婚姻費用とは何のためのお金?算出方法から請求方法まで徹底解説!

婚姻関係にある夫婦は、同等の水準で生活が送れるように生活費を分担する義務があり、この分担するべき生活費のことを「婚姻費用」と言います

しかし、別居によって配偶者が婚姻費用の分担を行わなくなり、お困りだという方が多くいらっしゃいます。
婚姻費用の分担は夫婦の義務であり、相手が婚姻費用の支払いを拒んだり、適切な金額を支払わない場合、裁判所を介した手続きなどを行い、相手に請求することができます。

この記事では、婚姻費用とはどんなものか、相場や金額の取り決め方、支払われない場合の対処法などについて、分かりやすく解説していきます。

この記事を最後まで読めば、婚姻費用を分担してもらえずお困りの方も、解決方法がスッキリと分かるでしょう。

目次

婚姻費用とは「夫婦が同等の水準で生活するため」の生活費の分担金

生活費民法上、婚姻関係にある夫婦は、同等の生活水準で生活が送れるように、それぞれの収入・財産に応じて同居生活に係る生活費(婚姻費用)を分担して支払う義務があります。

婚姻費用とは「夫婦が同等の水準で生活するため」の生活費の分担金

別居中の夫婦は、年収の多い方が少ない方に婚姻費用を支払わなければならない

同居中の夫婦であれば、共同生活を送る事で自然と同等の生活水準となりますが、別居中の夫婦の場合、それぞれの収入で別々の生活を行うため、同等の生活水準となりません。そのため、夫婦に収入差がある場合、年収の高い方が年収の低い方へ婚姻費用を支払う必要があります。

年収の求め方 ①給与所得者の場合

源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)が年収に当たります。なお、給与明細書による場合には、それが特定の月の月額にすぎず、歩合給が多い場合などにはその変動が大きく、賞与・一時金が含まれていないことに留意する必要があります。
他に確定申告していない収入がある場合には、その収入額を支払金額に加算して給与所得として計算してください。

年収の求め方 ②自営業者の場合

確定申告書の「課税される所得金額」が年収に当たります。なお「課税される所得金額」は、税法上、種々の観点から控除がされた結果であり、実際に支出されていない費用(例えば、基礎控除、青色申告控除、支払がされていない専従者給与など)を「課税される所得
金額」に加算して年収を定めることになります。

不動産収入や株式配当などの「特有財産から生じた経済的収益」も年収に含まれるか?

夫婦どちらかが、相続などで不動産を得た場合、その不動産は夫婦が共同で得た財産ではなく、相続した者の「特有財産」となり、夫婦の財産ではないと考えます。
原則として、「特有財産」は所有する本人の財産であり、財産分与などの対象にはなりません。
しかし、特有財産から生み出される賃料収入や株式配当金などの「元物から生じた経済的収益」(果実と言います)については、婚姻費用算出の基礎とする年収に算入された裁判例もいくつか存在します。
ただし、過去の裁判例からは、算入されないケースと、算入されるケースの明確な判断基準については確認できず、事案ごとに具体的な検討が必要となります。

婚姻費用を請求できる人、請求できない人

一般的に、婚姻費用は所得の少ない方が、所得の多い方に請求することができます。
しかし、所得が相手よりも少なければ必ず請求できるわけではありません。

婚姻費用を請求できる人、請求できない人

「別居原因」を作った側から請求することはできない

原則として、不貞行為や暴力など、婚姻関係を壊しておきながら、婚姻費用を相手に請求することはできません。

婚姻費用には、家賃や食費以外のものも含まれる 

婚姻費用には、家賃や食費以外にも次のようなものが含まれます。
なお、これらの費用がどの程度の金額になるかは、各家庭の状況や資産・収入状況によって異なります。

【生活費】食費、光熱費、被服費など
【住宅の維持費】家賃、固定資産税など
【子どもの養育費】学費、習い事の月謝など
【医療費】通院費、治療費など
【その他】常識的に必要と考えられる範囲の交際費や娯楽費など

婚姻費用の相場

婚姻費用をどちらがいくら支払うかは、それぞれの収入、子供の数、ローンの状況などから、裁判所の基準に従って計算されます。
ただし、必ず計算式によって算出された分担額に従わなければならないというわけではありません。夫婦間の話し合いによって、それぞれが納得できる金額が合致した場合、その金額が婚姻費用の分担額となります。

婚姻費用は「請求した時」から「離婚もしくは同居する」まで支払われる

原則、婚姻費用は「請求した時」から「離婚もしくは同居する」まで支払い義務があります。

婚姻費用は「請求した時」から「離婚もしくは同居する」まで支払われる

婚姻費用は「請求した時」から相手方に支払い義務が発生する

婚姻費用の支払義務は相手方に「請求した時」から生じます。
そのため請求しなければ、相手方に支払い義務は生じません。
また、「請求した時」以前の婚姻費用を遡って請求することはできません。

婚姻費用は「請求した時」から「離婚もしくは同居する」まで支払われる

婚姻費用の支払い義務は、離婚もしくは同居するまで続く

婚姻費用は、いずれは離婚する予定で別居をしている場合であっても、婚姻関係が続く限り支払い義務が生じます。
離婚届を提出するなど、正式に離婚が成立するまでは、夫婦は婚姻費用を分担し続けなければなりません。
また、夫婦関係が修復され、夫婦が同一水準の同居生活を開始した場合は、婚姻費用の支払い義務はなくなります。
ただし、同居はしていても別々の家計で生活を送り、生活水準が同等でない場合、婚姻費用の支払い義務は続きます。

婚姻費用を相手方に請求する方法

話し合い相手に婚姻費用の支払いを求める場合、「婚姻費用を請求している」ことを意思表示する必要があります。

婚姻費用を相手方に請求する方法

まずは、話し合いを行う

相手に婚姻費用を請求する場合、まずは夫婦間で話し合いを行います。話し合いで合意できた場合は、「公正証書」の形で合意書を作成しておくことが望ましいでしょう。強制執行認諾文言のついた公正証書であれば、婚姻費用の不払いがあった際も、裁判無しで強制執行を行うことができるため、より有効的です。

婚姻費用分担契約公正証書について詳しく知りたい方は、次の記事もお読みください。
婚姻費用の取り決めは公正証書で!作成するメリット・手続きを解説

婚姻費用を相手方に請求する方法

話し合いが難しい場合、内容証明郵便を送る

別居しているなどで話し合いが難しい場合、「内容証明郵便」を用いて、相手に婚姻費用を請求している旨を伝えることが一般的です。内容証明郵便とは、いつ誰が誰にどのような内容の文章を差し出したのか証明される郵便制度です。内容証明郵便を送る事で、「婚姻費用を支払ってほしい」「婚姻費用について話し合いがしたい」と意思表示をした証拠が郵便局に残り、相手が文書への対応をしなければ、相手が誠実な対応を取らなかった証拠が残ります。

婚姻費用を相手方に請求する方法

夫婦の話し合いがまとまらない場合、婚姻費用分担請求調停を申立てる

夫婦間の話し合いで婚姻費用が決められなかった場合、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てます。
婚姻費用分担請求調停では、夫婦の間に調停委員が入り、調停委員が双方の言い分を聞いて話し合いを進めていきます。
調停が成立した場合、合意内容を記した調停調書が双方に郵送され、支払う側は調停調書に従って婚姻費用の支払いを行います。
調停が不成立の場合、審判に移行します。

婚姻費用分担請求調停では、相手と直接顔を合わせずに話し合いを行うことができる。

婚姻費用分担請求調停では、夫婦それぞれに「調停委員」が付き、本人の代わりに相手に主張を伝えてくれます。そのため、相手と顔を合わせるのが苦痛で話し合いができない場合にも、安心して話し合いを行うことができます。

婚姻費用分担請求調停で決定した分担額を支払わない場合、強制執行ができる

婚姻費用分担請求調停によって、婚姻費用の分担額が決定されたにもかかわらず、相手が約束通りの婚姻費用を支払わなかった場合、給料や口座を差し押さえる「強制執行」を行うことができます。

婚姻費用を相手方に請求する方法

最終的には審判によって裁判官に結論を出してもらう

婚姻費用分担請求調停でも話し合いがまとまらなかった場合、調停は不成立として終了しますが、審判手続で必要な審理が行われ、審判によって結論が示されます。
審判は調停のように双方の話し合いによる解決方法ではなく、調停で提出された収入資料や双方の言い分などによって公平な分担額を裁判官が判断し、分担金額を決定します。

調停を行わず、審判手続きからスタートできるケースもある

一般的な流れとしては、調停が不成立となった場合に、審判手続きに移行し、審判手続きを行いますが、調停を行わず、いきなり審判手続きからスタートできるケースもあります。
例えば、婚姻費用の分担を受けなければ、生活がままならないほどに困窮しているのに、相手が悪意をもって調停を長引かせようとしてくることが明らかな場合など、調停不成立の判断を待つのが困難な場合、審判申立てと「審判前の保全処分の申立て」を同時に行うことで、調停手続きを経ず、審判手続きを始めることができるケースが有ります。

婚姻費用の審判手続きについて詳しく知りたい方は、次の記事もお読みください。
不成立なら審判手続きで決着!婚姻費用分担請求調停と審判について解説!

取り決めた婚姻費用を払ってくれない場合の対処法

裁判所調停や審判で婚姻費用の取り決めを行ったにもかかわらず、相手方が婚姻費用の支払いを行わない場合、「強制執行」など裁判所を介した手続きを行うことで、支払われるべき婚姻費用を回収することができます。

取り決めた婚姻費用を払ってくれない場合の対処法

【効果:弱】履行勧告

履行勧告とは、家庭裁判所から相手に、「取り決めた通りに支払いを実行するよう」注意をしてもらう制度です。
裁判所からの注意を受けることで、義務違反を自覚し、支払いへの意識改善が行われることを目的とします。
罰則や法的な拘束力はないため、履行勧告を受けても、支払いを行わないケースも珍しくありません。

取り決めた婚姻費用を払ってくれない場合の対処法

【効果:中】履行命令

履行命令とは、家庭裁判所から相手に「取り決めた通りに支払いを実行しなさい。実行しなければ、過料に処す可能性があります。」と実行を命令してもらう制度です。
履行命令に従わなかった場合、相手は10万円以下の過料に処される可能性が有ります。
ただし、実際に過料に処されるケースは少なく、履行命令を受けても支払いを実行しないケースもあります。

取り決めた婚姻費用を払ってくれない場合の対処法

【効果:強】強制執行①「直接強制」(差し押さえ)

直接強制とは、いわゆる「差し押さえ」のことです。相手の給与や貯金などの財産を差し押さえて、強制的に債権の回収を行う執行方法です。婚姻費用の分担について強制執行を行う場合、基本的には直接強制による強制執行が決定されます。

取り決めた婚姻費用を払ってくれない場合の対処法

【特殊】強制執行②「間接強制」

間接強制と、は期日までに婚姻費用を支払わなかった場合、婚姻費用とは別に「間接強制金」を課し、債務を増やすことで、自発的な支払を促す執行方法です。間接強制で支払われた「間接強制金」は申立人が受け取ります。
原則として、金銭債務については、間接強制の手続きをとることはできませんが、婚姻費用の分担金など、扶養に関する権利については、間接強制による強制執行を行うことができる場合があります。ただし、相手に支払い能力がなく婚姻費用を支払うことができない場合などでは、間接強制の決定がされないこともあります。

婚姻費用の強制執行について詳しく知りたい方は、次の記事もお読みください。
支払われるべき婚姻費用は強制執行で回収!必要書類と手続きを解説

婚姻費用の分担請求で困ったら弁護士に相談しよう

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離婚トラブルの解決を弁護士に依頼するメリット

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適切な慰謝料・養育費の算出、専門的書類の作成をしてもらえる

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調停や裁判等、離婚を実現するまでには多くの複雑な手続きが必要になる場合があります。
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この様な時、弁護士に相談すれば、有利に離婚をするにはどのようにしたら良いのか、状況に応じた適切なアドバイスがもらえます。
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