交通事故の慰謝料は原則非課税!税金がかかる6つのケースを紹介!

お金と天秤

交通事故の被害にあい、慰謝料を受け取ることになった。
慰謝料を受け取る時は税金を払わなければならないのだろうか・・・?

加害者から交通事故の慰謝料を受け取ることになった時に、税金がかかってしまうのか気になっている方がいらっしゃるのではないでしょうか?
結論から申し上げますと、交通事故の被害者が慰謝料を受け取った場合、原則税金はかかりません。
しかし、あくまで「原則はかからない」なので、税金がかかってしまうケースも僅かにあります。
また、交通事故の損害賠償金には、慰謝料以外にも見舞金や治療費などが含まれており、受け取り方などによって税金が発生することもあります。

この記事では、交通事故の損害賠償金を受け取った時に、税金がかかってしまうケースや、損害賠償金の中で課税対象になるもの、慰謝料などを受け取った年度の確定申告をする際の注意点などをご紹介していきます。
この記事を最後まで読めば、交通事故の損害賠償金と税金の関係がスッキリと理解でき、どのような場合に税金がかかるのかわからない不安から解放されるでしょう。

 原則として慰謝料に税金はかからない

慰謝料

交通事故によって、心身を傷つけられた場合、被害者は加害者に「慰謝料」を支払ってもらいます。
この「慰謝料」とはどのようなお金で、なぜ受け取っても税金が掛からないのか、簡単に説明します。

慰謝料=損害賠償金ではない

「慰謝料」と「損害賠償」は混同されて認識されやすいですが、それぞれの意味合いは異なります。慰謝料とは、交通事故などによって受けた精神的苦痛(損害)を補うためのお金です。損害賠償金とは、治療費や修理費用及び慰謝料など、交通事故によって被った損害を補うために支払われる全ての賠償金を指します。つまり慰謝料は損害賠償金の一部です。

慰謝料は利益を得ているわけではないので非課税

損害を受けると、事故に遭う前の状態よりも損をした状態になりますので、損害を補償するためのお金を受け取っても、元通りになるだけで、利益を得たことにはなりません。税金は、何かを売ってお金(利益)を得た時(所得税)や、買い物をして商品やサービスを取得(消費)した時(消費税)など、自らが積極的に利益を得た時に発生することが多く、事故によって損をした状態から、元通りにするための金銭を受け取った場合は、積極的に利益を得ているわけではないため、原則税金はかかりません。したがって、交通事故の損害賠償金の一種である「慰謝料」を受け取っても、原則税金はかかりません。

慰謝料以外に非課税となる6つの項目

見舞金

交通事故の被害にあった場合、被害者はその事故によって被った被害を補償するために、治療費や修理費、保険金など様々な名前のお金を受け取ります。ここでは、損害賠償金の中で原則「非課税」として扱われるお金についてご紹介していきます。

治療費/修理費
(身体・資産に加えられた損害)

治療費や修理費などは、交通事故が無ければ発生しなかったはずの損害を補償するためのお金です。したがって、非課税として扱われます。

休業損害/逸失利益
(事故にあわなければ、働いて得ることが出来たお金)

休業損害とは、交通事故によって怪我をしてしまったために働けなくなり、治療が終わるまで給料を得られなくなってしまったことによる損害です。また、逸失利益とは、交通事故により後遺障害が残ってしまったことによって、事故に遭わなければ得られた給料よりも、減ってしまった経済的利益のことをいいます。
これらは、交通事故に遭わなければ発生しなかった経済的利益の損失であるため、単純な損害賠償として、非課税になるように思えます。
しかし、もしも交通事故に遭わず、本来の給与を受け取れていた場合、受け取った給料に対しては所得税が発生していたはずであるため、休業損害への補償に対しても所得税が発生するはずであるとも考えられます。
結論としては、休業損害や逸失利益への補償には、給料などと同じように「利益」と捉えられる性質がありますが、損害賠償金であるにもかかわらず、所得税等が課税されるのは不均衡であるため、税金がかかることはありません。

見舞金

社会通念上適当と判断される範囲内での見舞金については、心身や資産に加えられた損害に対して、加害者がお詫びの意味として支払った「損害賠償金の一部」であると考えられるため、非課税として扱われます。

自賠責保険金

自賠責保険とは、交通事故に遭った被害者に対して最低限の補償をすることを目的とした保険で、全ての自動車所有者に加入が義務付けられています。自賠責保険から保険金を受け取った場合、全額非課税です。

対人賠償保険金

対人賠償保険とは、加害者が被害者に支払うべき賠償額が、自賠責の限度額を超えてしまった場合に、自賠責超過分を支給してくれる保険で、任意保険の一種です。対人賠償保険から受け取った保険金も全額非課税です。

無保険車傷害保険金

無保険車傷害保険とは、加害者が任意保険に未加入な場合や、加害者の加入している保険内容では、被害者への補償が不十分な場合などに支払われる保険で、被害者側の任意保険に請求します。無保険車傷害保険から受け取った保険金も全額非課税です。

交通事故による損害賠償金などを受け取って、税金がかかってしまう6つのケース

損害賠償金を受け取っても利益を得ているわけではないので、原則非課税として扱われますが、シチュエーションによっては、損害賠償金であっても「利益」としてカウントされる可能性があります。ここでは、交通事故の損害賠償金を受け取って、課税対象となる可能性のある6つのケースについてご紹介していきます。

過剰な交通事故慰謝料・見舞金を受け取った時

交通事故の慰謝料・見舞金は原則非課税ですが、社会通念上不適当に高額である場合には、贈与税の課税対象となる可能性があります。

勤め先から給料と同様の性質を持つ見舞金を受け取った時

基本的に、休業損害や逸失利益への補償として支払われるお金は非課税です。しかし、先述の通り休業損害や逸失利益への補償には、給料などの「利益」と捉えられる性質もあります。加害者から支払われた休業損害や逸失利益への補償とは別に、被害者が被害者の勤め先から「給料を補填する等の意味をもつ見舞金」を受け取った場合、受け取った見舞金が給料として扱われ、課税対象となります。

交通事故によって壊れた商品代の弁償を受けた時

交通事故によって商品に損害が起きた場合、「商品代」や「弁償代」などとして、加害者から商品の損害賠償金を受け取ることがあります。この場合の損害賠償金は、一見非課税になりそうに思えますが、実際には課税対象となります。
なぜなら、商品の損害賠償金を受け取ることは、本来の売買が行われた結果と変わらない状態になるからです。
本来通りの売買が行われた場合、売手から商品がなくなり、売手は代金を受け取ります。もし交通事故によって売手から商品がなくなっても、代金の代わりに損害賠償金を受け取れれば、通常の売買をした結果と変わりはありません。したがって、商品の弁償を受けた場合は、本来の売買が行われた場合と同様に扱われ、課税対象となります。

人身傷害保険から、被害者の過失分に相当する保険金を受け取った時

被害者と加害者双方に交通事故の原因がある場合、その過失割合によって被害者に支払われる損害賠償金は相殺されます。
例えば、被害者:加害者の過失割合が【10:90】で【損害額1000万円】の交通事故が発生した場合、加害者から被害者に支払われるべき損害賠償金は900万円となります。加害者から受け取った損害賠償金は原則非課税として扱われますが、被害者が自身の過失分に相当する100万円を、被害者が加入する人身傷害保険から受け取った場合、被害者自身の過失分は、損害賠償ではなく「利益」として扱われ、課税対象となります。

保険金受取人が死亡保険金を受け取った時
(所得税・相続税・贈与税の3パターン)

被保険者が交通事故によって死亡し、死亡保険金を保険金受取人が受け取った場合、税金が発生します。発生する税金の種類は、死亡保険契約者(保険料負担者)と受取人の関係によって異なります。

所得税がかかる場合 保険金受取人と契約者が同一の場合

例)契約者(保険料負担者):夫
  被保険者:妻
  保険金受取人:夫

上記の場合、妻が死亡すると夫が死亡保険金を受け取ります。保険金は一時所得に分類されるため、所得税が課税されます。

相続税がかかる場合 被保険者と契約者が同一の場合

例)契約者(保険料負担者):夫
  被保険者:夫
  保険金受取人:妻

上記の場合、夫が死亡すると妻が死亡保険金を受け取ります。保険金を一括で受け取るときには相続税が課税されます(年金の形で受け取るときは所得税が課税されます)。

贈与税がかかる場合 契約者と被保険者、保険金受取人が異なる場合

例)契約者(保険料負担者):夫
  被保険者:妻
  保険金受取人:子

上記の場合、妻が死亡すると、保険金を支払っていた夫ではなく、子が死亡保険金を受け取るため、贈与税が課税されます。
贈与税は基礎控除額として認められている110万円を差し引いた額が課税対象となります。そのため、受け取った財産が110万円以下であれば贈与税は発生しません。

示談成立後に被害者が死亡し、遺族が損害賠償金を請求する権利を相続した時

被害者と加害者との間で示談交渉を成立させ、示談金を被害者本人が受け取る場合、基本的には非課税として扱われます。しかし、示談成立後、被害者本人が示談金を受け取るまでに死亡してしまった場合、被害者の遺族は、示談金を受け取る「権利」を相続することとなり、相続税が発生する可能性があります。
同様に、被害者本人が裁判などで損害賠償請求権を得てから、損害賠償金を受け取るまでに亡くなり、遺族がその権利を相続した場合にも、相続税が発生する可能性があります。

税理士コラム
「相続税」が課税される場合について詳しく解説
上記「示談成立後に被害者が死亡し、遺族が損害賠償金を請求する権利を相続した時」に相続税が発生する可能性があると書きましたが、こちらを詳しく見ていきましょう。

・事故により直ちに被害者が亡くなった場合、相続税は課税されない
事故により直ちに被害者が亡くなった時に、加害者から被害者の死亡に対する損害賠償金を遺族の方が受け取った場合は、その損害賠償金は被害者である被相続人の遺産とはならず、相続税は課税されません。遺族の方が受け取った損害賠償金は、その受け取った「遺族の方の所得」となり、損害賠償金が所得税も非課税となることは、上記で見てきたとおりです。

・基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数
損害賠償請求額が確定した後に被害者が亡くなった場合や、損害賠償請求にかかる係争中に亡くなった場合は、損害賠償金を受け取る権利や、損害賠償請求権を相続したことになるので、その損害賠償金等の金額が相続財産に該当し、相続税が課税される可能性があります。課税される可能性があるというのは、相続税には基礎控除額というものがあり、被相続人の遺産の額がその基礎控除額を超える場合にのみ、相続人に相続税が課税されるからです。具体的に基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の算式で求めた金額、例えば相続人が配偶者と子供2人の合計3人の場合、「3,000万円+600万円×3」の4,800万円が基礎控除額となり、被相続人の遺産が4,800万円を越えなければ相続税は発生しません。よって、もともと相続税が課税されそうなご家庭が事故にあわれて損害賠償請求を行っている場合などは、相続税のことも念頭に置いておかないと、思わぬ税負担が発生する場合があります。

慰謝料などを受け取った年度の確定申告をする際の注意点

相続税申告書

大抵の人にとって、損害賠償金を受け取る事は、人生のうちに何度もあることではありません。今まで受け取ったことのない損害賠償金を受け取った場合、普段通りの確定申告で良いのかがわからず、不安を感じる方も多くいらっしゃると思います。ここでは、保険金や見舞金を受け取った年度に確定申告をする場合の注意点をご紹介していきます。

損害賠償金のうちに「必要経費」に算入される金額を補てんするためのものがある場合

損害賠償金のうちに、その被害者の所得(経済的利益)の金額、及び所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするためのものが含まれている場合には、その補てん等された金額に相当する部分については、各種所得の収入金額とされます。
例えば、上記【3】「勤め先から給料と同様の性質を持つ見舞金を受け取った時」は、給与所得、「交通事故によって壊れた商品代の弁償を受けた時」は、事業所得、としてそれぞれの収入金額とします。

慰謝料の中に「治療費」として受け取った金額がある場合

慰謝料の中に治療費として受け取った金額がある時には、その慰謝料は医療費を補てんする金額であるため、医療費控除を受ける場合は、事故による負傷について支払った医療費の金額から差し引くことになります。ただ、その事故に係る医療費を補てんし、なお余りがあっても、他の医療費からは差し引くというような必要はありません。

まとめ

ここで、この記事の重要ポイントを振り返ってみましょう!

原則として慰謝料に税金はかからない

①慰謝料=損害賠償金ではなく、慰謝料=損害賠償金の一種
②損害賠償金は利益を得ているわけではないので原則非課税
③従って、慰謝料も原則非課税として扱われる

以下の項目は原則非課税となる

①治療費/修理費(身体・資産に加えられた損害)
②休業損害/逸失利益(事故に遭わなければ、働いて得ることが出来たお金)
③見舞金
④自賠責保険金
⑤対人賠償保険金
⑥無保険車傷害保険金

以下の場合、税金がかかってしまう可能性が有る

①過剰な交通事故慰謝料・見舞金を受け取った時
②勤め先から給料と同様の性質を持つ見舞金を受け取った時
③交通事故によって壊れた商品代の弁償を受けた時
④人身傷害保険から、被害者の過失分に相当する保険金を受け取った時
⑤保険金受取人が死亡保険金を受け取った時
 ・保険金受取人と契約者が同一の場合⇒所得税
 ・被保険者と契約者が同一の場合⇒相続税
 ・契約者と被保険者、保険金受取人が異なる場合⇒贈与税
⑥示談成立後に被害者が死亡し、遺族が損害賠償金を請求する権利を相続した時

慰謝料などを受け取った年度の確定申告をする際の注意点

①損害賠償金のうちに「必要経費」に算入される金額を補てんするためのものがある場合、各種所得の収入金額とすること
 例1)勤め先から給料と同様の性質を持つ見舞金を受け取った時⇒給与所得
 例2)交通事故によって壊れた商品代の弁償を受けた時⇒事業所得

②医療費控除を受ける場合、慰謝料の中に「治療費」として受け取った金額が有れば、事故による負傷について支払った医療費の金額から差し引くこと

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