B型肝炎は自然治癒する?|感染の種類と発症する確率について紹介

肝臓

B型肝炎に感染しても、自然治癒するのでしょうか?
それは、B型肝炎ウイルスへの感染の仕方によって、自然治癒する確率や発症する確率が変わってきます。
感染にはどのような種類があり、感染したら、どのような経過をたどるのか、確認していきましょう。

この記事では、次の内容について解説します。

  • B型肝炎の一過性肝炎と持続感染の違い
  • 一過性肝炎した場合と持続感染した場合の、自然治癒と発症の確率
  • B型肝炎が自然治癒した場合でも、給付金の対象になる条件とは

B型肝炎は自然治癒する?|一過性感染と持続感染の違い

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染することによって起こる肝臓病です。
B型肝炎ウイルスへの感染には、一過性感染持続感染という種類があります。

一過性感染と持続感染

B型肝炎の一過性感染とは

一過性感染とは、感染状態が6か月未満の一時的な感染のことです。
大人になってからB型肝炎ウイルスに感染しても、免疫機能の力でウイルスを体外に排出することができます。そのため、感染状態が持続することはほとんどありません。

ただし、B型肝炎ウイルスの遺伝子のタイプによっては、10~15%の確率で感染状態が持続(持続感染)しますので、注意が必要です。

一過性感染と持続感染

B型肝炎の持続感染とは

持続感染とは、6か月以上にわたって感染状態が継続することです。
免疫機能が未成熟な幼少期に感染すると、ウイルスを体外に排出できず、90%以上の確率で持続感染となります。
このように、B型肝炎ウイルスに持続感染した人のことを、B型肝炎キャリアと言います。

B型肝炎に一過性感染した場合の自然治癒|確率や期間

肝炎治癒B型肝炎に一過性感染した場合、自然治癒はするのでしょうか。

B型肝炎に一過性感染した場合の自然治癒|確率や期間

70~80%は無症状のまま自然治癒

大人になってからB型肝炎ウイルスに感染した場合、70~80%の確率で、無症状のままウイルスが排除されて治癒します。
感染から治癒までの期間は、おおよそ2~3か月です。

ただし、最近の研究では、治癒した後も微量のウイルスが肝臓に残ることが明らかになっています。このわずかに残ったウイルスが、免疫抑制治療(抗がん剤による治療など、体の免疫力を抑える効果のある治療)を受けることにより再活性化し、肝炎を発症するリスクがあります。
再活性化については、次の記事もご参照ください。

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 2023.02.03

B型肝炎に一過性感染した場合の自然治癒|確率や期間

急性肝炎を発症しても90%以上は自然治癒

大人になってからB型肝炎ウイルスに感染した場合、20~30%の確率で急性肝炎を発症します。
急性肝炎を発症すると、発熱、食欲不振、倦怠感などの症状が出ますが、多くの場合は2~3か月経過することによってウイルスが排除されて治癒します。

ただし、1~2%の確率で、劇症肝炎を発症する可能性があり、かなりの高確率で死亡に至りますので、注意が必要です。

劇症肝炎とは
急性肝炎のうち、短期間で急激に高度の肝機能不全をきたし、黄疸、肝性脳症などの症状を引き起こす病気

なお、急性肝炎が治癒した場合であっても、上記のように、ウイルスが再活性化する可能性はありますので、注意が必要です。

B型肝炎に持続感染したら自然治癒は困難

肝炎治療B型肝炎に持続感染した場合は、一生に渡って、一定量以上のウイルスが肝臓や血液中に残りますので、「治癒」という状態に至ることは困難です。

B型肝炎に持続感染したら自然治癒は困難

B型肝炎持続感染後の自然経過

乳幼児期にB型肝炎ウイルスに感染した場合の自然経過は、下図のとおりです。

乳幼児期に感染した後の自然経過

90%以上の確率で持続感染者(B型肝炎キャリア)となる

母子感染などが原因で、乳幼児期にB型肝炎ウイルスに感染した場合、ウイルスを排除して治癒に至る確率は10%未満です。
残りの90%以上は、ウイルスが肝臓などの体内に残り、持続感染者(B型肝炎キャリア)となります。

そして、免疫機能が成熟してくる15歳くらいまでは、症状のない「無症候性キャリア」として経過します。

B型肝炎キャリアの85~90%は非活動性キャリアとなり落ち着く

無症候性キャリアは、免疫機能が成熟する15~30歳ごろに肝炎を発症します。
そのうち85~90%は、症状が落ち着き、「非活動性キャリア」となります。

その後、抗原(HBs抗原)が陰性化し、抗体(HBs抗体)を獲得できれば、臨床的寛解とみなされます。
ただし、ウイルスがゼロになるわけではありませんので、あくまでも「寛解」であって、治癒(完治)ではありません。

寛解とは
症状が落ち着き、安定すること。完治ではないため、再発する可能性はある。

B型肝炎キャリアの10~15%は慢性肝炎を発症|肝硬変や肝がんのリスクも

無症候性キャリアの10~15%は、15~30歳で発症した肝炎が持続し、慢性化します。
肝炎が6か月以上継続する病状のことを、慢性肝炎と言います。

慢性肝炎が長年続くと、肝細胞の破壊と再生が繰り返されます。その結果、肝臓の線維化が進行し、硬く小さくなってしまいます。これが、肝硬変です。

また、肝細胞の破壊と再生という過程において、肝細胞が突然変異することで、肝がんを発症する恐れもあります。

B型肝炎に持続感染したら自然治癒は困難

B型肝炎キャリアの完治は困難|定期検査を受けることが大切

B型肝炎ウイルスに持続感染しB型肝炎キャリアになったら、ウイルスが体から完全になくなることはないと言われています。
非活動性キャリアとして症状が落ち着いていても、突然肝炎が再発することもありますし、ウイルスが再活性化して重症化する恐れもあります。

したがって、B型肝炎キャリアの方は自覚症状がなくても、定期的に検査を受けて、肝臓の状態やウイルスの量などをチェックしてもらうことが重要なのです。

検査の結果、肝機能の数値(ALT、AST)が上がってきて、慢性肝炎と診断された方は、医師の指示に従い、抗ウイルス薬などによる治療を検討しましょう。

さらに、肝がんの早期発見ができるように、血液検査や腹部超音波検査、CT検査なども定期的に受けるようにしましょう。

B型肝炎は治る時代になる?最新の治療法と新薬について

B型肝炎治療の究極の目標は、B型肝炎ウイルスを完全に排除することです。
しかし、現在は、そのような治療法や薬剤は存在せず、せいぜいウイルスの増殖を抑制することしかできません。
「B型肝炎ウイルスの完全排除」ができる新薬が開発されれば、B型肝炎は治る時代がやってくるかもしれません。

B型肝炎は治る時代になる?最新の治療法と新薬について

B型肝炎ウイルスが増殖するしくみ

B型肝炎ウイルスが、肝細胞内で増殖するしくみは下図のとおりです。

B型肝炎ウイルスが増殖する仕組み

B型肝炎ウイルスのDNAが、肝細胞の核に入り込むと、cccDNAという遺伝子の鋳型を形成します。そこから、cccDNAの遺伝情報が詰め込まれたRNAが形成され、新たなDNAが合成されていきます。このようにRNAからDNAが合成される過程を「逆転写」と言います。

B型肝炎は治る時代になる?最新の治療法と新薬について

B型肝炎治療薬の作用と新薬への期待

B型肝炎の治療薬は、その種類によってウイルス増殖のどの段階に作用して、どの工程を阻害するかが異なります。

現在の治療薬の主流となっているのは、核酸アナログ製剤インターフェロンですが、その作用は上図のとおりです。

核酸アナログ製剤は、上図⑥のRNAからDNAへの合成(逆転写)の段階に、インターフェロンは、上図⑤のRNAを含むヌクレオカプシドの形成の段階に作用して、その工程を阻害します。

そうすることで、ウイルス増殖を抑制することはできますが、cccDNAを直接攻撃するわけではありませんので、ウイルスDNAの鋳型となるcccDNAは肝細胞内に残ります。そのため、投薬を中止するとウイルスが再増殖して肝炎が再燃してしまいます。
また、免疫抑制剤などによるB型肝炎ウイルスの再活性を起こす原因にもなってしまいます。

そこで、cccDNAを直接の標的とした新薬(上図③の段階に作用する薬)や、ウイルスが肝細胞に侵入すること自体を防ぐ新薬(上図①の段階に作用する薬)の開発が待たれているのです。

B型肝炎が自然治癒した場合でも給付金がもらえるかも

B型肝炎は自然治癒したと思っていても、一定の条件を満たせば、B型肝炎訴訟によって給付金を受け取れる可能性があります。

B型肝炎が自然治癒した場合でも給付金がもらえるかも

給付金の対象者となる条件

給付金の対象者には、大きく分けて一次感染者二次感染者がいます。

一次感染者とは、幼少期の集団予防接種等により、直接、B型肝炎ウイルスに持続感染(感染状態が6か月以上継続していること)した人のことです。

二次感染者とは、一次感染者から母子感染(出生前後に母親から感染すること)や父子感染により、B型肝炎ウイルスに持続感染した人のことです。

一次感染者の条件
  • B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  • 満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること
  • 集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと
  • 母子感染(母親からの感染)でないこと
  • 父子感染(父親からの感染)でないこと
  • 成人後感染でないこと
  • その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと
二次感染者の条件
  • 母親もしくは父親が一次感染者の条件を満たすこと
  • B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  • 母子感染もしくは父子感染であること(母子感染もしくは父子感染以外の感染原因がないこと)

今は症状が落ち着いていて、自然治癒したものと思っていても、過去の検査結果などからB型肝炎ウイルスに持続感染していたことが証明できれば、給付金の対象になるかもしれません。

B型肝炎が自然治癒した場合でも給付金がもらえるかも

給付金の金額

給付金の金額は、B型肝炎の病状(病態)や発症時期などによって異なります。
詳しくは下表をご覧ください。

病態発症時期・感染時期
直近1年の診断・治療歴
給付金の金額
死亡・肝がん・重度肝硬変死亡・発症から20年未満3600万円
死亡・発症から20年以上900万円
軽度肝硬変発症から20年未満2500万円
発症から20年以上
直近1年で肝硬変の診断があるか、特定の治療歴がある
600万円
発症から20年以上
直近1年で肝硬変の診断がなく、特定の治療歴もない
300万円
慢性肝炎発症から20年未満1250万円
発症から20年以上
直近1年で慢性肝炎の症状があるか、特定の治療歴がある
300万円
直近1年で慢性肝炎の症状がなく、特定の治療歴もない150万円
無症候性キャリア感染から20年未満600万円
感染から20年以上50万円

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

B型肝炎訴訟で国に給付金を請求するためには、裁判所の手続きが必要です。
自分ひとりで手続きをすることもできますが、専門的なノウハウが必要ですので、手間や時間がかかります。スムーズに手続きするには、法律の専門家である弁護士に依頼する方がよいでしょう。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

訴状などの書類作成を任せることができる

給付金を請求するには、訴状や証拠一覧などの書類を作成しなければなりません。
これらは、裁判所に提出する書面ですので、法律の専門家である弁護士に任せた方が、迅速に、滞りなく作成することができます。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

必要書類収集のサポートを受けることができる

裁判所には、証拠資料となる血液検査結果や医療記録(カルテ)、公文書など、さまざまな書類を提出します。これらの必要書類を収集するには、医療機関や市区町村役場、場合によっては、卒業した小学校などとも、やりとりしなければなりません。
ご自身で、全てこのようなやりとりを進めると、かなりの労力を要しますが、弁護士がいれば、わからないときにアドバイスを受けたり、医療機関や役所への案内書を作成してもらったりすることができます。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

書類の精査により不備を防ぎ、迅速に給付金を受け取ることができる

集めた必要書類を、そのまま提出するだけでは、内容が間違っていたり、不足があったりします。完璧に集めたつもりでも、医療記録などの記載内容によって、新たな事実が判明し、追加書類を求められることもあります。
その点、弁護士がいれば、提出前に書類を隅々までチェックし、入念に精査しますので、極力、不足書類が出ないように準備することができます。その結果、給付金を受け取るまでの期間を短縮することが可能です。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

裁判所への出廷を任せることができる

裁判所には、平日の日中に出廷しなければなりませんが、普通に働かれている場合には、なかなか日程を調整するのが難しいのではないでしょうか。
弁護士に依頼していれば、弁護士が代理人として、代わりに裁判所に出廷してくれますので、ご自身で出廷する必要はありません。その結果、時間と労力の大幅な節約ができるでしょう。

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット

給付金の4%分が上乗せで支給される

弁護士に依頼して、手続きをした場合は、給付金の4%分が訴訟手当金として上乗せ支給されます。例えば、弁護士に依頼して、50万円の給付金が支給される場合は、その4%の2万円が上乗せされ、総額52万円が支給されます。

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1 MIRAIOの実績(2023年3月末現在)

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  • 和解件数 8,900件以上
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MIRAIOは、給付金制度が始まった平成24年当時から、他の事務所に先駆けて、B型肝炎給付金のご相談をお受けしてきました。その結果、上記のような豊富な実績が積み重なっています。
そして、多くの案件を扱うことで、さまざまなノウハウが蓄積され、迅速かつ的確な事務処理ができる体制が確立されています。

2 セカンドオピニオンもOK!他の事務所に断られた方のご相談もお受けします!

「他の事務所に相談したところ、給付金の対象外だと言われてしまった・・・」
このようなお問い合わせをいただくことがよくあります。
改めてMIRAIOでお話をお聞きすると、確かに困難なケースもありますが、調査によっては、まだまだあきらめるには早いと思われるケースも多くあります。
あきらめる前に、一度MIRAIOにご相談してみてください。

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MIRAIOでは、B型肝炎給付金請求を手がける前から、医療過誤(医療ミス)に関する訴訟にも力を入れてきました。その相談実績は、7000件以上にのぼっています。
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国と和解をして給付金を受取った後に、B型肝炎の病状が進行してしまった場合には、追加給付金を請求することができます。
例えば、慢性肝炎で1250万円の給付金を受け取った後に、肝がんを発症してしまった場合には、肝がんの給付金3600万円と、受け取った1250万円との差額の2350万円が追加給付金として支給されます。
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