【1000万円以上損することも】弁護士解説!交通事故被害者にとって重要な6つの事

警察庁が発表している統計によると,2019年の年間の交通事故発生件数は38万1237件にも及び,死傷者数は46万4990人にも上ります。2019年における日本の総人口は1憶2616万7000人なので,約270人に1人交通事故で死傷していることになります。

筆者は,過去に交通事故の被害者側の弁護を400件以上担当してきましたが,被害者の方が間違った対応をしてしまっていたために,適切な賠償金を獲得するのに苦労した経験が何度もあります。

「もっと早く手続きを知っていれば,こういうことはしなかったのに・・・」と悔しい思いをする被害者の方も多く見てきました。
中でも,「加害者に頼まれて物損事故(怪我人はいないということ)扱いにしたのに,私(被害者)が不利な扱いを受けるとは思わなかった」という後悔は多くみられます。
こういった方は,事前に手続きを知っていれば,このような悔しい思いはしなかったに違いありません。
被害者が適切な手続きを行わず,また,保険会社の言う通りにした結果として,適切な賠償金から1000万円以上も低い金額で示談してしまったということも聞きます。

 今回は,この記事を読んでいるあなたが交通事故の被害者になってしまった際に悔しい思いをしないために意識してほしいこととして

  • 交通事故の被害者になった際にやっておいたほうが良い6つのこと
  • 交通事故の被害者になった際の注意点
  • 交通事故被害者の遺族になってしまった際に必要なこと
  • 加害者側の保険を使えない場合の対処法

について網羅的に解説します。

いざ,交通事故の被害者になってしまった際に悔しい思いをしないために,ぜひブックマークしておいてください。

交通事故発生から示談(賠償金獲得)までの流れ

 まずは,交通事故が発生した場合に,手続きがどのように進んでいくのかについて図示しますのでご参照ください。
次章からは,場面ごとに被害者の方に必要なことについて具体的に解説します。

交通事故フローチャート

 

交通事故被害にあったらやっておきたい6つのこと

救急車

交通事故の被害に遭った場合には,警察を呼んだり,通院したり,保険会社に連絡したり等,いろいろやっておいたほうが良いことがあり,中にはタイミングを逃してしまうと後々不利に扱われるようなこともあります。

ここでは交通事故にあった際に後々不利にならないためにやっておきたい6つのこととして

  • 加害者の情報の確認
  • 警察への通報
  • 事故内容の確認
  • 保険会社への連絡
  • 病院への通院
  • 領収書の保管

について,理由と共に解説します。

加害者の情報の確認

交通事故の発生

交通事故被害にあってしまった場合には,まず加害者の情報を確認しましょう。加害者の情報がわからなければ,交通事故の損害賠償請求をする相手方がわからなくなり,適切に事故の損害が賠償がされない可能性が出てきます。

加害者の情報を確認する重要性は以下の3つのパターンによって異なります。
なお,可能であれば,加害者が任意保険に加入しているかも確認したほうがいいでしょう。

加害者が逃走した場合

加害者がその場から逃走した場合には,その行為はひき逃げとなりますので,加害者の車のナンバープレート,車種や車の特徴を確認しましょう。これらの情報はできるだけ多く確認した方がいいでしょう。

その後,すぐに警察に通報し,到着した警察官に加害者の車のナンバープレートや車の特徴を伝え,警察に加害者を捜査してもらうことになります。

もっとも,事故は咄嗟に発生するものであり,被害者がナンバープレート等を確認することは困難なので,実際には警察が捜査する目撃証言や防犯カメラ映像に頼ることになるかと思います。

必要なこと

  • ナンバープレートの確認
  • 加害車両の車種や車の特徴を確認
  • 警察に通報し,状況の説明

 加害者が現場にとどまっている場合

加害者がその場にとどまっている場合でも,警察が到着する前に怖くなって逃走してしまうことも考えうるため,加害者の車のナンバープレートや,免許証を見せてもらって氏名住所を確認する等,必要な情報は確保しておきましょう。

必要なこと

  • ナンバープレートの確認
  • 免許証から氏名,住所の確認

警察到着後も加害者が現場にとどまっている場合

加害者が警察到着まで逃げずにとどまっている場合には,加害者の情報については警察が聴取してくれて記録に残ることになります。したがって,警察到着後には加害者の情報を保有する必要はないでしょう。

警察への連絡

交通事故があった場合には,警察に事故があったことを報告する必要がありますので,警察にも連絡しましょう。警察への連絡は事故直後にしましょう。

警察到着後は,事故の当事者から事情聴取を行いますので,その際には事故の内容について具体的に説明しましょう。ここで話した内容は,後々証拠として重要となりますので,虚偽の説明をせず,漏れなく事故状況を説明しましょう。

必要なこと

  • 事故直後に警察に連絡
  • 事故状況について正確に説明
  • 怪我をしている場合には「人身事故」にしてもらう

 

人身事故か物損事故か

警察からの事情聴取後,「物損事故」か「人身事故」どちらの扱いにするか聞かれるかと思います。その際に加害者から「人身事故にすると行政罰や刑事罰を問われうるため物損事故にしてほしい」とお願いされるかもしれません。

しかし,怪我があるのに物損事故として報告してしまうと,以下の2つのデメリットが生じうるため,怪我を負ってしまった場合や体に痛みがある場合には「人身事故」として警察に届け出るようにしましょう。

実況見分調書が作成されない

人身事故扱いにした場合には,実況見分が行われて実況見分調書が作成されるのに対し,物損事故扱いの場合には実況見分をしないため,簡易な物件事故報告書しか作成されないことになります。

損害賠償の話になった時に,両当事者の「過失割合」が争点になることがありますが,過失割合について具体的に主張立証するためには,警察が作成した実況見分調書が重要な証拠となります。

後々争いとなった場合のことを考えて,人身事故扱いとして実況見分調書は作成したもらったほうがいいでしょう。

自賠責から怪我と事故との因果関係を否定されうる

物損事故として申告しているということは,被害者が交通事故によっては受傷していないという旨の申告にも採られることにもなります。そうなると,自賠責等から怪我と事故との因果関係を否定されたり,人身事故にしないほどの軽微な事故であったと判断されて後遺障害が認定されない,ということにもなりかねません。

もちろん,「人身事故証明書入手不能理由書」を提出することにより上記不利益は回避することも可能ですが,怪我をした場合には人身事故として届け出るのが無難でしょう。

一度物損事故扱いにしても人身事故に変更可能

事故時には痛みがなかったり,痛みが少なかったために物損事故扱いにした場合でも,事故後警察に届け出ることにより人身事故に変更してもらうことは可能です。

その際には,事故で怪我を負ったことの証明が必要となるので,病院で診断書を取得して警察に届け出ることにしましょう。

ただし,事故から日数が経っている場合には,警察が人身事故に切り替えてくれないこともあります。したがって,人身事故への切り替えは事故後数日以内に行う必要があるといえます。

もっとも,事故後に診断書を取得して,わざわざ警察署で人身事故扱いに切り替えるのは手間ですので,事故時に怪我を負っている場合には適切に人身事故で申告をした方がいいでしょう。

必要なこと

  • 診断書の取得
  • 警察に「物損事故」から「人身事故」への切り替えを依頼

事故内容の確認

事故現場の写真

事故の内容については警察に詳細に話しますし,警察も事故現場を確認することになりますが,事故が起きて警察に通報し,現場に警察が到着するまでにはある程度の時間がかかります。その間に加害者が交通事故の証拠を隠滅したり,加害者が警察に虚偽の供述をすることも考えうるため,被害者としても事故の状況を証拠として保存しておいたほうが良いです。

具体的には,

  • 事故車両の画像をスマホで撮影
  • ドライブレコーダーを装着している場合には録画の停止(上書き録画するタイプのものであれば事故の瞬間が上書きされてしまう可能性があるため)
  • 目撃者がいる場合には警察に事故状況を説明してもらうように話をする
  • 加害者との会話の録音

等です。

なお,過失割合や事故態様に争いがない場合にはこれら証拠は何ら意味を有しませんが,事故直後には過失割合に争いがないか判断が難しいため,これらの証拠を確保しておいたほうが良いでしょう。

必要なこと

  • 事故車両の画像をスマホで撮影
  • ドライブレコーダーを装着している場合には録画の停止(上書き録画するタイプのものであれば事故の瞬間が上書きされてしまう可能性があるため)
  • 目撃者がいる場合には警察に事故状況を説明してもらうように話をする
  • 加害者との会話の録音

自分の加入している保険会社に連絡

交通事故の被害者であったとしても,こちらにも過失があり自分の保険を使わなければならなくなったり,加害者が任意保険に入っておらず自分の保険を使わなければならなくなる場合など,自分の保険を使うケースもあります。また,最近は「弁護士費用特約」に加入している方も増えています。したg,自分の保険会社にも連絡し,事故内容を報告し,使える保険を確認しておいたほうが良いでしょう。自分の保険会社への連絡は,事故から数日以内に行うのが望ましいでしょう。

確認したほうが良い保険としては

  • 人身傷害保険
  • 搭乗者傷害保険
  • 弁護士費用特約

などがあります。

特に弁護士費用特約が使える場合には,基本的に自己負担なしで弁護士に相談できるので(保険会社が弁護士に相談料を支払う),早期に弁護士に相談して今後の対応等についてアドバイスしてもらったほうが良いでしょう。

必要なこと

  • 自身の加入している保険会社に連絡
  • 今回の事故で使える保険の確認

怪我をしている場合には,病院に通院

交通事故での通院

交通事故の被害者が怪我をして病院に通院する際に注意しておきたいことは

  • 通院開始日
  • 通院頻度
  • 通院時の検査内容

があります。

事故直後の通院が必要

事故直後には興奮状態のため痛みが出ていなかったが,後日痛みが出るということもあります。もっとも,事故直後は通院せず,事故から日が経ってから通院した場合には,その通院が事故の怪我によるものかどうか(事故と怪我との因果関係)について争われる可能性があります。したがって,事故によって体をぶつけたりした場合には,事故当日か翌日には,検査も踏まえて病院に行ったほうが良いでしょう。

なお,交通事故の加害者が任意保険に加入している場合には,任意保険会社が「一括対応」をしてくれることにより,被害者が病院の窓口で治療費を支払わないでいい場合もあります。

必要なこと

  • 怪我をしている,もしくは怪我をした可能性がある場合には事故後すぐに通院
    • Column 一括対応とは

      「一括対応」とは,加害者側保険会社が窓口となって自賠責保険の保険金と任意保険の対人賠償保険金を一括して支払うサービスのことをいいます。一括払いをした保険会社は,被害者に自賠責保険分の保険金(怪我の分につき上限120万円)を立て替えて支払い,後に自賠責保険から回収することになります。

      一括対応の一つとして,保険会社が被害者の通院先医療機関に対して治療費の立て替え払いをしてくれるケースが多くみられます(なお,通院先医療機関が保険会社による立て替え払いを認めていない場合や,被害者にも一定の過失が認められる場合には一括対応を行われないことがあります)。

      損害賠償の原則は後払いですから,本来,被害者としては,治療が終了するまで(症状固定まで)治療費を窓口で支払い,治療が終了した時点で領収書などを保険会社に提出して損害賠償金としての治療費の支払いを受けることになります。

      もっとも,こうした原則を貫くと,治療期間中の治療費の持ち出しが多くなり,本当は治療を継続したいのに金銭的な理由から通院を諦めなくてはならないなど,時に被害者にとって酷な事態が生じます(被害者自身が自賠責保険に保険金を請求する手続きもありますが,手間がかかるなどの難点があります。)。

      そこで,加害者側保険会社が医療機関に対して治療費を立て替えて支払う一括対応という手続きが取られています。

      なお,保険会社による治療費立て替え払い手続の性質が前述のようなものであるため,保険会社による治療費の立て替え払いは法的義務ではなく,あくまで保険会社によるサービスということになり,保険会社による治療費立て替え払いを法的に強制することは出来ません。

通院頻度は多すぎても少なすぎてもダメ

慰謝料目的で毎日通院したり,不必要に長期間通院する等過剰な通院の場合には,通院の必要性を否定されて,治療費を自己負担しなければならない場合があります。

また,これとは逆に,通院が月に1度等の頻度であれば,ほとんど痛みがないと捉えられて,通院の必要性が否定される,ということにもなります。

したがって,通院頻度は多すぎても少なすぎても問題がある,ということになりますが,どの程度の通院が適切な頻度かについては,被害者の怪我の状況によって様々です。最終的に裁判で通院が必要であったか否かが争点となった場合には,主治医の意見が重要となるため,通院頻度については主治医とよく相談して決めてください。

必要なこと

  • 通院頻度,期間については主治医とよく相談

通院時には必要な検査を積極的に行い,痛み等もちゃんと申告する

病院への通院を継続する場合には,適切な検査を積極的に行う必要があるでしょう。

仮に,交通事故により骨折等した場合には,外見から見ても交通事故のためにそれを受傷したということがわかりやすいです。しかし,椎間板ヘルニアのように,外見上負傷したことが分かりにくいものについては,事故後に画像(XP,CT,MRI等)を撮影していなければ,後々それが事故によって生じたものかどうかわからないために,保険会社から事故との因果関係を争われる可能性があります。

また,交通事故で多い「むち打ち症(外傷性頚部症候群や頚椎捻挫と診断されます)」についても,外見上受傷していることがわからないために,神経学的検査を行っていなければ「むち打ち症」の程度がわからなくなってしまいます(もっとも,「むち打ち症」の場合には神経学的検査によってもわからない場合もありますが)。

したがって,主治医ともよく相談し,通院初期から適切な検査を行っておいたほうがいいといえるでしょう。

必要なこと

・事故直後から適切な検査をしておく

主治医に痛み等をちゃんと申告する

被害者が主治医に話している内容はカルテにも残ることになります。その際に痛みがあるのに強がって「あまり痛くない」等と申告してしまうと適切な治療をしてもらえないこともあります。また,後々事故による通院期間の相当性が問題となった際にも,痛みが少なかったことの証拠となり,通院が必要ではなかった,と認定されてしまうこともあります。

ですので,痛みがあること等については,遠慮せず正直に主治医に申告しましょう。

必要なこと

  • 痛み等はちゃんと申告する

領収書の保管

上記のように,治療費については加害者の任意保険会社が支払ってくれる場合がありますが,通院にかかる交通費であったり,装具を購入したり等,被害者が一時的に費用を立て替える必要があるものもあります。それらについては,後程加害者に請求することになりますので,領収書は必ず保管しておきましょう。

自己判断で請求が難しそうだからといって領収書を破棄してしまっている場合には,証拠がないため加害者に請求することができなくなります。

特に,金額が小さいですが,通院した際の駐車場代の領収書を破棄している方が多いように見受けられますが,これも通院に際してかかった費用として保険会社に請求可能です。

必要なこと

・交通事故に関してかかった費用の領収書を保管

 

Column 会社員が休業する場合に年次有給休暇を使うべきか

    交通事故による受傷のため,仕事を休まざるを得なくなった場合には,その間会社から給料が支払われないことになります。このような場合には,交通事故のために働くことができず,給料が支払われないことを損害として,休業損害の請求をすることができます。

    休業損害は,保険会社が用意してくれる「休業損害証明書」に,休んだ日や,従前の給料等を会社に記入してもらい,それを保険会社に提出することによって請求します。

    では,会社を休んだものの,年次有給休暇を使用したために会社から給料が支払われているような場合でも,休業損害を請求できるのでしょうか。

    確かに,会社から給料が支払われている以上,給料がもらえないという損害はないため,休業損害を請求できないとも考えられます。

    もっとも,自賠責保険においても,裁判例においても,年次有給休暇使用分が休業による損害として評価され,年次有給休暇使用分についての休業損害の請求を認めています。理由としては,有給使用権に財産的価値を認めているからであると考えられます。

    なお,これとは別に,代休を使用した場合には休業損害を請求することはできません。休日に通院しても休業損害を請求できないのと同様,代休は休みを変更しているに過ぎないからです。

       

      交通事故被害にあった際の注意点

       やったらダメ

      これまでは,交通事故の被害者になった際にやっておいたほうが良いことについて説明しました。この章では交通事故の被害者になった際の注意点を中心に解説します。

      治療費等を使いすぎない

      交通事故の被害者の方の中には,まれに,「加害者の保険会社にできるだけ多くの保険金を使わせてやろう」とか,「できるだけ多くの賠償金をもらうために毎日通院してやろう」といった考えのもと,通院回数や期間を増やしたり,実費を多く支出する方がいます。しかし,こういった考えで通院回数を増やしたり,実費を多く負担することは,被害者のデメリットにもなりうるためやめたほうがいいでしょう(倫理的にも問題ですが)。ここでは被害者のデメリットになりうる2つの場合について説明します。

       必要性・相当性を否定されて全額自己負担になる

      通院の必要性については上述したとおりですが,通院頻度が多すぎたり通院期間が長すぎたりするために,通院の必要性・相当性が否定された場合には,必要がない期間の治療費はすべて加害者に請求できず自己負担となってしまいます。

      また,公共交通機関を利用できるのに,特に必要でもないのにタクシーを使用した場合に,タクシー利用の必要性を否定されて,タクシー代を全額自己負担するということもあります。

      このように,交通事故の被害者であるといっても損害を不当に拡大させた場合には,最終的に自分に返ってくる可能性もあるため,必要かつ相当な範囲での支出にとどめるよう努めるべきでしょう。

      被害者にも過失がある場合には一部被害者が負担することになる

      交通事故について,被害者にも一定の過失がある場合には,損害のうち加害者に請求できるのは加害者の過失割合分のみであり,被害者の過失割合部分については,損害額が控除されることになります。

      (具体例)

      損害項目金額
      治療費70万円(保険会社が一括対応)
      タクシー代10万円
      慰謝料100万円
      損害合計180万円
      既払い金70万円(治療費)

       という事案の場合で,被害者の過失が0%(加害者100%)の場合と30%(加害者70%)の場合を比べます。

      被害者の過失0%被害者の過失30%
      損害額の合計180万円180万円
      過失割合0%30%
      過失割合を控除した賠償額180万円126万円
      既払い額70万円70万円
      もらえる賠償額110万円56万円

       被害者の過失が0%の時に最終的にもらえる賠償金は110万円ですが,被害者の過失が30%の時に,最終的にもらえる賠償金は77万円(110万円の70%)ではなく56万円となります。このように差が生じているのは,保険会社がすでに病院に支払っている治療費70万円のうち,30%分である21万円を最終的にもらえる賠償金から差し引かれているためです。

      また,このケースでは,タクシー代として10万円も支出してしまっているため,このうち3万円(30%)が自己負担となってしまっています。公共交通機関を利用していれば,交通費は10万円もかからず,被害者が負担する交通費も少額で済んだことでしょう。

      このように,治療費や実費を多く負担させたとしても,被害者にも過失がある場合には被害者も一部負担することになるため,できるだけ費用は抑制するようにしましょう。

      治療の際には健康保険を利用しよう

      勘違いしている方も多いですが,交通事故の治療についても健康保険を利用することができます。健康保険を利用することにより治療費を抑えることができます。したがって,交通事故の治療についても健康保険を利用しましょう。なお,交通事故の治療について健康保険を使う際には「第三者行為による傷病届」を健保組合に提出する必要があります。

      もっとも,労災保険が使用できる場合には健康保険は使用できないので注意が必要です。

      保険会社の言う通りにしない

      加害者の任意保険会社の一括対応のもと通院していると,保険会社から治療を終了するように言われることがあります。

      また,任意保険会社との示談交渉の際に,不当な過失割合の主張をされたり,不当に低い金額の賠償額の提示がされることもあります。

      保険会社の言う通りにせずに交渉した結果,賠償額が500万円増額したようなケースもあります。

      交通事故の被害者が事故に慣れていないのに対し,任意保険会社の担当者は交通事故の交渉に精通しており,被害者に不利になるようなことを「決まりだから」という体で言ってくることもあります。

      このように,交通事故被害者と任意保険会社の担当者では,交通事故についての知識や経験に大きな差があることから,任意保険会社の言う通りにすることによって,知らず知らずのうちに不利なことをしているかもしれません。

      事前に,任意保険会社との交渉の経験値を積むことはできませんが,知識を蓄えておくことはできます。詳しくはこちらの記事で解説していますので,ご参照ください。

      500万円UPも!保険会社の言いなりはもったいない 交通事故で損をしない厳選知識

       死亡事故の場合に,被害者遺族の方に必要な3つのこと

      お葬式

      交通事故で被害者が死亡してしまった場合でも,それで終わりではありません。加害者の刑事罰や,被害者遺族と保険会社との間での示談交渉等があります。ここでは,交通事故の被害者遺族の方に必要な3つのことについて解説します。

      警察の実況見分や事情聴取への協力

      交通事故の被害者が亡くなってしまった場合には,被害者から事情を聴くことができないため,被害者の遺族の方から事故の状況の確認をしたり,普段の生活状況や被害感情について事情を聴取されることになります。その際に聴取された内容については,証拠として残りますので,自分の感情を素直に伝えましょう。また,虚偽の証言を行った場合には後々不利な証拠となることも有りますので,虚偽の証言は止めておきましょう。

      なお,加害者が刑事裁判にかけられた場合には,被害者遺族が法廷で意見を言う機会を用意してもらうこともできます。意見の内容や発言のタイミングについては,事件担当の検察官と打ち合わせをすることになりますので,担当検察官に確認しましょう。

      法務省:犯罪被害者の方々へ

      必要なこと

      • 警察の実況見分や事情聴取への協力
      • (場合によっては)加害者の刑事裁判に被害者参加

      遺族間で代表者の決定

      交通事故の被害者が亡くなってしまった場合には,損害賠償請求権は相続の対象となり,被害者遺族(相続人)がその請求権を取得することになります。もっとも,被害者遺族は1人ではないことも多く,その場合には被害者遺族の代表者と加害者の任意保険会社が交渉を行うことが多いです。したがって,事前に遺族間で話し合い,誰が代表者となるのか決めておきましょう。

      なお,被害者遺族全員で弁護士に依頼して,弁護士に交渉を一任するという選択肢もあります。

      必要なこと

      • 遺族間での話し合い
      • 遺族代表者の決定

      加害者の任意保険会社との交渉

      加害者が任意保険に加入している場合には,任意保険会社の担当者から連絡が来るかと思います。そこから,示談交渉の話に入ることになります。

      被害者が死亡している場合の損害賠償額として,金額が大きいものとしては,「葬儀代,死亡慰謝料,死亡逸失利益」があります。

      これらについては,金額が大きく,計算方法も複雑なことがあるので,安易に示談せず,弁護士等に相談して金額が適切であるか確認したほうがいいでしょう。

      必要なこと

      • 保険会社との話し合い

       加害者側の保険が使えない場合の対処方法

      警察に連絡

      交通事故の加害者が適切に保険に加入している場合には,保険会社から賠償金が支払われることになります。しかし,加害者の保険が使えない場合等には被害者が自身で賠償金をもらうための手続きをする必要が出てきます。

      加害者の保険が使えない場合とは

      • ひき逃げ等で加害者がわからない場合
      • 加害者が自賠責保険にすら加入していない場合
      • 加害者が任意保険に加入していない場合

      の3つの場合が多いかと思いますので,以下ではこの3パターンについて解説します。

      ひき逃げ等で加害者がわからない場合

      ひき逃げ等で交通事故の加害者がわからない場合には,被害者は加害者の保険で賠償を受けたり,加害者に直接請求することもできません。この場合に被害者が賠償金を受けとる方法として,政府保障事業と自身の人身傷害保険等の使用という2つの方法があります。

      取りうる手段

      • 政府保障事業の使用
      • 自身の人身傷害保険等を使用

       

      政府保障事業の使用

      政府保障事業は,自動車損害賠償保障法に基づき,自賠責保険の対象とならない「ひき逃げ事故」や「無保険事故」にあわれた被害者に対し,最終的な救済措置として,政府(国土交通省)がその損害をてん補する制度です。

      請求については,交通事故の被害者(遺族)が損害保険会社(組合)の全国各支店等の窓口に請求書類を提出することによって行います。

      詳しくは下記のHPの中段の「政府保障事業への請求について」をご参照ください

      国土交通省:政府保障事業について

      自身の人身傷害保険等を使用

      加害者が不明である場合には,上記の政府保障事業の他に,自身の加入している保険の人身傷害保険等を使用することにより,賠償金をもらうことも考えられます。

      自身が人身傷害保険に加入しているか否かであったり,その賠償内容については,自身の保険会社にお問い合わせください。

      加害者が自賠責保険に加入していない場合

      加害者が判明しているものの,自賠責保険に加入していない場合には,加害者の保険から賠償金が支払われることはありません。その際には上記と同様,政府保障事業の使用,自身の人身傷害保険等を使用するほかに,加害者に直接損害賠償請求する方法があります。

      取りうる手段

      • 政府保障事業の使用
      • 自身の人身傷害保険等を使用
      • 加害者に直接損害賠償請求

      加害者に直接損害賠償請求をする

      交通事故の加害者が保険に加入していない場合には,加害者に直接損害賠償請求をすることも考えられます。

      もっとも,自賠責保険にすら加入していない加害者の場合には,損害賠償請求の話をしようにも連絡がつかなかったり,そもそも賠償金を支払うだけの資力がないこともあります。

      したがって,政府保障事業や自身の人身傷害保険等を使用するのが好ましいです。

      仮に加害者と損害賠償について示談が成立する場合には,示談書を公正証書にした方がいいでしょう。

      また,示談の話ができない(決裂した)場合には,訴訟提起するしかなくなりますが,その際には自身で対応することは困難なため,弁護士に相談するのがいいでしょう。

      加害者が任意保険に加入していない場合

      加害者が自賠責保険に加入しているが,任意保険には加入していない場合には,自身の人身傷害保険等を使用,加害者に直接請求する,という以外に自賠責保険に被害者請求する,という方法が考えられます。

      なお,政府保障事業については,加害者の自賠責保険を使用できない場合にのみ使えますので,今回は利用できません。

      取りうる手段

      • 自身の人身傷害保険等を使用
      • 加害者に直接損害賠償請求
      • 自賠責保険に被害者請求

      自賠責保険に被害者請求する

      加害者が任意保険に加入している場合には,基本的には任意保険会社が被害者に賠償金を支払い,任意保険会社が自賠責から自賠責保険分を回収するという対応をしてくれるため,被害者が自賠責保険に直接請求するという場面は少ないかと思います。

      もっとも,加害者が任意保険に加入していない場合には,被害者が直接自賠責保険に賠償金を請求する必要が生じます。

      詳しくはこちらを参照してください。

      国土交通省:自賠責保険について知ろう

      交通事故の相談なら法律事務所MIRAIO

      交通事故の被害者になってしまった場合には,上記のように注意しておきたい点がたくさんあります。被害者が自身で対応する場合には,通院をしながら加害者や自身の保険会社とやりとりをする必要があり,慣れていないために結構なストレスとなってしまうことでしょう。

      また,初期対応を間違えてしまうと,後々取り返しのつかない不利益が生じてしまうこともあります。

      ですので,事故の初期段階から,弁護士に相談したほうがいいといえるでしょう。

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      弁護士費用特約に入っている場合には,保険会社が相談料を支払ってくれるので相談料の負担はありませんし,弁護士費用特約に加入していない方の相談料は無料です。

      まとめ

      いかがだったでしょうか。

      上記のことを実践していただければ,示談の話になった際に後悔することはグッと少なくなると思います。

      記事をまとめますと

      交通事故の被害者になった際にやっておいたほうが良い6つのこと

      • 加害者の情報の確認
      • 警察への通報
      • 事故内容の確認
      • 保険会社への連絡
      • 病院への通院
      • 領収書の保管

       交通事故の被害者になった際の注意点

      • 治療費等を使いすぎない
      • 保険会社の言いなりにならない

       交通事故被害者の遺族になってしまった際に必要なこと

      • 警察の実況見分や事情聴取への協力
      • 遺族代表者の決定
      • 加害者の任意保険会社との交渉

       加害者側の保険を使えない場合の対処法

      • 政府保障事業の使用
      • 自身の加入している人身傷害保険等を使用
      • 加害者に直接請求
      • 自賠責保険に被害者請求

      という点に注意していただければと思います。

      もっとも,事前にこの記事を読んでいたとしても,実際に交通事故の被害に遭ってしまった場合には,パニックになってしまい,上記のことを忘れてしまうと思います。

      なので,交通事故の被害に遭ってしまった際に,「こういう記事があったな」と思い出していただき,手続きに沿って適宜参照していただければ幸いです。