損しないための交通事故の過失割合の決め方と争い方!賠償金への影響

交通事故の過失

交通事故の被害に遭い、加害者が任意保険に加入していたので、保険会社の担当者と示談の話をしていたところ、保険会社から、「今回の事故の過失割合は1:9と決まっているため、賠償金は全額支払えません」と言われた。

保険会社と示談の話をする際に「過失割合」というワードが出てくることが有ります。

過失とは事故発生に対する責任の事であり、過失割合とは、その責任割合の事です。

被害者にも過失割合があるとなると、加害者の過失分しか損害賠償請求できず、最終的にもらえる賠償金も少なくなってしまいます。

もっとも、保険会社の言っている過失割合は、それで決まりというわけではなく、保険会社と交渉することによって、過失割合を変えることができる場合もあります。

この記事では、

  • 過失割合の賠償金への影響
  • 過失割合の決め方
  • 過失割合の争い方
  • 事故態様別の基本的な過失割合

について解説しています。

この記事を読んでいただければ、保険会社と過失割合について交渉するための知識を獲得できるでしょう。

交通事故の過失割合とは

金額が下がる

交通事故の過失とは、交通事故が発生したことに対する責任のことです。自動車事故の場合には双方に過失があることが多く、事故の発生についてどちらに責任があるのかを示した割合のことを「過失割合」といいます。

交通事故の損害賠償の場合には、加害者の立場からすると自分の過失割合分のみ相手の損害を賠償すればよく、被害者の立場からすると自分の過失割合分もらえる賠償金が減ること(加害者の過失割合分のみしか請求できないこと)になります。このように、過失割合に応じて賠償額が減額されることを「過失相殺(かしつそうさい)」といいます。

過失割合によりどれくらい賠償金が変わるのか

交通事故で、被害者にも過失割合がある場合には、もらえる賠償金が、その過失割合分減額されることになります。

具体的には下記のようになります

賠償項目過失なし過失30%
治療費300,000円300,000円
交通費20,000円20,000円
休業損害200,000円200,000円
慰謝料700,000円700,000円
過失0%30%
賠償額1,220,000円854,000円

過失なしの場合には、治療費、交通費、休業損害などの実損を賠償額から補填しても、慰謝料として70万円残るのに対し、過失30%の場合には、実損を賠償額から補填すると、慰謝料として受け取れるのは33万4000円にとどまります。

これは、過失割合に基づいて過失相殺がされる場合には、慰謝料の他に、治療費や交通費等の実費についても加害者に請求できる金額が減額されることになるからです。

したがって、被害者にも過失割合がある場合には、被害者も損害額をできるだけ少なくできるように注意したほうがいいでしょう。

また、被害者にも過失割合がある場合には、その被害者の過失分、加害者の損害について被害者が賠償責任を負うことになります。

自賠責保険の保険金支払いの場合の過失相殺

自賠責保険とは、任意の保険とは異なる、加入が義務付けられている強制加入の保険のことです。

自賠責保険では、被害者保護の観点から、被害者に重過失(著しい注意義務違反)がある場合にのみ過失相殺が適用されます。例えば、被害者が信号無視をした場合や、横断禁止の場所を横断した場合などが当てはまります。

具体的な過失相殺の基準は、被害者の過失割合や被害の程度に応じて、次の表のように決まっています。

自賠責保険過失相殺

「減額適用上の被害者の過失割合」とは、事故状況から見た被害者の過失割合のことで、「減額割合」とは、実際に賠償金から減額される割合のことです。

つまり、自賠責保険の場合には、被害者に7割以上の過失がない場合には、過失相殺されることなく自賠責保険の保険金が支払われることになります。また、被害者の過失が8割5分であっても、保険金が85%減額されるのではなく、減額されるのは後遺障害・死亡部分は3割、傷害部分については2割にとどまります。

過失割合の決め方

交渉する

過失割合に絶対的な決まりはないため、基本的には、加害者や保険会社と交渉して決めたり、裁判の場合には裁判官が決めたりすることになります。自賠責保険への請求の場合には、自賠責保険が過失割合を決めます。なお、警察は民事の過失割合を決めることはできません

なので、保険会社が「過失割合は1:9です」と言っているとしても、それに従う必要はなく、争うことは可能です。

過失割合は過去の同種の事故をもとに決める

過失割合が上記のように、保険会社との交渉で決めるとしても、その場合に何ら基準もなく算定するのではなく、「過去の同様の事故態様の場合の過失割合」を参考として過失割合を算定することになります。

過失割合を決めるうえで参考となる書籍は

  • 別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」
  • 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称「赤い本」)

などがあります。

基本過失割合と過失割合の修正

過失割合は、事故状況によって「基本過失割合」を決めて、具体的な事情に応じて適宜過失割合を修正するという形で決まっていきます。

例えば、横断歩道上で歩行者と直進者の事故の場合には、歩行者の基本過失割合は下記のようになります。

横断歩道上/歩行者と直進車

過失割合(横断歩道上/歩行者と直進車)

ここから、車の重過失(居眠り運転、酒酔い運転、無免許運転、30㎞以上の速度違反など)等の修正要素や、歩行者にも過失(歩きスマホ等)の修正要素がある場合には、基本の過失割合が変動します。

事故の種類別の過失割合について

ここでは、事故の種類別に代表的なケースの「過失割合」を紹介します。

 

過失割合に不満がある場合の争い方

不満がある

保険会社から「過失割合は○対○です」と言われたとしても、それに従う必要はありません。過失割合は保険会社が決めるのではなく、交渉段階であれば当事者同士で交渉して決めることになるからです。

したがって、保険会社が提示してきた過失割合に納得できない場合には、保険会社と過失割合について交渉することになります。

過失割合の交渉をするうえで準備しておくこと

保険会社と過失割合について交渉する際には、準備しておいたほうがいいものとして

  • 同乗者や目撃者の証言
  • ドライブレコーダーの映像
  • 警察の刑事記録
  • 上記の過失割合について載っている書籍

があります。

主張したい事実が証拠として存在しなければ、話し合いになりませんし、事実があったとしてもそれが過失割合にどう影響するのか書籍で確認しておかないと、何ら意味のない主張になってしまう可能性もあります。

保険会社と過失割合の交渉をする際の心構え

保険会社と過失割合の交渉を行うにあたっては

  • 冷静な対応を心掛ける
  • 保険会社を恐れず言いなりとならない
  • 労を惜しまない

という3点を常に意識しておきましょう。

特に、冷静に対応しなければ、感情論のみで適切な主張を行うこともできなくなり、ひいてはいつまでたっても解決しないという事態に陥ることもあります。

過失割合に不満がある場合には弁護士に相談しよう

弁護士に相談

過失割合について保険会社と交渉するためには、上記のような証拠を集めて、それがどう過失割合に影響するのかについて説得的に主張する必要があります。

もっとも、個人でそのような準備をしたり交渉したりすることは困難であるため、自身が加入している保険会社の示談代行サービスを利用して保険会社に交渉を依頼するか、弁護士に相談したほうがいいでしょう。

なお、被害者の過失が0になるようなケースであれば、その後の賠償金の交渉を保険会社に任せることはできなくなるため、解決まで全て任せたいのであれば、弁護士に依頼するのが一番でしょう。

交通事故の相談なら法律事務所MIRAIOへ

交通事故の被害者になってしまった場合は、示談交渉のスケジュールや示談金を早めに受け取る方法など、専門的な知識が求められます。また、初期対応を間違えてしまうと,後々取り返しのつかない不利益が生じてしまうこともありますので、なるべく早い段階で弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

損害額の算出、専門的書類の作成をしてもらえる

交通事故の損害賠償を請求するには、交通事故の調査、損害額の算出、内容証明郵便の作成、示談書の作成、訴状の作成など、専門的な知識と経験が求められる作業がいくつもあります。

このような時間と手間のかかる作業を弁護士に一任することで、治療に専念することができます。

示談や訴訟の代理人になってもらえる

加害者や保険会社との示談交渉や訴訟の代理人になってもらうことができますので、ご自身で直接相手方と話す必要がありません。

この点において、精神的な負担も軽減することが可能です。

より高額の示談金を受け取ることが出来る可能性がある

弁護士に依頼した場合、損害額は弁護士会の基準で算出します。この弁護士会の基準というのは、過去の判例(裁判所の判決内容)を参考に基準額を算定したもので、自賠責保険や任意保険会社の基準よりも高額となっています。

例えば、後遺障害等級第1級の慰謝料は、自賠責保険基準だと上限1650万円ですが、弁護士会基準で算出すると上限2800万となり、実に1150万円もの差があります。

弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用は無料になるかも!?

弁護士特約とは、自動車保険や火災保険などに付いている特約のことで、この特約が付いた保険に加入していると、加害者に損害賠償請求する際にかかる弁護士費用についても保険金の対象となります。

一般的には、着手金や成功報酬に300万円まで、相談料や書類作成費用に10万円までが支給されます。

弁護士特約の詳細については、こちらの記事もご参照ください。

「弁護士費用特約の4つの特徴」

MIRAIOが選ばれる理由

交通事故被害について弁護士に相談されるなら、まずは「法律事務所MIRAIO」でご相談ください。MIRAIOには次のような強みがあります。

相談実績14,000件以上

MIRAIOは創業以来、20年以上にわたり交通事故被害の解決に力を入れてきました。実にその相談件数は14,000件以上に上っています。

医学的知見が豊富

MIRAIOは、医療過誤(医療ミス)やB型肝炎訴訟にも力を入れていますので、医師との協力関係もあり、医学的な知見を豊富に持ち合わせています。

特に、後遺障害がどの等級で認定されるかについては、示談金の金額に大きく影響します。例えば、弁護士会基準による第2級の慰謝料は2370万円ですが、これが第1級に上がると2800万円となり、実に430万円もの増額が可能なのです。

そして、この認定を左右するのが医師の診断書です。MIRAIOであれば、医学的知見を駆使して、より高い後遺障害等級の認定が得られやすい診断書についてのアドバイスをすることが可能です。

損害保険会社の代理人経験も!経験豊富な弁護士が多数在籍

MIRAIOには、交通事故被害に関する経験が豊富な弁護士が多数在籍しています。中には、大手損害保険会社の代理人経験のある弁護士もおります。

示談金がいくらになるかについては、保険会社との交渉次第ですので、相手側の事情に通じていればその分交渉が有利となり、より多くの示談金をえるための効果的な戦略を立てることができます。

初回相談料・着手金無料!

MIRAIOでは交通事故の示談交渉の初回相談料・着手金は無料です。安心してご相談ください。

※ただし、弁護士費用特約付きの保険に加入されている場合は、保険会社の補償の範囲内で相談料や着手金をいただく場合があります。

MIRAIOでの解決事例

実際の解決事例をいくつかご紹介します。

※あくまでも一例ですので、すべての事件において同じような示談金を獲得できるとは限りません。

賠償額が1000万円以上アップ!

1000万円以上アップ

被害者:30代 男性 会社員
事故の概要:バイクで交差点を直進中に、右折してきた自動車と衝突した。
過失割合:被害者15%
後遺障害等級:12級
保険会社の提示金額:約500万円
最終的な示談金額:約1500万円

最初に保険会社が提示してきた金額の中で、特に問題があったのが後遺障害による「逸失利益(事故がなければ得ることができたであろう将来の給与・収入など)」の額でした。

保険会社が計算した逸失利益は、約300万円でしたが、これは一般的な計算基準から見ても明らかに少なすぎる金額でしたので、MIRAIOは正当な方法で計算しなおして、約1300万円と算出しました。

さらに、慰謝料についても増額し、最終的には1500万円余りの示談金を獲得しました。

まさかの提示額10万円からの大逆転!示談金900万円を獲得!

被害者:40代 女性 アルバイト
事故の概要:自転車で横断歩道を走行中に、左折してきた自動車に衝突された。
過失割合:被害者10%
後遺障害等級:12級
保険会社の提示金額:10万円
最終的な示談金額:約900万円

最終的に後遺障害とまで認定される大怪我を負ったにもかかわらず、保険会社からの当初の提示額はたったの10万円でした。

MIRAIOは、保険会社が審査すらしていなかった後遺障害の認定を得ることに成功し、それに伴い、後遺障害の慰謝料として290万円、逸失利益として約560万円を獲得しました。さらに、怪我の慰謝料や休業損害の増額にも成功し、最終的には約900万円の示談金を獲得しました。

保険会社から目を疑うような示談金を提示され、もっともらしい説明を受けたとしても、簡単には同意しないでください。納得できないところがあれば、示談書にサインする前にMIRAIOにご相談ください。

過失割合も減額して約1100万円アップ!

被害者:40代 男性 会社員
事故の概要:歩行中に後ろから自動車にはねられた。
過失割合:被害者45%⇒30%へ
後遺障害等級:8級
保険会社の提示金額:800万円余り
最終的な示談金額:2000万円余り

保険会社からは、後遺障害による逸失利益や慰謝料として800万円余りを提示されました。

その後交渉を重ねることで、逸失利益と慰謝料の合計2000万円余りの獲得に成功しました。

さらに、過失割合についても、当初は被害者45%の過失を主張されていましたが、事故当時の状況を細かく分析し、反論した結果、30%にまで下げることができました。

結果として、示談金は約1100万円以上も増額させることに成功しました。

過失割合も示談金に大きく影響が出ます。納得できないところがあれば、MIRAIOにご相談ください。

ADR制度を利用して和解成立

被害者:40代 男性 会社員
事故の概要:自転車で交差点を横断中に、右折してきた自動車と衝突した。
後遺障害等級:12級
保険会社の提示金額:約280万円
最終的な和解金額:約770万円

保険会社からの提示には後遺障害の逸失利益が全く含まれていませんでした。

MIRAIOにて妥当な逸失利益の金額を算出したところ、約950万円となり、さらに、慰謝料についても増額し、合計約1200万円を請求しました。

しかし、保険会社側に歩み寄る姿勢が見られなかったため、交通事故紛争処理センターにADRの申請をしました。

その結果、約500万円の逸失利益が認められ、合計約770万円で和解が成立しました。

示談交渉がうまくいかない場合でも、第三者機関によるあっせん手続きであるADRや、裁判所手続きの調停や訴訟により解決することができます。

MIRAIOであれば、示談交渉だけでなく、ADRや調停・訴訟の代理人となることができますので、安心してお任せください。

まとめ

いかがだったでしょうか。

保険会社から過失割合を言われた時の争い方がわかりましたでしょうか。

もっとも、被害者も車を運転中であれば、よっぽどなことがない限り、事故発生について前方注意義務違反となり、一定の過失はついてしまいます。

ただし、保険会社の言っている過失割合が絶対というわけではないため、過失割合について争えるのかどうかについても弁護士に一度相談してみたほうがいいでしょう。