これで空き家も売却できる! 3つの売却方法と売却までのステップ

空き家の前で悩む初老
空き家の売却をご検討の方、ただそのまま売りに出せばよいと思われていませんか?
実は、空き家には、そのまま売るだけでなく、更地にして売ったり、リフォームしてから売るなど、その建物の状況に応じた売却方法があるのです。
ここでは、次の内容をご案内していきます。

  • 空き家売却の有効的な方法
  • 不動産売買の一般的な流れ
  • 売却時にかかる費用
  • 空き家特有の注意点

これを読めば、より良い空き家の売却方法がわかり、思わぬリスクを避けることもできるでしょう。

 

空き家はこうすれば売れる!空き家売却のための3つの方法

空き家を売却するには、次の3つの方法があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
  1. そのまま売る
  2. 更地にして売る
  3. リフォームしてから売る
売却方法メリットデメリットこんな場合にお勧め
そのまま売る費用、時間がかからない・古い物件の場合は買主が見つかりにくい。
・売買価格が安くなりがち。
おおむね築20年未満の新しい物件の場合
更地にして売る・買主が見つかりやすい。
・売買価格が高くなりやすい。
建物の解体費用がかかる。おおむね築20年以上の古い物件の場合
リフォームしてから売るリフォーム次第で、より高く売れる可能性がある。売れないとリフォーム費用の分だけ損をしてしまう資金に余裕がある場合

 

そのまま売る

何も手を加えずに中古住宅として売りに出す方法です。
この方法のメリットは、費用や手間、時間をかけることなく売却することができることです。
デメリットは、一定の古い物件の場合は、買主が見つかりにくく、売買価格も安価になりがちなことです。

おおむね20年以上たっている場合はお勧めできず

立地にもよりますが、おおむね築20年以上経っている空き家の場合は、この方法はお勧めできません。なぜなら、築20年以上の建物は、価値がないとみなされることが多いためです。
一般的に、木造住宅の法定耐用年数は20年あるいは22年とされていますし、20年以上経過すると、経年による劣化(※1)や、陳腐化(※2)は避けられません。
建物の老朽化や傷みが特に激しい場合には、買主の解体費用を想定したうえで値引きしせざるを得ませんので、その場合は、更地価格よりも低い売値となってしまうこともあります。

以上のように、古い空き家をそのまま売ることは困難です。より高く売るには、普段からの管理を怠らないという方法もありますが、それにも限界があります。
結論として、築20年以上経っている空き家の場合は、他の方法も検討した方が良いでしょう。

※1・・・時間とともに品質が低下すること。雨風、湿気、温度変化、日照などによる品質低下や、通常の使用による摩耗、汚れ等も含まれる。
※2・・・設備やデザインが古く、目新しさがなくなり、時代遅れの印象がついてしまうこと

 

更地にしてから売る

建物を解体して、土地のみ(更地)にしてから売りに出す方法です。
この方法のメリットは、買主が見つかりやすいことです。売買価格も、建物が建っているよりは高くなる可能性が高いです。
例えば、おおむね築20年以上経っているような空き家の場合は、この方法がお勧めです。なぜなら、築20年以上の建物は、価値がないとみなされることが多いためです。
仮に、建物を残したまま土地のみの価格で売り出したとしても、それでは買主は見つかりません。そのまま買っても、建物を解体せざるを得ず、その解体費用がかかってしまうからです。
それであれば、あらかじめ更地にしてから売りに出した方が、買主は見つけやすくなります。

空き家を解体するときの注意点

1 解体費用の相場

構造坪単価の目安
木造坪4~5万円
軽量鉄骨造坪6~7万円
鉄筋コンクリート造坪7~8万円

2 起こりがちな近隣トラブル

次に、解体業者が引き起こす近隣トラブルにも注意が必要です。具体的には、埃・粉じん、騒音、振動などにより迷惑をかけてしまったり、隣の家や自動車を傷つけてしまったり、無断で隣の敷地に立ち入ったりしてしまうことです。事前に、他人の物を破損してしまった場合の保証内容や、隣地に立ち入る場合の借地料などについて、しっかりと確認しておきましょう。
万が一、解体業者とトラブルになってしまった場合は、国民生活センターの『消費者ホットライン』に相談するか、弁護士などの法律の専門家に相談しましょう。

リフォームしてから売る

リフォーム計画
資金に余裕があれば
、空き家をリフォームしてから売るという方法もあります。空き家に付加価値をつけて、現在の価値以上の価格で売却し利益を得たいとお考えの場合にお勧めです。
最新の設備や内装に変え、空き家に付加価値をつけることで、より高く売れる可能性がありますリフォーム済みの住宅は、新築同然の住宅を、新築よりも安く購入できるため、一定のニーズがありますので、買主のニーズにマッチする住宅に仕上げることができれば、利益を上げることができるかもしれません。
ただ、リフォームしたにもかかわらず売れ残ってしまうリスクはあります。リフォーム費用分を価格に上乗せして売却できればよいのですが、なかなか売れない場合には値引きせざるを得ず、結果的にリフォーム費用を回収できないというリスクもあります。
このようなリスクを避けるためにも、買主のニーズにマッチしやすいリフォームを施すことと、リフォーム費用はなるべく安く抑えることが必要です。そのためには、信頼できる設計事務所やリフォーム業者に依頼することが大切です。

空き家放置の4つのリスク

空き家を放置すると、次のような4つのリスクがあります。

1 資産価値が下がる
空き家を管理せずに放置すると、劣化や老朽化が加速し、廃墟と化してしまいます。
廃墟と化した空き家は、近隣の景観を悪化させますし、放火や空き巣の被害に遭ったりして、治安の悪化にもつながります。 その結果、空き家自体の資産価値が下がるだけでなく、近隣の地価を下げることにも繋がってしまいます。

2 損害賠償請求を受ける
空き家が引き起こした火事で近隣住宅を延焼させてしまったり、風で飛ばされた屋根瓦により、近隣の家や自動車などを破損させてしまったりした場合には、その責任は、空き家の所有者に問われます。たとえ所有者に落ち度がなかったとしても、責任を負わなければなりませんので(民法第717条)、被害者に損害賠償をする必要があります。

3 固定資産税が上がる
住宅が建っている土地については、通常の固定資産税の6分の1に減税されていますが、一定の空き家の敷地については、この減税制度の対象から外されてしまいます。

4 強制的に解体され、その費用を請求される
廃墟と化した空き家は、行政により強制的に解体、撤去される可能性があります。そして、解体・撤去作業にかかった費用は、所有者に請求されます。この費用を払わないと、財産を差し押さえられる可能性もあります。
以上のように、空き家を放置することは、『百害あって一利なし』と言えるでしょう。空き家を所有することになったら、自ら使用する予定がなければ、早急に売却することをお勧めします。

空き家売却の7つのステップ

不動産会社に売却の仲介を依頼した場合、一般的には、次のような7つステップをふみます。
不動産売却の流れ

不動産会社に査定を依頼する

まずは、不動産会社に不動産物件の査定を依頼します。

不動産会社を選ぶコツ

不動産屋の女性

なるべく複数の、そして地元の不動産会社に査定を依頼しましょう
1社だけでは比較検討ができません。なるべく多くの会社の話を聞いて、共通する話、相違する話を整理して、よく吟味しましょう。
そして、査定価格が高いというだけで選ぶのではなく、「信頼できる会社かどうか」、「任せても大丈夫な会社なのか」という視点でも選びましょう。
信頼できる会社かどうかを判断するには、例えば、次のような担当者の対応で判断することもできます。
  • 質問に対して、迅速に回答が返ってきたか。
  • こちらの質問に的確に答えているか。
  • 説明はわかりやすいか。
  • 良いことばかりではなく、さまざまなリスクの説明もされたか。
  • 「何でもできます」ではなく、「できないことはできない」という説明はあったか。

これらは、ほんの一例であり、場合によっては当てはまらないこともあるかもしれませんが、大切なことは、「しっかりとしたコミュケーションができるか」、「誠意をもって正直に対応してもらえるか」ということに集約されるでしょう。

空き家の場合は大手より地元が有利

大手不動産会社か、地域密着型の地元不動産会社かという問題もありますが、空き家などの古い物件は、地元の事情に精通した不動産会社に任せる方が安心です。大手不動産会社は、利益率の低い物件には消極的な傾向もあるためです。
ただし、古い物件であっても、都心などの好立地にあったり、広大な敷地であったりする場合には、大手不動産会社に依頼した方が有利でしょう。このような物件の売買価格は必然的に高額になり、買主も限られてきてしまいますので、買主を探すには、なるべく多くの販売ルートが必要になるためです。

 

媒介契約の締結

納得できる不動産会社が見つかったら、媒介契約(仲介契約のこと)を締結します。
媒介契約には、「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」という3種類があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。

一般媒介専任媒介専属専任媒介
他の不動産会社とも媒介契約できるか?できるできないできない
自分で買主を見つけることができるか?できるできるできない
不動産会社からの販売状況報告報告義務なし2週間に1回以上の報告義務あり1週間に1回以上の報告義務あり
レインズ(※)への登録登録義務なし媒介契約締結後7日以内に登録義務あり媒介契約締結後5日以内に登録義務あり
こんな場合にお勧め!

・立地が良いなど、売りやすい物件
・地元の小さな不動産業者に依頼する場合

・大手不動産会社に依頼する場合
・自分でも買主を探したい場合
・大手不動産会社に依頼する場合
・こまめな報告が欲しい場合

一般媒介の場合は、複数の不動産会社と契約できる反面、それぞれの不動産会社からの報告義務がありませんので、販売活動をおろそかにされるおそれもあります。不動産の立地が良く、なるべく多くの買主候補から選別したいという場合には向いている契約だと言えます。

専任媒介、専属専任媒介は、1社としか契約できない反面、不動産会社には定期的な報告義務がありますし、他の不動産会社に取られてしまうというリスクもありませんので、しっかりとした販売活動を実施してもらえる可能性が高いです。

※レインズ・・・国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営している不動産流通ネットワークシステムのこと。全国の不動産取引の情報を集約し、その適正化と円滑化に役立っている。

 

販売活動

不動産会社が、さまざまなネットワークを駆使して、買主を探します。

 

条件交渉

購入希望者が現れたら、不動産会社を介して、金額、引渡し時期などの諸条件について交渉します。

重要事項説明書の確認

条件がまとまったら、売買契約締結の前に、不動産会社が、「重要事項説明書」の内容を買主に説明します。

 

不動産売買契約の締結

不動産売買契約書を作成し、売主、買主の双方が署名押印します。手付金がある場合は、買主から手付金を受け取ります。
売買価格、手付金の額、契約締結日、所有権移転日、違約金、解除条件などの大切な内容が記載されていますので、あらかじめよく読んで確認しておくことが大切です。

残金決済・所有権移転登記・物件引渡し

買主から売買価格の残金の支払いを受け、それが確認できたら、所有権移転登記を申請し、物件の鍵などを引渡します。

 

不動産売却にかかる5つの費用

不動産を売却する場合、一般的にかかる費用や税金についてご説明します。

 

印紙税

売買契約書を作成する際に必要となる税金です。一般的には売主と買主で折半して負担します。
税額は、以下のとおり契約書に記載される売買価格により異なります。
 
印紙税額(令和4年3月31日までに作成される場合)
契約書に記載された売買価格印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上 10万円以下200円
10万円超 50万円以下200円
50万円超 100万円以下500円
100万円超 500万円以下1,000円
500万円超 1000万円以下5,000円
1000万円超 5000万円以下1万円
5000万円超 1億円以下3万円
1億円超 5億円以下6万円
5億円超 10億万以下16万円
10億円超 50億円以下32万円
50億円超48万円

 

仲介手数料

仲介してもらった不動産会社への手数料です。売買価格に応じて、次のような上限が決まっています。

売買価格仲介手数料の上限
200万円以下売買価格の5%
200万円超 400万円以下売買価格の4%+2万円
400万円超売買価格の3%+6万円

 

登録免許税

不動産登記をする際に必要となる税金です。
法的には、登記を受ける者(買主と売主)が連帯して納付する義務がありますが、売主のみが負担することになるものをご紹介します。

 

抵当権抹消登記

不動産に抵当権が設定されている場合は、売却前に売主が抹消しておく必要があります。 不動産1つについて1,000円の登録免許税がかかります。

住所変更登記・氏名変更登記

引っ越しや結婚などにより、住所や氏名が変わっている場合は、あらかじめ登記上の住所・氏名も変更する必要があります。
不動産1つについて1,000円の登録免許税がかかります。

 

司法書士への報酬

登記を司法書士に依頼する場合は、司法書士への報酬が必要です。抵当権抹消登記や住所・氏名変更登記の場合の相場は、各々10,000円前後です。

譲渡所得に対する所得税・住民税

不動産を売却して利益が出た場合、その利益である譲渡所得に所得税や住民票が課税されます。一般的な計算式は次のとおりです。

譲渡所得税・住民税=譲渡所得×税率

 

譲渡所得

売却金額から、取得費と譲渡費用を差し引き、特別控除額を控除した金額

 

税率

不動産を売却して年の1月1日時点で、その不動産を所有していた期間に応じて、

譲渡した年の1月1日時点の所有期間所得税住民税合計
5年を超えるもの15.315%5%20.315%
5年以下のもの30.63%9%39.63%

 

取得費

不動産の取得に要した費用で、不動産そのものの価格だけでなく、購入時の仲介手数料登記費用などの諸費用も加えられる。
相続で空き家を取得した場合など、取得費がわからない場合でも、概算する方法があります。詳しくは専門家にご相談ください。

 

譲渡費用

売却のために要した費用で、仲介手数料、測量費、印紙代、建物の取壊し費用などが該当する。

 

特別控除

自分が住んでいた家や、相続などにより取得した家を売却する場合は、一定の条件を満たせば、最高3,000万円を譲渡所得から控除することが可能です。

売却するときはここに注意!空き家特有の2つの問題点とは?

遺言書
空き家には、通常の不動産にはない特有の法的問題が発生する可能性があります。その代表的な問題点とは、①空き家の所有者が亡くなっている場合と、②空き家の所有者に判断能力がない場合に発生します。
このような場合の注意点を、詳しくご紹介していきます。

 

所有名義人が亡くなっていたら、まず遺言書があるかを確認する

空き家の所有名義人が亡くなっている場合は、まずは相続登記をして、所有名義を変更する必要があります。
なぜなら、死者名義のままでは売却ができないからです。
空き家の所有権は、亡くなった人から、相続人へ移転し、さらに相続人から買主に移転します。決して、亡くなった人から直接買主に移転するわけではありません。
不動産登記には、このような権利関係の流れを正確に記録するという原則がありますので、まずは亡くなった人から、相続人などに名義変更しておく必要があるのです。
この場合の注意点は、遺言書があるかないかで変わりますので、詳しく見ていきましょう。

 

遺言書がない場合は、まず相続人確定が必要

遺言書がない場合は、法定相続人が誰になるのかを調査して、全ての相続人を確定させる必要があります。
なぜなら、遺言書による相続人の指定がない以上は、全ての法定相続人と協議して相続人を決定するか、いったん全ての法定相続人の共有名義で登記をする必要があるからです。ここにも、不動産登記の原則が働いています。
そこで、まず必要となるのが、亡くなった人の全ての戸籍謄本や、全ての法定相続人の戸籍や戸籍の附票といった書類の収集です。
戸籍の取得や相続人の特定には、法律の専門家である弁護士などに依頼した方がスムーズでしょう。また、弁護士に依頼すれば、他の相続人との連絡や遺産分割協議の代理も任せることができますので、疎遠・不仲の親族と連絡を取り合わないといけないというストレスもなくなるでしょう。

 

遺言書がある場合は、遺留分に注意

遺言書の内容に基づいて、所有権移転登記をします。法定相続人に移転する場合と、法定相続人ではない第三者に移転する場合(『遺贈』と言います)があります。
登記を受ける人にその権利があることが証明できれば足りますので、相続人全員を確定させる必要はありません。
ただし、遺言書の内容が、他の相続人の遺留分(※)を侵害する場合には、その侵害した分の金額の支払いを請求される可能性がありますので、注意が必要です。遺留分の計算や、遺留分侵害額請求を受けた場合の対応については、法律の専門家である弁護士などに依頼された方が良いでしょう。
※遺留分・・・法定相続人に法律で保障される最低限の相続分のことで、亡くなった人の配偶者、子、直系尊属(父母や祖父母など)に認められます。その割合は、直系尊属のみが相続人である場合は
、相続財産全体の3分の1で、それ以外の場合は、相続財産全体の2分の1です。

所有者が認知症の場合には、成年後見人などの選任が必要

空き家の所有者が認知症の場合には、家庭裁判所に申立をして、成年後見人などを選任してもらう必要があります。
なぜなら、認知症などにより判断能力が不十分な方が、一人で不動産を売却しようとすると、不当に低い価格で買い取られたり、一方的に不利な条件で契約を結ばされたりしてしまうおそれがあるためです。
そこで、判断能力が不十分な方を保護するため、成年後見人が本人の代理人として売買契約をします。成年後見人は、本人が誤って一人で契約してしまった場合は、後からその契約を取り消すこともできます。
家庭裁判所への申立については、法律の専門家である弁護士に依頼されるのが良いでしょう

まとめ

それでは、ここまでの内容を振り返っていきましょう。

まず、空き家の売却方法には、「そのまま売る」「更地にして売る」「リフォームしてから売る」という3つの方法があり、物件の築年数に応じて、または資金に応じて、検討する必要がありました。
次に、空き家を放置すると、「資産価値が下がる」「損害賠償請求を受ける」「固定資産税が上がる」「強制的に解体され、費用を請求される」というリスクがあることも忘れてはいけません。だからこそ、空き家はなるべく早めに売却するべきなのです。

次は、不動産売買の基本的知識をご紹介しました。空き家を売却するうえでも、このような基本的知識はあった方が有利です。「一般的な不動産売買の流れ」、「どのような不動産会社に依頼するべきなのか」、「どのような契約を結べばよいか」、「どれぐらいの費用がかかるのか」については、ぜひ押さえておきたいポイントです。

そして最後に、空き家特有の問題点も気を付けなくてはなりません。空き家はその性質上、所有名義人が亡くなっていたり、判断能力がなかったりして、そのままではすぐに売却できない可能性があります。これは、法的な問題ですので、解決するためには法的な手続きが必要となります。そのためには、法律の専門家である弁護士などへのご相談をお勧めします。