離婚相談は誰にすべき?窓口ごとのメリット・デメリットとは?

迷っている女性
頭を抱えている女性

離婚を考えているけど、誰に相談したらいいかわからない・・・

このようなお悩みをよく聞きます。
離婚相談には、さまざまな窓口がありますが、どれだけ真剣に離婚を考えているか、まだ迷いがあるかどうかによって、相談窓口の向き不向きがあります。
ここでは、相談窓口ごとの特徴とメリット、デメリットを簡単に紹介していきます。

身内、友人に相談する

両親や兄弟姉妹などの身内に相談するのが、一番簡単で気軽な方法です。何よりも、あなたの立場に立って、親身に話を聞いてくれるでしょう。

ただ、その分、感情的になってしまいがちですので、冷静なアドバイスがもらえない可能性もあります。
特に相手方に不貞行為(不倫)やDVがある場合には、一方的に相手を責めて、強く離婚を勧めてくるかもしれません。それはそれで心強いのですが、いざ離婚となると、一生を左右する重大な決断になりますので、客観的かつ冷静な視点が必要です。

その点、友人であれば、ある程度は客観的で冷静なアドバイスがもらえるかもしれません。親身に話も聞いてくれるでしょう。
ただし、友人関係が壊れることを気にして、本音で答えてくれなかったり、あなたの意見に合わせたり、軽いノリで離婚を勧められたりするかもしれません。

いずれにしても、身内や友人は法律のプロではありませんし、カウンセリングのプロでもありません。身内や友人のアドバイスを鵜呑みにすると、大きな間違いを犯す可能性もありますので、慎重に判断しましょう。

身内、友人に相談するメリット
  • 気軽に相談できる
  • 親身に話を聞いてくれる
身内、友人に相談するデメリット
  • 身内の場合、感情的になりやすく、客観的なアドバイスがもらえない
  • 友人の場合、真剣に本音で話してくれない場合がある
  • 法律的な判断はできない

離婚カウンセラーに相談する

離婚カウンセラーとは、離婚に関する相談を受けアドバイスをしてくれる人のことです。NPO法人日本家族問題相談連盟による資格認定制度もあります。

離婚カウンセラーは、離婚相談を専門に扱うプロフェッショナルです。
夫婦の立場に立って、親身に話を聞いてもらい、さまざまなアドバイスをしてくれます。
離婚だけでなく、夫婦関係修復に向けたアドバイスもしてくれますので、まだ離婚すべきかどうか迷っている場合は、離婚カウンセラーに相談してみるのが良いでしょう。

ただし、弁護士ではないので、法律的な判断や手続きを依頼することはできません。その代わり、協力関係にある弁護士などの専門家を紹介してくれることはあります。

相談料は、無料のところもあれば、有料のところもあります。

離婚カウンセラーに相談するメリット
  • 客観的なアドバイスをしてくれる
  • 親身に話を聞いてくれる
離婚カウンセラーに相談するデメリット
  • 法律的な判断やアドバイスはできない
  • 法律手続きを依頼することはできない
  • いくらか相談料がかかる場合がある

役所に相談する

自治体が実施している法律相談、市民・区民相談などです。自治体にもよりますが、相談料は無料で予約制になっています。

役所が窓口になっているため、それほど大きな間違いはないだろうという安心感はあるのかもしれません。
ただし、相談相手は自治体から委託された弁護士ですので、自分で選ぶことはできません。
また、時間制限や回数制限があるなど、なにかと制約があり、同じ弁護士に継続的に相談することはできません。

相談時間の制限もあるので、相談して、その場ですぐに手続きを依頼することは難しいです。

役所に相談するメリット
  • 安心感
  • 無料
役所に相談するデメリット
  • 相談相手を自分で選ぶことはできない
  • 時間制限、回数制限がある
  • すぐに依頼することは難しい

法テラスに相談する

法テラス(日本司法支援センター)とは、国が設立した公的な法人です。法制度の案内や相談機関の紹介、無料相談の実施、弁護士費用・司法書士費用の立替などの事業を行っています。

国が設立したということで、それほど大きな間違いはないだろうという安心感はあるのかもしれません。
ただし、相談相手を自分で選ぶことはできません。
また、時間制限や回数制限があるなど、なにかと制約があり、同じ弁護士に継続的に相談することはできません。
相談時間の制限もあるので、相談して、その場ですぐに手続きを依頼することは難しいです。

さらに、法テラスで無料相談を受けるには、収入が一定未満であることが必要です。

法テラスに相談するメリット
  • 安心感
  • 収入が一定未満であれば、無料相談が受けられ、弁護士費用などの立替制度も利用できる
法テラスに相談するデメリット
  • 相談相手を自分で選ぶことはできない
  • 時間制限、回数制限がある
  • すぐに依頼することは難しい
  • 無料相談を受けるには収入が一定未満であることが必要

家庭裁判所に相談する

離婚手続きについて知りたい場合は、家庭裁判所の「家事手続案内」という窓口を利用することができます。
ここでは、家庭裁判所の手続きの概要や申立書の記載方法などの説明を受けることができます。離婚ができるかどうか、慰謝料がいくらとれるか、などの法律的な判断やアドバイスはしてくれません。

利用料は無料で、特に予約も不要です(東京家庭裁判所の場合)。

この窓口は、「離婚したい」「養育費を請求したい」「慰謝料を請求したい」など、自分の希望が明確に決まっていて、自分で手続きしようと考えている場合に利用しましょう。

家庭裁判所に相談するメリット
  • 具体的な手続きの方法を教えてくれる
  • 無料
家庭裁判所に相談するデメリット
  • 法律的な判断やアドバイスはしてくれない

弁護士・法律事務所に相談する

自分で探した弁護士(法律事務所)に相談する方法です。
相談料が無料か有料か、時間制限や回数制限はあるかなどについては、事務所によって異なります。
また、継続的に同じ弁護士に相談でき、場合によっては、相談してすぐに依頼することも可能です。弁護士に依頼すれば、相手との交渉や、裁判所での調停・裁判手続きの代理もしてくれます。

離婚する決意ができていて、自分の希望や問題点が明確になっていれば、その解決策をアドバイスしてくれるでしょう。具体的な希望や問題点というのは、次のような例です。

  • 「自分は離婚したいのに、相手が離婚に応じてくれない・・・」
  • 「夫の浮気が発覚!夫や不倫相手から慰謝料を取って離婚したい」
  • 「夫が約束した養育費を払ってくれない。妥当な養育費を請求したい」
  • 「子供は私が育てていきたいのに、相手も親権を要求している」
  • 「暴力から逃れるために別居したいけど、別居後の生活費が不安・・・」
弁護士・法律事務所に相談するメリット
  • 継続的に同じ弁護士に相談できる
  • 法律的な判断やアドバイスをしてくれる
  • 法律的な手続きを依頼することができる
弁護士・法律事務所に相談するデメリット
  • 相談料がかかる場合がある

DV(暴力)やモラハラを受けている場合

配偶者からDV(暴力)やモラハラを受けていると、精神的に追い詰められ、離婚について落ち着いて考えることができなくなりがちです。
そのようなときは、次のようなDV専門の相談窓口に問い合わせてみましょう。

また、「今まさに暴力を受けている」「相手が包丁を振り回して暴れている」「物を投げつけられた」「『殺してやる』などと暴言を吐いて脅してくる」など、生命や身体の危険を感じたときは、警察に通報して保護してもらうこともひとつの手段です。

離婚相談をする前に準備すべきこと

ノートにまとめる女性離婚相談をスムーズに進めるためには、次のことを準備しておくようにしましょう。

離婚相談前の準備1

これまでの出来事を時系列でまとめる

離婚相談の際には、次のような出来事について聴き取りされますので、時系列でまとめておきましょう。

  • 結婚した時期
  • 同居を始めた時期
  • 子どもの誕生
  • 別居を始めた時期(すでに別居している場合)
  • 離婚を考えるきっかけになった事件

離婚相談前の準備2

なぜ離婚したいのかを明らかにする

自分はなぜ離婚したいと思っているのか、相手はなぜ離婚したいと言っているのか、離婚のきっかけとなった事実は何なのかを整理して明らかにしておきましょう。

なお、裁判で離婚原因として認められるのは、次のような事実です。このような事実があるのか振り返って整理しましょう。

  • 不貞行為(浮気・不倫)
  • 悪意の遺棄(同居、協力、扶助義務違反)
  • 生死が3年以上明らかでない
  • 強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由がある

離婚相談前の準備3

不倫やDVなどの証拠を集める

不倫、DV(暴力)、モラハラなど、離婚原因として認められそうな事実があれば、その証拠を揃えておきましょう。
例えば、次のようなものが証拠になります。

  • 写真や動画(不倫相手とホテルに入る現場、暴力・暴言を受けている現場など)
  • 音声(不倫を認めた音声、暴力・暴言を吐いている音声など)
  • レシート・領収証(ホテルの領収証など)
  • メールなどの送受信記録
  • 医師の診断書(配偶者からの暴力によって怪我をしたという証拠)
  • 日記など

離婚相談前の準備4

夫婦の収入、財産状況がわかる資料を集める

夫婦の収入や財産状況は、離婚後の養育費や財産分与の金額を決めるための資料となります。財産状況については、次のような資料も準備しておきましょう。
資料自体が集められない場合は、項目ごとにわかる範囲で金額をメモしておきましょう。

  • 預貯金通帳、取引履歴
  • 保険証券、解約返戻金がわかる資料
  • 不動産の登記簿謄本(全部事項証明)、固定資産評価証明書、査定書
  • 車検証、査定書
  • 給与明細書
  • 退職金の金額がわかる資料

離婚相談前の準備5

今後どうしたいのか、相手に何を求めたいのかを整理する

そもそも本当に離婚したいのか、もう一度考えてみてください。一時的な感情に流されていないでしょうか。子どものこと、親のこと、仕事のこと、家のこと、生活のことなどをよく考えてみましょう。

その結果、やはり離婚という結論を出すのであれば、離婚に際して希望することを洗い出してみましょう。例えば、次のようなことです。

  • 子どもの親権は求めるか
  • 養育費はいくら求めるか
  • 財産分与として何をいくら求めるか
  • 慰謝料は求めるか
  • 年金分割を求めるか
まとめ

離婚相談は誰にすべきか?

以上のように、離婚相談をは誰にするかについては、自分がどこまで真剣に離婚を考えているかによります。

まだ離婚すべきかどうか迷っている場合には、身内離婚カウンセラーに相談するのがよいでしょう。
すでに離婚の決心が固く、具体的な手続きや条件について確認したい場合は、弁護士に相談しましょう。