B型肝炎訴訟の対象者とは?給付金がもらえる条件と必要書類を解説

年配の男性

B型肝炎キャリアで症状はないけど、B型肝炎訴訟の対象になるのかな?
どんな手続きになるのだろう?

B型肝炎ウイルスに感染していれば、症状がなくてもB型肝炎訴訟の対象になる可能性があります。
むしろ、症状がないときに給付金を受けておいた方が、今後のためにも良いでしょう。

ここでは、B型肝炎訴訟の対象者、給付金がもらえる条件必要書類を解説します。さらに、受け取れる給付金の金額手続きの流れなどもご紹介します。

これを読んで、まずは、ご自身がB型肝炎訴訟の対象者になるかどうかを確認してみましょう。

B型肝炎訴訟とは?

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染することによって起こる肝臓の病気です。

B型肝炎訴訟とは、幼少期の集団予防接種等(予防接種またはツベルクリン反応検査)によってB型肝炎ウイルスに感染した方などが、国に損害賠償を請求するための手続きです。

B型肝炎ウイルスは、血液などによって感染しますが、昔の集団予防接種等では、注射器(注射針や注射筒)の回し打ちが横行していました。そのため、子どもから子どもへと感染が拡がってしまったのです。

国は、このような事態を把握できたにもかかわらず、注射器の回し打ちを止めるよう適切な指導をしませんでした。そのため、国の過失が問われ、平成18年には最高裁判所の判決により国の賠償責任が確定しました。

平成24年1月、B型肝炎の給付金制度が始まり、国による損害賠償は給付金という形で支給されることになりました。

B型肝炎訴訟の対象者とは?

B型肝炎訴訟、つまり、給付金の対象者には、大きく分けて「一次感染者」「二次感染者」「それらの相続人」がいます。

一次感染者とは、幼少期の集団予防接種等によりB型肝炎ウイルスに感染した方

二次感染者とは、「一次感染者」から母子感染などによりB型肝炎ウイルスに感染した方

それらの相続人とは、亡くなった「一次感染者」と「二次感染者」の相続人(遺族)のことです。

なお、B型肝炎訴訟の必要書類について、詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

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 2022.07.05

一次感染者の条件

予防接種

「一次感染者」とは、幼少期の集団予防接種等により、直接、B型肝炎ウイルスに感染した方のことです。一次感染者として認定されるには、次の条件を満たす必要があります。

  1. B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  2. 満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること
  3. 集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと
  4. 母子感染(母親からの感染)でないこと
  5. 父子感染(父親からの感染)でないこと
  6. 成人後感染でないこと
  7. その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと

一次感染者の条件①

B型肝炎ウイルスに持続感染していること

持続感染とは、感染状態が6か月以上継続することです。
B型肝炎ウイルスに持続感染している人のことを、「B型肝炎ウイルスキャリア」と呼びます。

給付金の対象になるには、持続感染していることが条件ですので、一過性感染(感染しても、すぐにウイルスが体から排除され、免疫を獲得するような状態のこと)は対象外です。

必要書類

◆本人の血液検査結果(①または②)
 ① 次のいずれかの項目が、2回とも陽性であるもの(6か月以上の間隔が空いている2時点分)
  ・HBs抗原
  ・HBV-DNA
  ・HBe抗原
 ② HBc抗体 高力価陽性(一定以上の値の陽性)であるもの

※市区町村の肝炎ウイルス検診や健康診断でもB型肝炎ウイルスの検査はされますが、たいていの場合、HBs抗原の検査しかされません。そのため、それだけでは、持続感染の証明ができませんので、必ず医療機関で検査を受けましょう。

献血でB型肝炎を指摘された場合は対象者になる?
日本赤十字社の献血では、「HBs抗原」「HBs抗体」「HBc抗体」「HBV-DNA」の検査がされます。

このうち、HBs抗原HBV-DNAが陽性の場合は、対象になる可能性がありますが、HBs抗体が陽性なだけでは対象になりません。

HBc抗体については数値次第ですが、平成24年(2012年)8月に、日本赤十字社の判定基準が厳格化され、低い値の陽性であっても、血液製剤として「不適」と判定するようになりました。

そのため、それまでは何も指摘されなかったのに、平成24年8月以降に急に指摘されるようになった場合は、HBc抗体は低い値の陽性でしかなく、給付金の対象になる可能性は低いでしょう。

一次感染者の条件②

満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること

健康な成人がB型肝炎ウイルスに感染しても、免疫機能により、ウイルスが体外に排除され、持続感染化することはありません。

B型肝炎訴訟においては、遅くとも6歳ごろまでにB型肝炎ウイルスに感染しないと持続感染化しないとされています。

そのため、満7歳になるまでに、感染の原因である集団予防接種等を受けていることが条件となるのです。

必要書類
◆①~③のいずれかの資料
 ① 母子健康手帳(原本)
 ② 市区町村の予防接種台帳(①がない場合)
 ③ 次の(1)から(4)のすべての書類(①も②もない場合)
  (1)母子健康手帳が提出できない事情を説明した陳述書(本人や母親などが記載)
  (2)集団予防接種等に関する陳述書(母親などが記載)
  (3)接種痕(注射の痕)が残っていることを確認した医師の意見書
  (4)満7歳になるまでの居住歴が確認できる公文書(戸籍の附票など)など

一次感染者の条件③

集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと

B型肝炎訴訟における国の責任期間は、予防接種が施行された昭和23年7月1日から、国が注射筒の1人ごとの取り替えを指導した昭和63年1月27日までとされています。

この期間に、集団予防接種等を受けたことが確認できれば、基本的には、注射器の連続使用(回し打ち)があったものと認められます。

なお、この期間が始まる昭和23年7月1日の時点で満7歳未満でないとなりませんので、生年月日が昭和16年7月2日から昭和63年1月27日までの方が一次感染者となります。

一次感染者の条件④

母子感染(母親からの感染)でないこと

母子感染は、幼少期のB型肝炎ウイルス感染を引き起こす、最も有力な原因とされています。

そのため、たとえ幼少期に集団予防接種等を受けていたとしても、母子感染でないということを証明しなければ、集団予防接種等による感染とは認められません。

母子感染でないことを証明するには、母親がB型肝炎ウイルスに持続感染していないことを証明する必要があります。

必要書類
◆母親(もしくは年長きょうだい)の血液検査結果(①および②)
 ①HBs抗原 陰性であるもの
 ②HBc抗体 陰性もしくは低力価陽性(一定未満の値の陽性)であるもの

一次感染者の条件⑤

父子感染(父親からの感染)でないこと

母子感染に比べると可能性は低いですが、父子感染も幼少期における感染原因のひとつとされています。

そのため、父子感染でないことを証明するため、父親がB型肝炎ウイルスに持続感染していないことを証明する必要があります。

必要書類
父親の血液検査結果(①および②)
 ①HBs抗原 陰性であるもの
 ②HBc抗体 陰性もしくは低力価陽性(一定未満の値の陽性)であるもの

一次感染者の条件⑥

成人後感染でないこと

B型肝炎ウイルスは、血液などの体液で感染しますので、母子感染や父子感染以外にも、輸血、手術、内視鏡検査、入れ墨、性交渉など、さまざまな感染経路が考えられます。

ただ、健康な成人であれば、感染しても免疫機能により一過性感染でおさまり、持続感染化はしません。

ところが、ジェノタイプ(遺伝子の型)が「Ae」のB型肝炎ウイルスは、成人後感染であっても10%前後が持続感染化することが知られていて、日本では平成8年以降に感染例が確認されています。

そのため、平成8年1月1日以降に初めて感染が確認された方については、ジェノタイプAeによる成人後感染が疑われますので、ジェノタイプがAeではないことを証明する必要があります。

必要書類
本人のジェノタイプの血液検査結果
 ※場合によっては、サブジェノタイプ検査も必要になる可能性があります。

一次感染者の条件⑦

その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと

B型肝炎ウイルスは、血液などの体液で感染しますので、母子感染や父子感染以外にも、輸血、手術、内視鏡検査、入れ墨、性交渉など、さまざまな感染経路が考えられます。

そのため、集団予防接種等以外の感染原因が疑われるような事実がないことを示さなければなりません。

必要書類
医療記録(医療機関のカルテ、検査記録など)

二次感染者(母子感染)の条件

妊婦

「二次感染者」とは、原則として母子感染した方を前提としています。

これは、一次感染者である母親から出産時に感染した方のことです。二次感染者(母子感染)として認定されるには、次の条件を満たす必要があります。

  1. 母親が一次感染者の条件を満たすこと
  2. B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  3. 母子感染であること
父子感染や三次感染も対象になる
母子感染による二次感染だけでなく、幼少期の父子感染についても給付金の対象になります。

さらに、二次感染者である母親から、母子感染により感染した方(三次感染者)も、給付金の対象になる可能性があります。

詳しい条件や必要書類については、経験豊富な弁護士にお問い合わせいただくのがよいでしょう。

二次感染者の条件①

母親が一次感染者の条件を満たすこと

母親が、上記の一次感染者としての7つの条件をすべて満たしている必要があります。
詳しくは、こちらをご確認ください。

二次感染者の条件②

B型肝炎ウイルスに持続感染していること

一次感染者のときと同様、B型肝炎ウイルスに持続感染していることが条件です。
その確認方法は、一次感染者の場合と同じですので、詳しくはこちらをご確認ください。

二次感染者の条件③

母子感染であること

母子感染であることを、客観的な資料により証明する必要があります。

必要書類

1 本人と母親の医療記録
 ① 本人が出生する前後6か月母親の医療記録
 ② 出生後6か月肝疾患に関する本人の医療記録

2 次の①から③のいずれかの資料
 ① 出生直後にすでにB型肝炎ウイルスに持続感染していたことを示す資料
  ※出生直後の血液検査結果、医療記録など
 ② 本人と母親とのB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査結果
  ※B型肝炎ウイルスの遺伝子を解析し、元々同一のウイルスだったかどうかを確認する検査
 ③ 次のA~Eのすべての条件を満たしていることを確認できる資料
  A:出生前に母親の感染力が弱かったこと(HBe抗原陰性だったこと)が確認されないこと
  B:本人の生年月日が昭和60年12月31日以前であること
  C:医療記録等に母子感染とは異なる原因の存在を伺わせる具体的な記載がないこと
  D:父親が持続感染者ではない、もしくは父親との塩基配列が同定されないこと
  E:ジェノタイプAeではないこと

一次感染者や二次感染者の遺族(相続人)

一次感染者や二次感染者の方が亡くなっている場合は、その遺族(相続人)が、給付金を受け取ることができます。

その場合は、亡くなった方の相続人であることを、戸籍謄本で証明する必要があります。

B型肝炎給付金の金額

B型肝炎訴訟の対象者であることが認められると、その症状(病態)や発症時期などに応じて、給付金が支給されます。
その金額と条件は、次の表のとおりです。

給付金等の内容2

なお、表内の「現に治療を受けている方等」というのは、次のいずれかの条件を満たしている方のことです。

  1. 最近1年以内に、検査結果などの客観的な資料によって、一定の症状が確認できること
  2. インターフェロンなどの一定の薬剤による治療を受けたことがあることが、医療記録などで確認できること

B型肝炎訴訟の手続きの流れ

B型肝炎訴訟の対象者として認めてもらうには、一定の訴訟手続きを経て、国と和解する必要があります。手続きの流れは、次のとおりです。

B型肝炎訴訟の手続きの流れ

なお、社会保険診療報酬支払基金とは、主に健康保険の診療報酬(医療費)の審査と支払をしている機関ですが、国からB型肝炎給付金の支払事務も委託されています。

B型肝炎訴訟なら経験豊富な法律事務所MIRAIOへ

B型肝炎訴訟は、自分で手続きをすることもできますが、さまざまな書類を収集したり、役所や医療機関と連絡を取ったり、裁判所に出廷したりする必要がありますので、法律の専門家である弁護士に依頼するのが一番です。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

訴状などの書類作成を任せることができる

B型肝炎訴訟では、訴状や証拠一覧などの書類を作成しなければなりません。

これらは、裁判所に提出する書面ですので、法律の専門家である弁護士に任せた方が、迅速に、滞りなく作成することができます。

必要書類収集のサポートを受けることができる

裁判所には、証拠資料となる血液検査結果や医療記録(カルテ)、公文書など、さまざまな書類を提出します。

これらの必要書類を収集するには、医療機関や市区町村役場、場合によっては、卒業した小学校などとも、やりとりしなければなりません。

ご自身で、全てこのようなやりとりを進めると、かなりの労力を要しますが、弁護士がいれば、わからないときにアドバイスを受けたり、医療機関や役所への案内書を作成してもらったりすることができます。

書類の精査により不備を防ぎ、迅速に給付金を受け取ることができる

集めた必要書類を、そのまま提出するだけでは、内容が間違っていたり、不足があったりします。

完璧に集めたつもりでも、医療記録などの記載内容によって、新たな事実が判明し、追加書類を求められることもあります。

その点、B型肝炎訴訟の経験豊富な弁護士であれば、提出前に書類を隅々までチェックし、入念に精査でき、極力、不足書類が出ないように準備することができます。

その結果、給付金を受け取るまでの期間を短縮することが可能です。

裁判所への出廷を任せることができる

裁判所には、平日の日中に出廷しなければなりませんが、普通に働かれている場合には、なかなか日程を調整するのが難しいのではないでしょうか。

弁護士に依頼していれば、弁護士が代理人として、代わりに裁判所に出廷してくれますので、ご自身で出廷する必要はありません。

その結果、時間と労力の大幅な節約ができるでしょう。

給付金の4%分が上乗せで支給される

弁護士に依頼して、手続きをした場合は、給付金の4%分が訴訟手当金として上乗せ支給されます。

例えば、弁護士に依頼して、50万円の給付金が支給される場合は、その4%の2万円が上乗せされ、総額52万円が支給されます。

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まとめ

それでは、B型肝炎訴訟の対象者の条件を振り返りましょう。

【一次感染者】

  1. B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  2. 満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること
  3. 集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと
  4. 母子感染(母親からの感染)でないこと
  5. 父子感染(父親からの感染)でないこと
  6. 成人後感染でないこと
  7. その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと

【二次感染者】

  1. 母親が一次感染者の条件を満たすこと
  2. B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  3. 母子感染であること

【一次感染者や二次感染者の相続人】

  1. 一次感染者または二次感染者の相続人であること

そして、B型肝炎訴訟の対象者と認められた場合は、症状などに応じて、50万円から3600万円の給付金が支給されます。

ただし、給付金を受け取るには、さまざまな必要書類を収集したうえで、裁判手続きをする必要があります。迅速に滞りなく、給付金を受け取るには、経験豊富な弁護士に依頼されるのが一番でしょう。