交通事故で通院4か月した場合の慰謝料の相場と3つの増額方法を解説

交通事故に遭って4か月通院してきたが,慰謝料はどれくらいもらえるのだろうと疑問に思っていませんか。

実は,交通事故における慰謝料は,通院期間や回数をもとに計算されています。そしてその計算の基礎となる算定基準は3つあり,それぞれの基準によって金額が異なります。

この記事では

  • 通院4か月した場合の慰謝料の相場
  • 慰謝料算定の3つの基準
  • 慰謝料を弁護士基準に近づける3つの方法

について解説します。

この記事を読んでいただければ,慰謝料の計算方法や増額方法について理解できるでしょう。

交通事故で通院を4か月した場合の慰謝料の相場

慰謝料とは,事故に遭ったことの精神的苦痛に対する賠償のことですが,この慰謝料は交通事故においては,通院期間や回数によって計算されることになります。

なお,弁護士基準では,通院期間に比して通院回数が少ない場合には金額は低くなります(この場合には通院日数の3倍を通院期間として算定することが多いです).

4か月通院 慰謝料

慰謝料額を弁護士基準に近づけるためには弁護士に依頼するのが一番

上記の表の通り,通院日数にもよりますが,通院4か月している場合には自賠責基準の金額と弁護士基準の金額はある程度の金額差があります。

もっとも,保険会社は弁護士基準で慰謝料を算定しないことが多いので,慰謝料を弁護士基準に近づけるには交渉する必要がありますが,自身で保険会社と交渉したとしても,弁護士基準に近い慰謝料の金額を獲得することは難しいです。

慰謝料を弁護士基準に近づける方法は後述しますが,一番の方法は弁護士に保険会社との示談交渉を依頼することになります。

交通事故の慰謝料の3つの基準と計算方法

弁護士基準

上述したように,慰謝料は交通事故においては,通院期間や回数によって計算されることになります。

もっとも,その計算の基礎となる基準は

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準(保険会社基準とも言います)
  • 弁護士基準(裁判基準とも言います)

の3つがあります。

この章では3つの基準の内容や計算方法について解説します。

自賠責基準

自賠責基準とは,自賠責保険から支払われる慰謝料の支払い基準のことです。これは,強制加入の保険であり,最低限の保障しかされないため,金額も他の2つの基準に比べて少ないです。

自賠責基準での慰謝料の計算方法

自賠責基準では

4300円×通院期間(病院に通院していた期間)
4300円×実通院日数(病院に通院した日数)×2

のうち,金額の少ないほうが慰謝料の支払金額となります。

※令和2年4月1日以降に発生する事故に適用される基準です。令和2年3月31日までに発生した事故の場合には「4200円」となります。

例えば,交通事故で通院期間が4か月(120日),通院日数が40日の場合

①4300円×120日=51万6000円
②4300円×40日×2=34万4000円

となり,①>②となるので,②の金額である34万4000円が自賠責基準の慰謝料の金額となります。

任意保険基準

これは,任意保険会社が独自に定めている内部基準のことであり,加害者が任意保険に加入しており任意保険会社から示談の提案がされる場合には,この基準での提案が来ることが多いです。

あくまで保険会社の内部基準なので詳細は不明ですが,一般的には,自賠責基準よりは高く後述する弁護士基準よりは低いと言われています。

弁護士基準

これは,過去の裁判例を元に作成された基準であり,弁護士に依頼した場合には,この基準をもとにして交渉することが多いです。この基準は,最低保証である自賠責基準や任意保険基準よりも高く,慰謝料の3つの算定基準の中で一番高額になっています。

この基準では,入通院期間・回数を基に,算定基礎となる表に従って計算することになります。

 なお,この基準は裁判によって認められる金額であるため,裁判外の示談交渉ではこの満額を獲得することは難しく,この金額に近くなるように交渉をすることになります。

弁護士基準の算定基礎

地域によって細かい基準は異なりますが,一般的には日弁連交通事故相談センターが出版している「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」といいます)に掲載されている表を基準として,入通院期間・回数を基に計算されます。なお,通院期間に比して通院回数が少ない場合には金額は低くなります(この場合には通院日数の3倍を通院期間として算定することが多いです)。

赤い本の基準によって適用される表には2種類あり,通常の表(「別表Ⅰ」といいます。骨折等の他覚所見が明らかな場合に用いられます。)と,むち打ち症で他覚所見がない場合等に適用される表(「別表Ⅱ」といいます。軽傷やむち打ち症の場合に用いられます)があり,別表Ⅰの方が別表Ⅱより金額は高いです。

通院4か月の場合の慰謝料の金額
別表Ⅰ(骨折等の場合の基準)90万円
別表Ⅱ(むちうち等の場合の基準)67万円

なお,この金額は入院せず,通院のみした場合の金額ですので,入院もしている場合には,金額は増額します。

入院1か月,その後通院3か月した場合
別表Ⅰ(骨折等の場合の基準)115万円
別表Ⅱ(むちうち等の場合の基準)83万円

通院を4か月した場合の損害賠償額シミュレーション

女性が交通事故に遭う

それでは,交通事故により通院を4か月した場合に,具体的にいくらぐらいの損害賠償金を請求できるか架空事例を基に計算してみます。

頚椎捻挫で4か月通院したケース

傷病名:頚椎捻挫
通院期間:120日間
実通院日数:40日
治療費:20万円
交通費:1万6000円(公共交通機関 片道200円)
休業損害:14万円(休業日数10日間 日額1万4000円)
慰謝料:67万円(弁護士基準)

損害賠償額の合計:102万6000円

頚椎捻挫(いわゆる「むち打ち症」)によって通院を4か月した場合には,慰謝料の弁護士基準は別表Ⅱが適用されるので,慰謝料の金額は67万円請求できることになります。

治療費は20万円かかりました。
病院へは電車で片道200円かけて通っていましたので,40日間の交通費合計は1万6000円になりました。
1日当たりの平均賃金1万4000円の勤務先にて,10日間休業しましたので,14万円の休業損害が発生しました。

したがって,損害賠償金として102万6000円請求できることになります。なお,保険会社が治療費を病院に直接支払っている場合には,治療費分は既払い金として減額されます。

頬に挫創を負い,4か月通院したケース

傷病名:顔面挫創(通院後痕も残らず完治)
通院期間:120日間
実通院日数:30日
治療費:15万円
交通費:1万8000円(公共交通機関 片道300円)
休業損害:8000円(休業日数事故当日のみ 日額8000円)
慰謝料:90万円(弁護士基準)

損害賠償額の合計:107万6000円

歩行者やバイクの方が交通事故の被害に遭って転倒した際に,顔や身体に裂傷等の傷害を負うことがあります。この場合で裂傷等が軽微でない場合には,慰謝料の弁護士基準は別表Ⅰを適用でき,慰謝料の金額は90万円請求できることになります。

治療費は15万円かかりました。
病院へはバスで片道300円かけて通っていましたので,30日間の交通費合計は1万8000円になりました。
1日当たりの平均賃金8000円のバイト先を,事故当日のみ休業しましたので,8000円の休業損害が発生しました。

したがって,損害賠償金として107万6000円請求できることになります。なお,保険会社が治療費を病院に直接支払っている場合には,治療費分は既払い金として減額されます。

慰謝料を弁護士基準に近づける3つの方法

裁判所

上記のように慰謝料には3つの基準がありますが,自身で保険会社と交渉していても,なかなか弁護士基準に近い金額を獲得することは難しいです。この章では交通事故の慰謝料を弁護士基準に近づける3つの方法として

  • 弁護士に交渉を依頼
  • ADR機関の利用(裁判外の紛争解決機関の事)
  • 訴訟提起

を紹介します。

慰謝料増額3手法

弁護士に交渉を依頼する

弁護士に保険会社との示談交渉を依頼すると,弁護士は弁護士基準を基に交渉してくれるため,弁護士基準に近い金額の慰謝料を獲得できる可能性は高くなります。

自身が加入している保険に「弁護士費用特約」が付帯しており,利用できる場合には弁護士費用はかかりませんが,弁護士費用特約がない場合には,弁護士費用以上の増額可能性があるかどうか(費用倒れにならないか)が,弁護士への依頼を決めるポイントになるかと思います。

紛争処理センター等のADR機関を利用する

弁護士に依頼しない場合には,保険会社と交渉しても弁護士基準に近い金額の慰謝料を獲得することは困難なので,他の手段を考える必要があります。ADRとは裁判外の紛争解決手続きのことで,交通事故の場合には「日弁連交通事故相談センター」と「交通事故紛争処理センター」が代表的で,弁護士に依頼せずとも利用できます。

これらは,例えば紛争処理センターであれば,担当弁護士の「あっせん案」や審査会の「裁定」を基に,示談をするかどうか決める手続きですが,「あっせん案」や「裁定」で示される慰謝料は自賠責基準の金額よりも弁護士基準の金額に近いことが多いでしょう。

日弁連交通事故相談センター

交通事故紛争処理センター

訴訟を提起する

これは訴訟を提起して弁護士基準の慰謝料を主張するという方法になります。ただし,訴訟を提起すると,相手は弁護士が出てきますし,訴訟手続きは複雑ですので,本人で訴訟提起することはオススメしません。

もし慰謝料を弁護士基準に近づけるために訴訟提起を弁護士に依頼するのであれば,保険会社との示談交渉を弁護士に依頼したほうが,時間も費用も節約できるかと思います。

 

交通事故の相談なら法律事務所MIRAIO

交通事故の被害者になってしまった場合は、保険会社と示談交渉をするための慰謝料の正確な計算やその具体的な主張立証など、専門的な知識が求められます。また、初期対応を間違えてしまうと,後々取り返しのつかない不利益が生じてしまうこともありますので、なるべく早い段階で弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

 

損害額の算出、専門的書類の作成をしてもらえる

交通事故の損害賠償を請求するには、交通事故の調査、損害額の算出、内容証明郵便の作成、示談書の作成、訴状の作成など、専門的な知識と経験が求められる作業がいくつもあります。

このような時間と手間のかかる作業を弁護士に一任することで、治療に専念することができます。

 

示談や訴訟の代理人になってもらえる

加害者や保険会社との示談交渉や訴訟の代理人になってもらうことができますので、ご自身で直接相手方と話す必要がありません。

この点において、精神的な負担も軽減することが可能です。

より高額の示談金を得ることができる

弁護士に依頼した場合、損害額は弁護士会の基準で算出します。この弁護士会の基準というのは、過去の判例(裁判所の判決内容)を参考に基準額を算定したもので、自賠責保険や任意保険会社の基準よりも高額となっています。

例えば、後遺障害等級第1級の慰謝料は、自賠責保険基準だと上限1650万円ですが、弁護士会基準で算出すると上限2800万となり、実に1150万円もの差があります。

慰謝料弁護士基準に増額

MIRAIOが選ばれる理由

交通事故被害について弁護士に相談されるなら、まずは「法律事務所MIRAIO」でご相談ください。MIRAIOには次のような強みがあります。

相談実績14,000件以上

MIRAIOは創業以来、20年以上にわたり交通事故被害の解決に力を入れてきました。実にその相談件数は14,000件以上に上っています。

医学的知見が豊富

MIRAIOは、医療過誤(医療ミス)やB型肝炎訴訟にも力を入れていますので、医師との協力関係もあり、医学的な知見を豊富に持ち合わせています。

特に、後遺障害がどの等級で認定されるかについては、示談金の金額に大きく影響します。例えば、弁護士会基準による第2級の慰謝料は2370万円ですが、これが第1級に上がると2800万円となり、実に430万円もの増額が可能なのです。

そして、この認定を左右するのが医師の診断書です。MIRAIOであれば、医学的知見を駆使して、より高い後遺障害等級の認定が得られやすい診断書についてのアドバイスをすることが可能です。

損害保険会社の代理人経験も!経験豊富な弁護士が多数在籍

MIRAIOには、交通事故被害に関する経験が豊富な弁護士が多数在籍しています。中には、大手損害保険会社の代理人経験のある弁護士もおります。

示談金がいくらになるかについては、保険会社との交渉次第ですので、相手側の事情に通じていればその分交渉が有利となり、より多くの示談金をえるための効果的な戦略を立てることができます。

初回相談料・着手金無料!

MIRAIOでは交通事故の示談交渉の初回相談料・着手金は無料です。安心してご相談ください。

※ただし、弁護士費用特約付きの保険に加入されている場合は、保険会社の補償の範囲内で相談料や着手金をいただく場合があります。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

交通事故で通院4か月した場合の慰謝料の計算方法や相場,増額方法について理解できたでしょうか。

上述したように,計算方法がわかったとしても自身で保険会社と交渉して慰謝料を弁護士基準にまで引き上げることは難しいです。

交通事故の被害者の方の相談については,相談料無料の法律事務所も多いので,一度弁護士に相談してみることをオススメします。