ条件を満たせば、給付金の対象になります。

さらに、自分の子にも感染している可能性があります。昭和61年以降は、B型肝炎ウイルスに感染している母親から生まれた子にはB型肝炎ワクチンが投与されるようになりましたが、それでもキャリア化してしまうケースはあるようです。

そのような場合も、一定の条件を満たせば、子についても、三次感染者として給付金の対象になる可能性があります

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B型肝炎訴訟は、自分で手続きをすることもできますが、さまざまな書類を収集したり、役所や医療機関と連絡を取ったり、裁判所に出廷したりする必要があります。

また、提出書類に不備があると、本来受け取れるはずであった給付金が受け取れなくなってしまう可能性もありますので、法律の専門家である弁護士に依頼するのが一番です。

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B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

訴状などの書類作成を任せることができる

B型肝炎訴訟では、訴状や証拠一覧などの書類を作成しなければなりません。
これらは、裁判所に提出する書面ですので、法律の専門家である弁護士に任せた方が、迅速に、滞りなく作成することができます

必要書類収集のサポートを受けることができる

裁判所には、証拠資料となる血液検査結果や医療記録(カルテ)、公文書など、さまざまな書類を提出します。

これらの必要書類を収集するには、医療機関や市区町村役場、場合によっては、卒業した小学校などとも、やりとりしなければなりません。

ご自身で、全てこのようなやりとりを進めると、かなりの労力を要しますが、弁護士がいれば、わからないときにアドバイスを受けたり、医療機関や役所への案内書を作成してもらったりすることができます。

書類の精査により不備を防ぎ、迅速に給付金を受け取ることができる

集めた必要書類を、そのまま提出するだけでは、内容が間違っていたり、不足があったりします。完璧に集めたつもりでも、医療記録などの記載内容によって、新たな事実が判明し、追加書類を求められることもあります。

その点、B型肝炎訴訟の経験豊富な弁護士であれば、提出前に書類を隅々までチェックし、入念に精査でき、極力、不足書類が出ないように準備することができます。

その結果、給付金を受け取るまでの期間を短縮することが可能です。

裁判所への出廷を任せることができる

裁判所には、平日の日中に出廷しなければなりませんが、普通に働かれている場合には、なかなか日程を調整するのが難しいのではないでしょうか。

弁護士に依頼していれば、弁護士が代理人として、代わりに裁判所に出廷してくれますので、ご自身で出廷する必要はありません

その結果、時間と労力の大幅な節約ができるでしょう。

給付金の4%分が上乗せで支給される

弁護士に依頼して、手続きをした場合は、給付金の4%分が訴訟手当金として上乗せ支給されます。

例えば、弁護士に依頼して、50万円の給付金が支給される場合は、その4%の2万円が上乗せされ、総額52万円が支給されます。

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まとめ

母子感染であっても、一定の条件を満たせば、給付金の対象になります。
その条件は、次の3つです。

  1. 母親が一次感染者の条件を満たすこと
  2. B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  3. 母子感染であること

給付金額は、一次感染者の場合と同じで、B型肝炎の病状に応じて、50万円から3600万円となります。

父子感染の場合も、一定の条件を満たせば、給付金の対象になる可能性はあります。
ただし、条件の見極めや手続きの進め方については、知識や経験が求められますので、経験豊富な弁護士にご依頼されるのがよいでしょう。