【図解】交通事故後遺障害の全知識!申請方法や慰謝料・逸失利益を解説

後遺症が残る

交通事故に遭い,通院を続けているがまだ痛みがぜんぜんよくならない。

保険会社からも治療終了するよう言われており,医師に相談したところ,「じゃあ治療終了して,後遺障害申請の相談をしてみたら」と言われた。

後遺障害の申請はどうやってするのか,申請するとどんなメリットがあるのだろうか・・・

交通事故で治療を続けたけれども痛みなどの後遺障害が残ってしまった場合には,その後遺障害が残ったことに対して損害賠償請求できる場合があります。もっとも,そのためには,後遺障害等級が認定される必要があります。

交通事故の後遺障害等級認定の申請は,加害者の自賠責保険会社に対して行いますが,後遺障害等級が認定された場合には,後遺障害慰謝料と逸失利益として,1000万円以上請求できる場合もあります。

この記事では

  • 後遺障害等級認定までの流れ
  • 申請にあたって準備すべき書類や記載の注意点
  • 後遺障害の申請方法
  • 後遺障害慰謝料の金額
  • 後遺障害逸失利益の計算方法

について解説しています。

この記事を読んでいただければ,交通事故の後遺障害について幅広く理解できるでしょう。

 交通事故の後遺障害とは

交通事故の被害に遭って怪我を負い,通院を続けて症状固定(これ以上治療を続けてもよくならない状態のこと)となったけれども,痛み等の症状が残っている場合には,加害者の自賠責保険会社に対して,後遺障害等級の認定申請を行うことができます。後遺障害等級の認定の審査は,損害保険料率算出機構という組織が行います。

その審査で,後遺障害等級の認定基準に該当し,後遺障害として認定されたものが,一般的に交通事故の後遺障害といわれているものになります。

後遺障害等級は,重い順で1級~14級まであります。

後遺障害等級認定表

後遺障害等級が認定された場合には,後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できることになるので,もらえる損害賠償金が数倍になることもあります。

後遺障害申請の流れや準備すべきこと

後遺障害申請

後遺症が残ったとしても,上記のように後遺障害等級の認定申請をしないと,後遺障害等級は認定されません。

この章では,後遺障害等級の認定申請の流れや必要な書類,申請方法を解説します。

後遺障害申請の流れ

後遺障害申請は,下記のような流れで進みます。

後遺障害申請の流れ

症状固定と判断されてから,必要な資料を収集し,後遺障害の申請をして,結果が返ってくるまでは,審査の内容によって異なりますが,平均すると2~3か月程度はかかることが多いです。

なお,症状固定については,こちらの記事でも解説していますので,ご参照ください。

交通事故の症状固定は医師の判断で!症状固定で何が起きるのか解説

後遺障害申請をするためには後遺障害診断書が必要

後遺障害申請をするためには,医師に「後遺障害診断書」を作成してもらう必要があります。

後遺障害診断書

後遺障害の認定は,書面で審査されているため,この後遺障害診断書の記載は非常に重要になります。

したがって,医師に後遺障害診断書を作成してもらう際には,自身の今の症状をしっかりと伝えて左側の「自覚症状」の欄に記載してもらい,右下の「障害内容の増悪・緩解の見通し」という欄にもしっかり医師の見解を記載してもらいましょう。

また,各種検査を行い,異常がある場合には,所定の欄にその検査結果を記載してもらいましょう。

後遺障害の申請方法には事前認定と被害者請求がある

後遺障害の申請は,加害者の自賠責保険会社に申請しますが,この申請方法には,事前認定(加害者の任意保険会社を通して申請する方法)と被害者請求(被害者が加害者の自賠責保険会社に直接申請する方法)があります。

後遺障害申請の方法「事前認定」と「被害者請求」には上記のようなメリット・デメリットがありますが,被害者が資料を選別して,有利な資料も追加することのできる「被害者請求」の方が,後遺障害が認定される可能性を上げることができるため,オススメの方法となります。

なお,被害者請求で必要な書類を個人ですべて収集することは困難であるため,被害者請求を行う場合には弁護士に依頼したほうがいいでしょう。

ご自身が加入している保険に「弁護士費用特約」が付帯されている場合には,弁護士費用を自己負担せずに弁護士に依頼できる場合があります。弁護士費用についてはこちらの記事でも解説していますので,ご参照ください。

交通事故の弁護士費用の相場は?弁護士費用特約についても解説!

事前認定のメリット・デメリット

事前認定の場合には,加害者の任意保険会社が手続きを進めてくれるので,被害者が楽に申請できる,というメリットがあります。

デメリットとしては,加害者の自賠責保険会社は被害者の味方ではないため,被害者に不利な資料を提出される可能性もある,という点になります。

被害者請求のメリット・デメリット

被害者請求のメリットとしては,被害者が有利な資料を追加で提出したりできるという点になります。

デメリットとしては,必要書類含めて申請に必要なものをすべて被害者が用意する必要があるので,手間がかかるという点があります。

後遺障害等級に納得できない場合は異議申し立てすることが可能

不服申し立て

後遺障害申請を行ったけれども,後遺障害等級が非該当とされた場合や,認定された後遺障害等級に納得がいかない場合には,その判断に対して異議申し立てを行うことができます。

異議申し立てを行う場合には,異議申立書を提出しますが,同じ資料を再提出しても結果が変わる可能性は低いため,後遺障害の認定結果の通知書をよく読み,否定的な判断がされている箇所に反論できるだけの新たな資料を提出するようにしたほうがいいでしょう。

なお,異議申し立ては被害者個人で行うことも可能ですが,専門的な主張や判断が必要となるため,弁護士に相談したほうがいいでしょう。

後遺障害等級が認定された場合の慰謝料の金額

後遺障害等級が認定された場合には,加害者や任意保険会社に対して,後遺障害慰謝料を請求できることができます。その金額は自賠責基準と弁護士基準でおおむね下記のような金額となっています。

自賠責後遺障害慰謝料

弁護士基準の後遺障害慰謝料の金額はおおむね下記のような金額となっています。

後遺障害慰謝料(弁護士基準)

これらの慰謝料は,後遺障害等級認定がされないと加害者に請求できないため,交通事故で後遺障害が残った場合には後遺障害申請をした方がいいでしょう。

後遺障害等級が認定された場合の逸失利益の金額

逸失利益の金額

後遺障害等級が認定された場合には,等級に応じて逸失利益を請求することができます。

逸失利益とは,後遺障害を負うことによって働けなくなったり、労働が制限されてしまったりしたことによる収入の減少のことです。

逸失利益の金額は、次の計算式で算出します。

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

基礎収入

基礎収入とは、事故前の年収のことです。

学生でまだ就労していない方や,事故時概ね30歳未満の若年労働者の場合には,賃金センサスの基礎収入を参考にすることもあります。

労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺障害によって失われた労働力の割合のことです。この割合は、法令によって次の表の喪失率を参考とします。

労働能力喪失率

もっとも,必ずこの表通りに算定されるというわけではなく,被害者の職業,年齢,性別,後遺症の部位,程度,事故前後の稼働状況等を総合的に判断して評価されることになります。

労働能力喪失期間

労働能力喪失期間とは、原則として、症状固定日から67歳までの期間のことです。「就労可能年数」とも言います。なお,この期間が平均余命の2分の1より短くなる場合は,平均余命の2分の1の期間を就労可能な期間として労働能力喪失期間とすることもあります。

未就労者の就労の始期は,原則として18歳となります。

ライプニッツ係数とは、将来的に長期間にわたって受け取るはずの金銭を、前倒しで一括で受け取ることによる利益を控除するための係数です。

なお、2020年4月1日の民法改正に伴い、ライプニッツ係数も改正されていますので、事故日が2020年4月1日より前だったか、それ以後だったかによって使う係数が異なります。

後遺障害逸失利益の計算例

症状固定時年齢:30歳
事故前年度年収:500万円
後遺障害等級:8級

計算式)
500万円×45%(8級の場合の労働能力喪失率)×22.1672(67-30=37年が労働能力喪失期間となり,そのライプニッツ係数)=4987万6200円

このように,後遺障害等級が認定された場合には,逸失利益の金額が1000万円を超えることも有るため,後遺障害が残った場合には後遺障害申請をした方がいいでしょう。

交通事故の相談なら法律事務所MIRAIOへ

交通事故で後遺障害を被害者請求の方法で申請する場合には,自身で対応することが困難であるため,弁護士に相談することをお勧めします。

また、初期対応を間違えてしまうと,後々取り返しのつかない不利益が生じてしまうこともありますので、なるべく早い段階で弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

損害額の算出、専門的書類の作成をしてもらえる

交通事故の損害賠償を請求するには、交通事故の調査、損害額の算出、内容証明郵便の作成、示談書の作成、訴状の作成など、専門的な知識と経験が求められる作業がいくつもあります。

このような時間と手間のかかる作業を弁護士に一任することで、治療に専念することができます。

示談や訴訟の代理人になってもらえる

加害者や保険会社との示談交渉や訴訟の代理人になってもらうことができますので、ご自身で直接相手方と話す必要がありません。

この点において、精神的な負担も軽減することが可能です。

より高額の示談金を受け取ることが出来る可能性がある

弁護士に依頼した場合、損害額は弁護士会の基準で算出します。この弁護士会の基準というのは、過去の判例(裁判所の判決内容)を参考に基準額を算定したもので、自賠責保険や任意保険会社の基準よりも高額となっています。

例えば、後遺障害等級第1級の慰謝料は、自賠責保険基準だと上限1650万円ですが、弁護士会基準で算出すると上限2800万となり、実に1150万円もの差があります。

1150万円アップ

MIRAIOが選ばれる理由

交通事故被害について弁護士に相談されるなら、まずは「法律事務所MIRAIO」でご相談ください。MIRAIOには次のような強みがあります。

相談実績14,000件以上

MIRAIOは創業以来、20年以上にわたり交通事故被害の解決に力を入れてきました。実にその相談件数は14,000件以上に上っています。

医学的知見が豊富

MIRAIOは、医療過誤(医療ミス)やB型肝炎訴訟にも力を入れていますので、医師との協力関係もあり、医学的な知見を豊富に持ち合わせています。

特に、後遺障害がどの等級で認定されるかについては、示談金の金額に大きく影響します。例えば、弁護士会基準による第2級の慰謝料は2370万円ですが、これが第1級に上がると2800万円となり、実に430万円もの増額が可能なのです。

そして、この認定を左右するのが医師の診断書です。MIRAIOであれば、医学的知見を駆使して、より高い後遺障害等級の認定が得られやすい診断書についてのアドバイスをすることが可能です。

損害保険会社の代理人経験も!経験豊富な弁護士が多数在籍

MIRAIOには、交通事故被害に関する経験が豊富な弁護士が多数在籍しています。中には、大手損害保険会社の代理人経験のある弁護士もおります。

示談金がいくらになるかについては、保険会社との交渉次第ですので、相手側の事情に通じていればその分交渉が有利となり、より多くの示談金をえるための効果的な戦略を立てることができます。

初回相談料・着手金無料!

MIRAIOでは交通事故の示談交渉の初回相談料・着手金は無料です。安心してご相談ください。

※ただし、弁護士費用特約付きの保険に加入されている場合は、保険会社の補償の範囲内で相談料や着手金をいただく場合があります。

MIRAIOでの解決事例

実際の解決事例をいくつかご紹介します。

※あくまでも一例ですので、すべての事件において同じような示談金を獲得できるとは限りません。

賠償額が1000万円以上アップ!

1000万円以上アップ

被害者:30代 男性 会社員
事故の概要:バイクで交差点を直進中に、右折してきた自動車と衝突した。
過失割合:被害者15%
後遺障害等級:12級
保険会社の提示金額:約500万円
最終的な示談金額:約1500万円

最初に保険会社が提示してきた金額の中で、特に問題があったのが後遺障害による「逸失利益(事故がなければ得ることができたであろう将来の給与・収入など)」の額でした。

保険会社が計算した逸失利益は、約300万円でしたが、これは一般的な計算基準から見ても明らかに少なすぎる金額でしたので、MIRAIOは正当な方法で計算しなおして、約1300万円と算出しました。

さらに、慰謝料についても増額し、最終的には1500万円余りの示談金を獲得しました。

まさかの提示額10万円からの大逆転!示談金900万円を獲得!

被害者:40代 女性 アルバイト
事故の概要:自転車で横断歩道を走行中に、左折してきた自動車に衝突された。
過失割合:被害者10%
後遺障害等級:12級
保険会社の提示金額:10万円
最終的な示談金額:約900万円

最終的に後遺障害とまで認定される大怪我を負ったにもかかわらず、保険会社からの当初の提示額はたったの10万円でした。

MIRAIOは、保険会社が審査すらしていなかった後遺障害の認定を得ることに成功し、それに伴い、後遺障害の慰謝料として290万円、逸失利益として約560万円を獲得しました。さらに、怪我の慰謝料や休業損害の増額にも成功し、最終的には約900万円の示談金を獲得しました。

保険会社から目を疑うような示談金を提示され、もっともらしい説明を受けたとしても、簡単には同意しないでください。納得できないところがあれば、示談書にサインする前にMIRAIOにご相談ください。

過失割合も減額して約1200万円アップ!

1200万以上アップ

被害者:40代 男性 会社員
事故の概要:歩行中に後ろから自動車にはねられた。
過失割合:被害者45%⇒30%へ
後遺障害等級:8級
保険会社の提示金額:800万円余り
最終的な示談金額:2000万円余り

保険会社からは、後遺障害による逸失利益や慰謝料として800万円余りを提示されました。

その後交渉を重ねることで、逸失利益と慰謝料の合計2000万円余りの獲得に成功しました。

さらに、過失割合についても、当初は被害者45%の過失を主張されていましたが、事故当時の状況を細かく分析し、反論した結果、30%にまで下げることができました。

結果として、示談金は約1100万円以上も増額させることに成功しました。

過失割合も示談金に大きく影響が出ます。納得できないところがあれば、MIRAIOにご相談ください。

ADR制度を利用して和解成立

被害者:40代 男性 会社員
事故の概要:自転車で交差点を横断中に、右折してきた自動車と衝突した。
後遺障害等級:12級
保険会社の提示金額:約280万円
最終的な和解金額:約770万円

保険会社からの提示には後遺障害の逸失利益が全く含まれていませんでした。

MIRAIOにて妥当な逸失利益の金額を算出したところ、約950万円となり、さらに、慰謝料についても増額し、合計約1200万円を請求しました。

しかし、保険会社側に歩み寄る姿勢が見られなかったため、交通事故紛争処理センターにADRの申請をしました。

その結果、約500万円の逸失利益が認められ、合計約770万円で和解が成立しました。

示談交渉がうまくいかない場合でも、第三者機関によるあっせん手続きであるADRや、裁判所手続きの調停や訴訟により解決することができます。

MIRAIOであれば、示談交渉だけでなく、ADRや調停・訴訟の代理人となることができますので、安心してお任せください。

まとめ

いかがでしょうか。交通事故の後遺障害について理解できましたでしょうか。

後遺障害等級が認定された場合には,後遺障害慰謝料と逸失利益を請求でき,金額が1000万円を超えることも有ります。

後遺障害の申請方法は「事前認定」と「被害者請求」の2つの方法がありますが,できれば手間がかかっても適切な資料を提出して申請できる「被害者請求」の方法をオススメします。

もっとも,自身で被害者請求を行うことは困難であるため,被害者請求については弁護士に相談したほうがいいでしょう。