【500万円UPも】保険会社の言う通りにする前に!交通事故で損しない為の厳選知識

交通事故発生

交通事故は,自分とは無縁だとお考えですか?

警察庁が発表している統計によると,2019年の年間の交通事故発生件数は38万1237件にも及び,死傷者数は46万4990人にも上ります。2019年における日本の総人口は1憶2616万7000人なので,約270人に1人が交通事故で死傷していることになります。

交通事故は,どれだけ注意して運転していても,加害者側ドライバーのせいで誰でも被害者になってしまう可能性があるのです。

 

交通事故の被害にあうと,多くの場合,加害者側の保険会社が登場します。

実は,交通事故の保険金について,保険会社の言う通りにした場合,かなりの損をしてしまう可能性があることを知っていますか?

中には,500万円以上も損をしてしまうこともあるのです。

例えば,保険会社からの示談の提案が1000万円でしたが,交渉後の受取り額が1600万円にまで増額した方も実際にいらっしゃいます。

 

なぜ損をするのか,以下で詳しく解説していきますが,

営利企業である加害者側保険会社は,あなたの味方ではない場合が多い! ということをよく覚えておいてください。

 

また,交通事故の保険金は,あなたに発生した損害というマイナス分を補てんしてもらい,プラスマイナスゼロを目指すものです。

なので,保険金の金額を上げる交渉をすることは,けっして不当なことでありません。

当然の権利 なのです。

 

交通事故保険金で損をしないための知識を,以下で伝授していきますが,大事なことを5つに絞って最初にお伝えすると,

・加害者側保険会社はあなたの味方ではないことが多い
・損をしてしまうカラクリ:3つの支払い基準を知っておきましょう
・治療については専門である主治医の判断に従いましょう
・後遺症が残ってしまったら被害者請求で後遺障害等級認定の申請をしましょう
・弁護士の無料相談を賢く使いましょう

となります。

この記事を読み終わればきっと,保険会社の言う通りにしていると損をしてしまうケースが分かり,保険会社と交渉するポイントが理解できるでしょう。

 

交通事故は,いつなんどき被害にあうかまったく分かりません。そんなときに備えて,ぜひブックマークをしておいてください。

目次

そもそもなぜ損が発生するのか?-保険会社はあなたの味方ではないことが多い!

現在多くのドライバーが,交通事故を起こしたときに備えて,任意保険に介入しています(損害保険料率算定機構発表の2019年度版「自動車保険の概況」では対人賠償で74.8%の加入率)。

このため,多くの交通事故において,加害者側保険会社が登場し,その保険会社と損害賠償のやりとりをすることとなります。

覚えておいていただきたいのは,保険会社は,敵とまでは言いませんが,あなたの味方ではないことが多いということです。

以下で,詳しく説明していきます。

保険会社は営利企業…少しでも支払いを減らしたい

まず前提として,保険会社は民間の営利企業です。少しでも企業利益を上げるため,少しでも出ていく金額を減らしたいと考えるのは当然のことです。

このため,交通事故の保険金については,支払金額を下げる方策を試みる場合が多いと想像できます。

これに関連して,保険会社では,法律上の根拠を持たない『保険会社基準』を設定していることが挙げられます。

最初に抑えておきたいポイント-賠償額についての3つの基準

交通事故の被害者に支払われるべき賠償額については,3つの基準があると考えられています。

  1. 自賠責基準:自賠責保険における支払い額の基準
  2. 保険会社基準(任意保険基準):任意保険会社が社内で独自に設定している支払い額の基準
  3. 裁判所基準:裁判をした場合に認められると考えられる支払い額の基準

です。

保険会社からは②の保険会社基準に基づき損害賠償額の提案がされますので,できる限り③の裁判所基準に近づくように交渉していくことになります。

自賠責基準

ご存じのとおり,自賠責(自動車損害賠償責任保険)は,自動車・バイクの所有者に加入が法律上義務付けられています(強制加入)。

この目的は,交通事故の被害について,最低限の保障をするためです。

最低限の保障ですから,3つの基準の中でもっとも金額が低くなります。

ただし,この基準にはしっかりとした根拠があり,国土交通大臣等によって設定され,公開もされています。

保険会社基準

保険会社基準は,任意保険について,保険会社が社内で独自に設定しているものであり,法律上の根拠はありません。この基準は公開されておらず,ブラックボックスです。

保険会社の基準であるため,本来支払われるべきと想定される金額,つまり損害をプラスマイナスゼロに補てんするための金額よりも,低く設定されている場合が多くなっています。

この基準をもとに,保険会社は示談提示をしてきます。このために,保険会社の言う通りに示談してしまうと,多額の損をしてしまう可能性があるのです。

なお,被害者を説得するための保険会社側のトークとして,「国が定めている自賠責の基準よりも,私(保険会社担当者)で頑張って,高くさせていただきました」というものがありますが,最低限の保障である自賠責よりも高額となるのは当然のことです。鵜呑みにして,安易に示談に応じてはいけません。

裁判所基準

裁判

裁判所基準は,仮に裁判で争った場合に,判決で認められるであろう金額の基準です。裁判所が,実際の事件において,交通事故の損害をプラスマイナスゼロにするため出してきた裁判例の積み重ねから生まれたものです。

裁判所が公式に発表しているものではありませんが,財団法人日弁連交通事故相談センター本部発行の「交通事故損害額算定基準(通称:青い本)」や,財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行の「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通常:赤い本)」に詳細にまとめられています。この2冊の書籍は,弁護士,裁判官といった交通事故裁判の専門家であれば必携と言われているものであり,専門家同士ではこの書籍に従って話しが進むことがほとんどです。

交通事故の損害を,本当にプラスマイナスゼロにするための基準ですから,3つの基準の中で一番高額となっています。いわば,適正な金額,とも言えるでしょう。

保険会社との交渉では,裁判所基準による金額に可能な限り近づくように交渉をしていくことになります。

後遺障害等級1級の慰謝料

 

差額1000万円!

自賠責基準1150万円
保険会社基準(一例)1800万円
裁判所基準2800万円

 

実際の事例を見てみましょう-まずは金額を見てみましょう!

まずはどれだけ損をすることがあるのか,実際の事例の金額をみていきましょう。

なぜ金額が上がったのかは,このあとの細かい解説のあとに改めて解説します。
*先に理由を確認されたい方はこちら

事例(1)38歳女性 専業主婦

保険会社からの提案150万円⇒交渉後の受取り額540万円 390万円アップ!

 

事例(2)45歳男性 自営業

保険会社からの提案100万円⇒交渉後の受取り額400万円 300万円アップ!

 

事例(3)40歳男性 会社員

保険会社からの提案1000万円⇒交渉後の受取り額1600万円 600万円アップ!

 

 

適正な保険金額を受けとるために知っておきたい3つの場面

以上で説明した知識をもとに,実際に適正な保険金額を受け取る上で重要な3つの場面を解説していきます。

  1. 治療から症状固定まで
  2. 症状固定
  3. 示談提示

3場面です。

※症状固定:これ以上治療を続けても症状が良くならない状態

交通事故フローチャート

まだ実際には交通事故の被害にあっていない方はざっと確認していただき,実際に交通事故にあってしまった場合に備えてブックマークをしておかれることをお勧めします。

治療中から症状固定まで-治療費・休業損害打切り

少しでも支払額を減らしたいと考える保険会社は,治療費や休業損害の支払いを打ち切ってこようとすることがあります。

治療費・休業損害の打切り-主治医の判断を優先

加害者が任意保険に入っている場合,被害者の治療費は,加害者の保険会社から直接医療機関に支払われることがとても多いです。この直接の支払いは,症状固定まで行われます。なお,この直接の支払いは,あくまで保険会社側のサービスであり,法律上強制はできないと考えられています。

症状固定とは,これ以上治療を続けても症状が良くならない状態をいいます。少し乱暴な言い方をすると,それ以上の治療は無意味になった状態ということです。このため,症状固定以降は,保険会社は治療費を支払う義務がなくなります。

つまり,症状固定が早くなればなるほど,保険会社が支払うべき治療費が減ります。これを狙って,保険会社は,「そろそろ症状固定にしましょう,以降は治療費は支払いませんよ」と症状固定を急かし,療費の支払いを打ち切ろうとしてくるのです。

しかし,症状固定であるかは,医学的な問題であり,医師が判断すべきことです。もし保険会社が症状固定を急かしてきても,主治医とよく相談していただき,主治医の判断に従う方が良いと言えるのです。主治医がまだ症状固定ではない,まだ治療が必要だと判断したのなら,主治医の判断を保険会社に伝えて,断固として治療を継続すべきでしょう。

行動POINT!  治療を続けるべきかは主治医の判断を優先しましょう。

それでも強硬な打切りをされたら-後日請求で対処

もっとも,主治医がまだ治療が必要だと判断しても,保険会社側が治療費の直接の支払いを強硬に打ち切ってくることがあります。この場合は,自身の健康保険を使って治療を続けていったん自身で支払い,後日保険会社に請求することも検討しなければならないでしょう。

治療費と同じように,症状固定以降は休業損害についても保険会社は支払う義務はなくなります。保険会社が症状固定したと言い張る場合には,それ以降に発生した休業損害(例えば,通院のために仕事を休まなければならなかったときの減額になった給与分)は,後日保険会社に請求します。

行動POINT! 強硬に打ち切られたらいったん自費治療で対応を!

 

症状固定-後遺障害等級認定申請をしよう

症状固定後に,痛みや身体の不調(可動域が狭くなったなど)が残っている場合は,後遺症が残ってしまった可能性が高いです。この場合は,必ず後遺障害等級認定の申請をしましょう

後遺障害

後遺障害とは-労働能力喪失を伴う後遺症

後遺症の中でも,自賠責保険で定められた14級から1級の等級に該当する場合は,特に後遺「障害」と呼ばれ,後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求することができます。後遺障害は,後遺症の中でも労働能力の喪失・低下を伴うであり,これによる精神的苦痛への慰謝料,後遺障害がなければ今後稼げたと考えられる収入の補てんを求めることができるのです。

例えば,裁判所基準で後遺障害等級10級では慰謝料額が550万円,1級にもなると2800万円になります。

後遺障害等級認定の申請方法-2つの方法と被害者請求の勧め

後遺障害等級の認定は,自賠責損害調査事務所という機関が行います。

申請方法は,加害者側保険会社を通じて行う事前認定と,被害者の方自らが申請書類を準備して行う被害者請求の2つがあります。

被害者請求を活用しましょう!

お勧めは被害者請求です。ここまで読んでくださった察しの良い読者の方はお分かりだと思いますが,保険会社を通じての申請の場合,本来認定されるべき等級よりも低い等級で認定がされるおそれが上がるのです。後述するように,後遺障害等級が上がれば上がるほど,保険会社が支払うべき金額は上がっていきます。このため,保険会社を通じての申請では,高い等級を得るための資料が提出されていないこともあり得るのです。

たしかに被害者申請は,自身で書類を揃えるなど,手間がかかります。しかし,後遺障害等級によっては保険金額に何百万円も差が出ることもあるのです。ぜひ被害者申請をご活用いただけたらと思います。

被害者請求は,自身で書類を揃えて,加害者側の自賠責保険会社に提出して行います。

≪Column≫被害者請求で準備する書類
・後遺障害診断書
・交通事故直後のレントゲン写真,CT画像,MRI画像
・症状固定時のレントゲン写真,CT画像,MRI画像   など
基本的には,すべて主治医の医療機関から取得ができます。主治医によくご相談ください。
行動POINT! 後遺症が残ったら後遺障害等級認定の申請をしましょう。

異議申立て

また,認定された結果に不満がある場合は,異議申立てができます。

異議申立ては,事前認定であれば任意保険会社に対して,被害者請求なら自賠責保険会社に対して,具体的反論を添えて行います。

主治医ともよく相談しつつ,納得のできる後遺障害等級の認定を受けましょう。

行動POINT! 認定された後遺障害等級に納得できないなら異議申立てをしましょう!

 

示談提示-4つの項目には必ず注目しましょう!

症状固定したと保険会社が判断すると,保険会社から最終的な賠償金額の示談提示がきます。

詳細なものから簡易なものまで,その書式は保険会社や案件によってさまざまですが,必ず注目していただきたい4つの項目を解説します。

示談書

慰謝料-入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2つ

交通事故で怪我をしたと聞くと,慰謝料を思い浮かべる方も多いでしょう。

慰謝料と一言で言っても,実は交通事故の慰謝料には2つあるのです。

入通院慰謝料と,後遺障害慰謝料の2つについて詳しく見ていきましょう。

入通院慰謝料-怪我の治療のために負った精神的苦痛への慰謝料

交通事故にあい,怪我を負った場合,治療のために病院へ通院をしなければなりません。怪我の状態によっては,入院する必要も出ていきます。

こういった入通院をするほどの怪我を負ったことについて,精神的苦痛を感じることになると思います。痛みや,身体の不自由さなど,さまざまな面についてです。

こういった精神的苦痛も,交通事故の保険金にて賠償されることになっています。

金額は,入金の期間,通院の期間(実日数も考慮)によって計算されます。

保険会社は,裁判所基準で認められるべき金額よりも,低額な金額で示談提示をしてくることがとても多いです。自身の入院期間,通院期間(実日数)を正確に把握しておき,適正な金額を計算できるように準備しておきましょう。

書籍と弁護士無料相談の活用

適正な入通院慰謝料額は,上記でも紹介した,財団法人日弁連交通事故相談センター本部発行の「交通事故損害額算定基準(通称:青い本)」や,財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行の「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通常:赤い本)」に詳細にまとめられています。

お近くの図書館等に所蔵されていればご自身で確認されてもいいですし,弁護士の無料相談でも教えてくれることもありますので,ぜひ活用して,適切な入通院慰謝料を確認してください。

後遺障害慰謝料-後遺障害が残ってしまったときの精神的苦痛への慰謝料

交通事故によって,後遺障害が残ってしまったときの精神的苦痛は計り知れないものがあります。この精神的苦痛についても,しっかりと賠償をしてもらわなければなりません。

後遺障害慰謝料は,上述した14級から1級の等級によって決まっています。裁判所基準による金額は,下の表でご確認ください。最大は1級の2800万円となっています。

保険会社は,独自の保険会社基準にて示談提示を行ってきます。ときには100万円単位で金額に大きな差が出ることもある項目です。

しっかりと,適正な金額を支払ってもらえるように,等級ごとの金額をご確認ください。

後遺障害等級

裁判所基準

1級

2800万円

2級

2370万円

3級

1990万円

4級

1670万円

5級

1400万円

6級

1180万円

7級

1000万円

8級

830万円

9級

690万円

10級

550万円

11級

420万円

12級

290万円

13級

180万円

14級

110万円

 

行動POINT! 適正な慰謝料額を確認しましょう。

後遺障害逸失利益-以前と同じように仕事ができなくなったことへの賠償

後遺障害が残ってしまうと,腕を動かすと強い痛みが出てしまったり,関節が以前よりも動かなくなってしまったりして,交通事故にあう前よりも仕事ができなくなってしまいます。これにより,今後の収入が減ってしまうことが考えられます。

こういった以前と同じように仕事ができなくなったことへの賠償が,後遺障害逸失利益です。交通事故がなければ,将来稼げたであろう収入の補てんだと考えていただくと分かりやすいと思います。

計算式

基本的な計算式は以下のようになっています。

事故前1年間の現実の年収額 × 労働能力喪失率 × 中間利息控除した労働能力喪失期間

労働能力喪失率-後遺障害等級ごとに検討する

労働能力喪失率は,認定された後遺障害等級ごとに下記を参考に定めます。

後遺障害等級

労働能力喪失率

1級

100/100

2級

100/100

3級

100/100

4級

92/100

5級

79/100

6級

67/100

7級

56/100

8級

45/100

9級

35/100

10級

27/100

11級

20/100

12級

14/100

13級

9/100

14級

5/100

 

労働能力喪失期間-原則は67歳までの年数

労働能力喪失期間は,裁判所基準では,原則,症状固定から67歳までの年数と考えられています。

例えば,被害者の方が40歳である場合,27年間ということになります。期間が長くなるほど賠償額が増えますが,保険会社はここでも支払い金額を減らそうと画策してきます。定年が60歳だから労働能力喪失期間20年間です,といった感じです。

ただし,後遺障害が骨折の痛みや,ムチウチによる痛みである場合は,短期間に制限されるのが一般的です。例えば,ムチウチでは3~5年間となることが多いです。少し乱暴な言い方をすると,これらの痛みはしばらくしたら慣れる,と考えると分かりやすいでしょう。

中間利息控除-一括で受け取ることができる利息分の控除

後遺障害逸失利益の賠償は,基本的には一括払いでされます。本来だと将来少しずつ受け取るはずであった金額を,一気に受け取ることができます。その分,利息分が控除されます。腑に落ちない方もいらっしゃると思いますが,一度に受け取れば資産運用することもできるので予測利息分が控除される,と考えると分かりやすいかもしれません。

中間利息控除については,本来だと複雑な計算をする必要があるのですが,上記でも紹介した,財団法人日弁連交通事故相談センター本部発行の「交通事故損害額算定基準(通称:青い本)」や,財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行の「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通常:赤い本)」に,労働能力喪失期間ごとの表がまとめられていますので,実際には計算は不要です。

主婦(主夫)の方でも請求可能!

「将来の収入と考えると,私は専業主婦だったらから,賠償額はゼロか・・・」と思ってしまった方もいるかもしれません。しかし,専業主婦の方も,賃金センサスといって,全女性労働者の平均賃金から基礎賃金を算出しますので,賠償の対象となります。保険会社の中には,専業主婦だからと後遺障害逸失利益をゼロとして示談提示してくるところもあります。専業主婦でも賠償の対象になるはずだと,忽然と請求するべきでしょう。

行動POINT! 正確な後遺障害逸失利益の計算をしましょう!

休業損害-治療のために仕事を休んだ損害の賠償

リハビリ

交通事故の怪我で入院して働くことができなかった,通院のために仕事を休んだ,主治医から自宅で安静にするように言われて仕事ができなかった・・・交通事故の被害にあうと,どうしても休業が発生してしまいます。

交通事故保険金では,こういった休業で収入が減ってしまった分も賠償されます。

休業損害の基本的な計算式は,以下のようになっています。

日額基礎収入(原則は事故前3か月の給与平均値) × 休業日数

なお,会社を休むにあたって有給休暇をとるようにと上司から指示されて,やむを得ず有給休暇をとって通院する方もいるようです。有給休暇であれば給料は支払われるので,損害はなく,有給休暇分は賠償されないと思われる方も多いと思います。有給休暇については,いつ取得するかに財産的な価値があると考えられるので,交通事故にあってしまったために有給休暇をとったのであれば,無休休暇と同様に賠償されることになっています。

主婦(主夫)の方でも請求可能!

専業主婦(主夫)の方は,休んでも休まなくても給与は出ないので,休業損害の賠償はないと思われる方も多いと思います。しかし,専業主婦の方についても,休業損害の賠償の対象になりますのでご安心ください。

賃金センサスといって,全女性労働者の平均賃金から基礎賃金を算出して計算をします。

行動POINT! 適正な休業損害額を計算しましょう!

過失割合に騙されないで!

交通事故で揉めるポイントはどこかと聞かれると,多くの方は過失割合を思い浮かべるのではないでしょうか?後遺障害逸失利益という言葉に馴染みはなくても,過失割合という言葉は聞いたことがあるという方が多いでしょう。

交通事故の保険金についてあまり知識のない方が,一番に気にする点は過失割合ではないかと思います。

保険会社によるこの過失割合の提示についても,注意が必要な場合があります。

過失割合0:10提示は罠かもしれない

自動車対自動車の事故においては,とても多くの場合に被害者側にも過失がついてしまいます。1:9や,2:8の過失割合になってしまうことも多いということです。

しかし,加害者が一方的に突っ込んできたと考える被害者の方も多く,過失割合で自分にも非があるとされると違和感を感じて,保険会社との交渉を検討する方が多くなってしまいます。

そこで,過失割合を,本来よりも被害者側に有利にして納得を促し,全体として交渉が発生しないようにとどめるケースもあるようです。

本体であれば1:9の過失割合を,0:10と提示して被害者を納得させ,後遺障害慰謝料などの金額を下げることで,全体として被害者が損をしてしまうことになることがあるのです。

例えば…

例として,後遺障害慰謝料についてみていきましょう。

後遺障害7級であれば裁判所基準での後遺障害慰謝料は1000万円です。これに対して,ある保険会社基準では600万円であったとしましょう。本来の過失割合は1:9であったとします。

過失割合0:10の提示で被害者を納得させることができれば,後遺障害慰謝料の支払いは600万円で済みます。

本来の過失が1:9で,裁判所基準であれば,900万円の支払いになるはずなので,300万円も保険会社は減額に成功したと言えます。逆に被害者の方は,300万円も損をしてしまったことになるのです。

どうしても聞いたことのある過失割合に目が行ってしまいそうになりますが,そこだけでなく,後遺障害慰謝料などの馴染みの薄い項目もしっかり確認,検討するようにしてください。

交渉をすると被害者側の過失割合を上げられることも

また,保険会社提示の過失割合によらず,後遺障害慰謝料などの増額交渉をした場合,保険会社側は過失割合を本来のものに戻してくることもあります。この場合は,全体として金額が上がるかを十分に確認するようにしてください。

適正な割合を自分でも確認しよう

もちろん,その逆に,本来よりも被害者側が不利になるような過失割合を提示してくることもあります。この場合は,適正な過失割合にするように交渉する必要がありますね。

適正な過失割合については,上記でも紹介した,財団法人日弁連交通事故相談センター本部発行の「交通事故損害額算定基準(通称:青い本)」や,財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行の「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通常:赤い本)」に詳細にまとめられています。

お近くの図書館等に所蔵されていればご自身で確認されてもいいですし,弁護士の無料相談でも教えてくれることもありますので,ぜひ活用して,適切な過失割合を調べて交渉をしてください。

行動POINT! 適正な過失割合を確認しましょう。

 

実際の事例を見てみましょう-なぜ金額が上がったのか?

上で,実際の事例の金額だけお伝えしました。

ここでは,さらに,なぜ金額が上がったのか,解説したポイント踏まえてみていきましょう。

自動車保険

事例(1)38歳女性 専業主婦

保険会社からの提案150万円⇒交渉後の受取り額540万円 390万円アップ!

【理由】
被害者の方は専業主婦であったため,当初保険会社からは,休業損害と後遺障害逸失利益はゼロ円という提案がきました。専業主婦であっても休業損害,後遺障害逸失利益は賠償されると交渉したところ,金額が大幅にアップしました。

事例(2)45歳男性 自営業

保険会社からの提案100万円⇒交渉後の受取り額400万円 300万円アップ!

【理由】
後遺障害等級認定について,保険会社の事前認定では非該当となってしまい,後遺障害慰謝料,後遺障害逸失利益はゼロとの提案でした。被害者自身で資料を集め,被害者で異議申立てをしたところ,後遺障害等級14級が認められ,金額が大幅にアップしました。

事例(3)40歳男性 会社員

保険会社からの提案1000万円⇒交渉後の受取り額1600万円 600万円アップ!

【理由】
事前認定にて認定された後遺障害等級は妥当なものでしたが,保険会社基準での示談提示であったため,単純に裁判所基準に近い賠償額の支払いを粘り強く交渉したところ,大幅に金額アップしました。

 

事前にできる準備-自分を守るために:弁護士費用特約に入ろう

事前にできる準備として,多くの場合に弁護士費用の自己負担がなくなる,弁護士費用特約をお勧めします。

交通事故は,いつ遭遇するかまったく分かりません。いくら自分では気を付けていても,無謀な運転をする加害者のせいで,いつなんどき被害にあってしまうか分からないのです。

いざ交通事故にあってしまったときに備えて,ご自身でできる事前準備は多くはありませんが,弁護士費用特約付きの保険に入っておくことはとても有効です。弁護士費用特約に入っていれば,交通事故の示談交渉を弁護士に依頼したときの弁護士費用を,あなたが加入している保険会社が支払ってくれ,多くの場合に自己負担は発生しません

弁護士

弁護士費用特約付きの保険とは-火災保険も見落とさない!

弁護士費用特約は,自動車保険(任意保険)に付帯して加入できることが多いです。最近の自動車保険では,標準で付帯しているものも多くなってきました。弁護士費用特約の有用さが浸透してきていることが伺えます。

自動車保険の他にも,実は,自宅の火災保険に付帯していることもあります。一度,付帯しているか確認されてみるのがいいでしょう。後で追加できるようであれば,追加をぜひご検討ください。

≪Column≫信頼できる弁護士に依頼しましょう
なお,実際に弁護士費用特約を利用しようとした場合,自身の保険会社から,保険会社紹介の弁護士でなければ利用できないような説明をされることがあるようです。基本的にそのような制限のある弁護士費用特約はありませんので,ご自身が信頼できる弁護士に依頼するようにしてください。

 

自分だけでの対応に限界を感じたら…できるだけお金をかけずに上手にレベルアップ!

保険会社は,交通事故についても,さらには「金額を抑えること」についてもプロッショナルです。そもそも対等な立場ではないのですから,しっかりと『武器』をもつようにしましょう。

自分だけの対応に限界を感じたら,弁護士の無料相談などの活用もぜひご検討ください。

弁護士の無料相談を賢く使おう!

今では,多くの弁護士事務所において,交通事故の相談を無料で受け付けています。

例えば,保険会社から示談提示があってから,弁護士に相談すると,無料で増額可能性や増額幅を教えてくれることも多いです。

法律事務所MIRAIOでも,交通事故の被害者の方からのご相談は,無料で承っております。

困ったことがあれば,弁護士の無料相談を賢くご利用ください。

交通事故ADR

保険会社と交渉してみたけど,納得できる結果を得られなかった場合,いきなり裁判で争うのではなく,交通事故ADRをご利用されるのも良い手段です。

ADRとは,裁判外紛争解決手続きのことをいい,裁判所ではない第三者機関で仲裁などしてもらい,適切な解決を目指すものです。

交通事故のADR機関としては,財団法人交通事故紛争処理センター(通常:紛セ)と,日弁連交通事故相談センターなどがあります。

一般的に,裁判手続きよりも早く,費用が安く済みます。弁護士費用特約に加入しておらず,かつ少額の請求なので弁護士費用をかけたくないときなどの利用が適しています。

まとめ

いかがだったでしょうか?

場合によっては受け取れる保険金額が大きく減ってしまう背景が分かり,保険会社と交渉するポイントは理解できましたか?

保険会社との交渉における8つのポイントをおさらいすると,

  1. 治療を続けるべきかは主治医の判断を優先しましょう。
  2. 治療費の支払いを強硬に打ち切られたらいったん自費治療で対応しましょう。
  3. 後遺症が残ったら後遺障害等級認定の申請をしましょう。
  4. 認定された後遺障害等級に納得できないなら異議申立てをしましょう。
  5. 適正な慰謝料額を確認しましょう。
  6. 正確な後遺障害逸失利益を計算しましょう。
  7. 適正な休業損害を計算しましょう。
  8. 適正な過失割合を確認しましょう。

となります。

まだ実際には交通事故の被害にあっていない方は,実際に交通事故にあってしまった場合に備えて,ぜひブックマークをお願いいたします。

お役に立つときがくるかもしれません。