誤解が多い!?自己破産をすると差し押さえられる財産/残せる財産とは

差押え

「自己破産をすると、財産が全て差し押さえられてしまって、何もかも没収されてしまうのではないか?」

このように不安に思う気持ちから、

「借金の返済はきついけど、何もかもなくなったら不便だから破産だけはしたくない!!」
「全部没収されてしまったら家族にも迷惑をかけてしまうから、破産はできない」

こういったお考えをお持ちになるかたは少なくないのではないでしょうか。
確かに、自己破産の手続きというのは、破産する方がお金に換えられる財産をお持ちであればこれをかき集めて(=没収されて)債権者への配当の財源とするのが原則です。

しかし、何もかも財産が没収されてしまってはその後の生活が酷なことになりかねません。そこで、自己破産をしたとしても、生活に必要な一定限度の財産については残すことが認められているのです。
そこでここでは、

自己破産をしても残せる財産
自己破産をすると没収される財産

を解説します。
これをご覧いただくことで、破産手続きに対する漠然とした不安(何もかも財産がなくなってしまうのではないか)が解消されて、自己破産手続きを選択すべきかどうかでお悩みの方の一助になれば幸いです。

※この記事は、個人(自然人)の方が自己破産される場合を解説しています。会社等の法人が自己破産する場合は、当てはまらない制度がありますのでご注意ください。

自己破産したからといって、財産を差し押さえされるわけではない

強制執行

「差押え」と聞くと、突然役人がやって来て、札を貼られたり錠を掛けられて使用できなくしたり…このような想像をする方もいらっしゃるのではないでしょうか。

自己破産をしたからといっても、このような差押えが行われることは原則としてありません。後述するように、自己破産をすると一定基準以上の財産は手放さなければならない(没収の対象となる)のですが、この「没収の対象となること」=「差押え」と誤解されていることがあります。

自己破産の手続きをすると、それがすなわち財産を差し押さえられるわけではありません。

自己破産をしても差押え(没収)されない財産

財産

では、自己破産の手続きをすると、どのような財産が没収の対象となり、逆にどういった財産であれば残すことができるのかということをここで解説します。

なお、残すことができる財産の基準については、各地方裁判所によって基準の運用(残すことができる財産の範囲)が異なります。ここでは東京地方裁判所の運用に準拠して解説をします。

自己破産をしても没収の対象外となる財産

個人が自己破産をしても、以下の財産については生活するうえで必須なものとして没収の対象外なっています。

 

① 99万円以下の現金
② 20万円以下の預貯金
③ 解約返戻金見込額が20万円以下の生命保険
④ 評価額が20万円以下の自動車
⑤ 居住用家屋の敷金債権
⑥ 支給見込額の8分の1が20万円以下の退職金債権
⑦ 支給見込額の8分の1が20万円を超える場合の退職金債権の8分の7
⑧ 家財道具
⑨ 差押えが禁止されている動産または債権

99万円以下の現金

いわゆる「タンス預金」を含む手持ちの現金。
解釈の違いの余地はあるものの、「電子マネー」についても、現金に準じる形で扱われることが多いです。

20万円以下の預貯金

普通預金、定期預金等の全ての預金口座が対象で、複数口座がある場合は全ての預貯金残高の合算額が問われます。それぞれの預貯金残高が20万円以下であっても、総額が20万円を超える場合は、全ての預貯金が没収の対象となります。

解約返戻金見込額が20万円以下の生命保険

仮に現時点で解約をしたらいくらが返戻されるのかという「解約返戻金見込額」で判断されます。預貯金と同様に、複数の保険介入がある場合には、合算金額が問われます。
特別な事情(既往歴などから保険を解約すると再度の加入が困難になる等)がある場合は、解約返戻金相当額を現金で用立てるなどして保険の解約を回避できることがあります

評価額が20万円以下の自動車
処分見込価格が20万円以下の自動車、バイクは没収の対象外となります。
居住用家屋の敷金債権
賃借物件で差し入れている敷金のこと。敷金は、それが20万円を超える金額であっても没収の対象とはなりません。
支給見込額の8分の1が20万円以下の退職金債権

仮に現時点で退職した場合にいくらの退職金が支給されるのかを試算して、その金額の8分の1が20万円を超える場合が没収の対象となります。
とはいえ、その場合でも退職しなければならない訳ではなく、8分の1相当額を現金で用立てることになります。

<例> 退職金見込額が200万円の場合
200万円×1/8=25万円のため、25万円を裁判所へ納める(破産管財人へ引き継ぐ)ことになります。

支給見込額の8分の1が20万円を超える場合の退職金債権の8分の7
前述の「退職金見込額が200万円の場合」を例にすると、その8分の7である175万円については没収の対象外となります。
家財道具

生活するうえで必需品である以下のものは、原則として没収の対象外となりますので、自己破産をしても手元に残すことができます。

<対象外となるもの>
家具(タンス、ベッドなど)、衣服、寝具、家電製品(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)、パソコン(1台まで)、ゲーム機

ただし、これら原則は没収の対象外のものであっても、個々の評価額が20万円を超える場合には没収の対象となることがありますので注意が必要です。
なお、これら家財道具等を代金分割払いで購入してその代金の支払いが完了していない場合は、破産手続きにおける没収の対象とはなりませんが、当該分割払いの債権者による引揚げの対象となることはありますので注意が必要です。

差押えが禁止されている動産または債権

上記の「家財道具」のほか、職業に必要な器具等(農業の器具、漁業の漁具等)は差押えが禁止される動産として没収の対象外となります。
また、生活保護を受ける権利や公的年金(※)を受給する権利など、個別の法律で差押えが禁止されているため没収の対象外となる債権もあります。

※…老齢年金は、国税滞納処分などにより差押えが可能な場合もあります。

自己破産をすると没収の対象となる財産

上記以外で、生活するうえで必須とはいえないものは、原則として没収の対象となります。
ここでは、前述のように一定基準を超えるか否かによって結論が変わるものではなく、価額にかかわらず没収の対象となる財産のうち、自己破産の手続きでよく問題となる(没収となる)財産をいくつか紹介します。

有価証券

株式、手形、小切手等の「有価証券」と呼ばれるものは、その価額にかかわらず没収の対象となります。国債や投資信託なども同様にここに含まれ、没収の対象となります。
また、ゴルフ会員権なども、厳密には有価証券とは異なるものの、有価証券に準じた扱いとして没収の対象となります。

出資金

信用金庫、信用組合等への出資金も、その価額にかかわらず没収の対象となります。
もっとも、出資金の払戻しの時期的制約などで手続きに相当な時間がかかることが少なくないため、実務的には出資証券相当額を破産者が現金で用意して裁判所へ納める(破産管財人へ引継ぐ)という処理がなされることが多いです。

貴金属、美術品など

貴金属、美術品や骨董品などは、必ずしもその評価額が明確ではないものの、生活するうえで必須ではないものと判断されて没収の対象となることが多いです。
もっとも、複数にて査定を取得して、その評価額が低額であることがある程度明らかになる場合は没収の対象外となる可能性もあります。

貸付金、売掛金

人にお金を貸したけれども返済がなされていない場合の貸金返還請求権や、商売での売掛金といった、お金を支払ってくれという「債権」も、その価額にかかわらず没収の対象となります。
そして、破産管財人が、本来の請求者(破産者)に代わって相手方への請求・回収を行います。

裁判手続きに入る前に、弁護士としっかりと打合せをすることが大事!

ここまで、自己破産手続きをすることで、没収の対象となる財産/対象外となる財産についての解説をしてきました。ただし、これらはあくまで基準であって、絶対ではありません。個別の事情(年齢、お住まいの地域、家族構成、ご病気の有無など)によって、没収の範囲が変動する(残せる財産の範囲が広がる)という可能性もあります

ですから、どのような財産を持っているのか、どのような生活状況にあるのか等々を、裁判手続きに入る前にしっかりと弁護士と打合せをしましょう。弁護士としても、これらの状況を正確に把握することで、最善の方法を検討することができるのです。手続きに精通した弁護士であれば、少しでもあなたにとって有利な結果となるよう尽力してくれることでしょう。

自己破産をしても財産を手元に残せた事例

ほっとする人

自己破産をしても、生活するうえで必須なため没収の対象外とすることができる財産を「自由財産」といい、これには前述の通りある程度の基準があります。もっとも、基準を超えるものであったとしても、裁判所の判断で自由財産として扱ってよいもの決定される場合があり、これを「自由財産の拡張」といいます。

ここでは、自由財産の拡張が認められたケースをご紹介しますが、自由財産の拡張が認められるかは個々の事情に基づいて裁判所が判断をしますので、あくまで参考ということでご理解下さい。

Aさんの場合

99万円を超える現金の保持が認められたケース

Aさん(無職/独身)は、弁護士への破産依頼の直前に、保険を解約して99万円を超える現金を所持していました。

この方は、弁護士へ相談する数か月前に脳梗塞を発症し、術後経過は順調だったものの、手に麻痺があったためリハビリが必要なうえ、月に1度の通院をしていました。脳梗塞発症後に失職をし、再就職の目途がたっていなかったため当面の生活費が必要であろうという総合的な判断のうえ、99万円を超える現金の所持が認められました。

Bさんの場合

解約返戻金見込額が20万円を超える保険の加入継続が認められたケース

Bさん(パート勤務/独身)は、がん保険に加入しており、その解約返戻金見込額は約25万円でした。

Bさんが破産申立てをするのとほぼ同じタイミングでBさんに癌がみつかり、当面の間は治療のため休業せざるを得ない状況となりました。保険給付による生活のサポートが必要であること、当面の間の生活費の捻出が困難であることから、保険の加入継続と、解約返戻金相当額を用立てることは不要という判断がなされました。

Cさんの場合

契約者ではなく保険料の出捐者の財産と認められたケース

Cさん(会社員/独身)にはめぼしい資産はなく、唯一の資産として、Cさんを契約者とし、保険料はCさんの両親が支払ってくれている保険(解約返戻金見込額は50万円)がありました。

自己破産の手続きにおいて、保険という財産が「誰のものなのか」という点については、原則として「契約者は誰なのか」という点で判断されます。このため、原則通りであれば、この保険はCさんの財産として没収の対象となるところでした。

しかし、この保険は、保険料を両親が支払っており、その支払方法も保険の契約当初から両親(母)の預金口座からの振替えであったことが明らかにされたため、実質的には両親(母)の財産であるとみなされ、Cさんの破産手続きでは没収の対象外とされました。

Dさんの場合

請負報酬が給与と同視されたケース

Dさん(自営業/既婚)は、X社からの業務委託で配送業を営む個人事業主でした。

自己破産の手続きにおいては、業務委託に基づく請負報酬請求権というのは、会社勤めの方の給与債権と異なり、没収の対象外とはされていません。このため、原則通りであれば、この報酬を受け取る権利はDさんの財産として没収の対象となるところでした。

しかし、Dさんが営む事業はX社のみからの請負いであり、その業務の態様(X社の管理監督下にあること)などから判断しても、実体的にはX社に雇用されているのと変わらないということから、報酬債権が給与債権と同視され、結果として没収の対象外とされました。

法律事務所MIRAIOでの債務整理をおススメする3つの理由

弁護士

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おススメする理由②

相談実績の中で培われた豊富なノウハウがある

破産や個人再生の手続きは、地方裁判所ごとにその独自の運用があることが多く、その運用に応じた提出書類や財産基準、免責許可の判断基準の捉え方が必要になってきます。これは、いかに法律を詳しく知っていようがなんとかなるものではなく、実際に裁判所とのやりとりなどを経た経験がものをいいます。

 

この点、法律事務所MIRAIOでは、債務整理の相談実績27万件超の中で培ってきた数々の経験から、各裁判所から求められる提出書類、裁判所が捉える財産基準等といった傾向を蓄積・分析したノウハウがあります。この経験があるからこそ、ご依頼者様に想定外のご負担をおかけする可能性を極めて低くすることができます

おススメする理由③

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法律事務所MIRAIOでは、借金に関するご相談については何回でも相談料は無料ですので、ご納得いただくまで弁護士とお話しいただき、そのうえで正式にご依頼いただくことが可能です。

また、費用のお支払いについては、ご依頼者様の生活状況に合わせた分割払いを承ります。「今はまとまったお金を準備するのが難しい…」と不安な方も、安心してご依頼いただくことが可能です。

 

POINT

財産が手元に残せるかは、個別の事情で異なることもある

いかがでしたでしょうか。

自己破産を選択した場合に、どのような財産が没収されてしまうのか、反対に、どういった財産であれば残すことができるのかをご理解いただけたのではないでしょうか。

もっとも、ここでご紹介したのはいくつかの基準をご紹介したに過ぎません。その基準は、裁判所ごとの運用や、個別の事情によって異なる場合もあります。

MIRAIOでは、自己破産手続きの経験が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、まずはぜひご相談下さい!