借金とは違う!?破産しても養育費の支払義務や権利はなくならない

養育費

「これまで養育費を支払ってくれていた元夫(妻)が破産することになった。もう養育費をもらえなくなるの?」
「借金の返済がきつくて破産することになった。養育費については、これまで通り元夫(妻)から受け取れるの?」

このように、養育費はお子さんを養うにあたってなくてはならないものですし、破産をすると(されると)、これに伴って養育費の支払いがなくなってしまうかなど、どうなるのか気になりますよね。
ここでは、養育費を「支払う側」「受け取る側」それぞれが破産をすることになった場合に、

  • 養育費の支払義務はどうなるのか
  • 養育費を受け取る権利はどうなるのか
  • 破産手続中において、養育費に関連してどのような点に注意すればよいか

といったことを解説します。
これをお読みいただくことで、破産手続きにおいて養育費がどのように扱われているかをご理解いただくことができ、そういったお悩みを抱えていらっしゃるかたの一助になれば幸甚です。

目次

そもそも「自己破産」とはどういった手続きなのか

裁判所

自己破産手続きにおいて養育費がどのように扱われるのかを解説する前に、まずは、そもそも自己破産というのがどういった手続きなのかをざっくりと説明します。

自己破産手続きとは、財産を「清算」する手続き

自己破産の手続きにおいては、裁判所の監督の下、破産する人の財産をかき集めてお金に換えて、債権者の債権額に応じて分配するといった財産の「清算」を行います。

もっとも、個人の場合は、会社の破産と違って手続後も生活をしていかなければならいので、全ての財産が没収されるわけではなく、生活に必要な一定限度の財産だけは残すことができます

最終的なゴールは、借金を免除(免責)してもらうこと

個人の自己破産の場合は、上記の「清算」をしてもまだ残った支払義務を免除(免責)してもらうことでようやく借金から解放されることになります。

とはいえ、借金を形成した原因に問題がある場合には免除してもらえなかったり(※1)、債権の性質上免除とならないもの(※2)もあったりします。本件のテーマである「養育費」については後者に該当するのですが、それをこれから解説していきます。

※1…ギャンブル等の浪費で借金を重ねてしまった場合など。免責が許可されないケースについては、破産法第252条1項に規定されている。
※2…税金など免責の効果が及ばないものがある。効果が及ばないものについては、破産法第253条1項に規定されている。

【支払う側】破産をしても、養育費の支払義務はなくならない

男性が妻子に謝る

ここでは、養育費を「支払う」立場にあるかたが自己破産をした場合に、養育費の支払いがどうなるのかを、支払いが滞っている場合、今後発生する支払分などケースに分けて解説をします。

養育費の支払義務は、自己破産の手続きにおいて免責の対象外

自己破産の手続きをして裁判所の免責許可が出たとしても、破産法に以下のような定めがあるように、養育費の支払義務はなくなりません。お子さんを養ううえで、養育費はなくてはならないものですからね。

<破産法第253条>

免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続きによる配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りではない

   (中略)

四 次に掲げる義務に係る請求権

 イ 

 ロ 

 ハ 民法第766条(同法第749条・・・・含む。)の規定による子の監護に関する義務

 ニ 民法第877条から・・・の規定による扶養の義務

滞納している養育費の自己破産手続きにおける取扱い

自己破産の手続きが開始される時点において養育費の未払いがある場合、この未払分については金融機関からの借入れ等と同じように、破産手続上の債権者として扱う必要があります。そして、一般的にはお子さんを監護している元妻(夫)を破産債権者として、破産手続きに加わってもらうことになりますので、元妻(夫)に破産手続きのことを秘密にする、というのは難しくなります。

なお、破産手続きにおいて債権者への配当が行われる場合は、養育費分(破産債権者たる元妻(夫))についても他の債権者と同様に債権額に応じた配当がなされます。そして、滞納している養育費は、免責の対象外となります。

将来的に発生する養育費の自己破産手続きにおける取扱い

自己破産の手続きが開始される時点において支払日が未到来の養育費分については、まだ具体的に発生しているものではありませんので、当然のことながら免責の対象外です。つまり、支払日が到来するごとに支払う必要があります。

養育費の支払いが困難な場合

以上で述べたように、自己破産をしたとしても養育費の支払義務は免責の対象外であるため、自己破産の手続後も約束通り支払っていくことが必要になります。

なお、自己破産を選択したということは、経済状況が悪化しているということも考えられます。この場合、家庭裁判所に「養育費減額調停」の申立てをすることで、養育費の減額が認められる可能性がないわけではありません

もっとも、「経済状況が悪化した」ということだけで当然に減額が認められる訳ではありません。どのような場合に減額が認められるかについては、自己破産の相談とあわせて弁護士へ相談してみることをおススメします。

【支払う側】破産手続中に、養育費の支払いで気を付けること

養育費の支払いが免責の対象外であることは前述の通りですが、ここでは、自己破産の手続中に養育費を支払うにあたって注意すべき点などを解説します。

滞納していた分を、自己破産手続中に支払うのはNG

自己破産の手続きにおいては、債権者は債権額に応じて平等に扱わなければならない「債権者平等」という原則があります。このため、一部の債権者のみ返済をすることは禁止されており、原則として未払いの養育費であっても破産手続中に支払うことは禁止です。つまり、支払いは免除にならないが、破産手続中の支払いは禁止されているので、破産手続後に支払うということになります。

もっとも、養育費を受け取る側に差し迫った事情があるなど、いますぐに未払分の養育費を支払わなければならないときには例外が認められる可能性もあります。そういった事情がある場合には、自己破産の手続きを依頼した弁護士へ事前に相談をしましょう。

将来的に発生していく養育費の支払いはOK

自己破産の手続きが開始される時点において未到来であった分の支払日が到来した場合は、その都度支払いをしても問題ありません。むしろ、遅れずに支払いましょう。万が一支払いが厳しい場合には、相手方(元妻(夫)に相談したり、前述の「養育費減額調停」の申立てを検討しましょう。

公正証書などがあると、破産手続中でも滞納養育費分での差押えはあり得る

養育費の支払いについて裁判所における手続きや「公正証書」(※)で定めをしている場合、養育費の未払分があると、破産手続中であったとしても給料の差押えなど強制執行が可能です。

予期せぬ強制執行があると、自己破産の手続き進行に支障をきたさないとも限りませんので、養育費の支払い約束があるかどうか裁判上の手続きや公正証書で定めたか、こういったことは自己破産の手続きを依頼した弁護士へ必ず申告するようにしましょう。

※公正証書…契約の成立や一定の事実など、一定事項について公証人が書証として作成し、内容を証明する書類のこと

【受け取る側】破産をしても、養育費を受け取る権利はなくならない

養育費の支払いで争う

ここでは、養育費を「受け取る」側が自己破産の手続きをした場合でも養育費の受取りができるのか否かなどを解説します。

自己破産をしても養育費を受け取る権利はなくならない

自己破産をしたとしても、原則として養育費を受け取る権利はなくならず、自己破産の手続中も、手続きが終わった後も、養育費を受け取り続けることができます。

ただし、未受領の養育費がある場合には注意が必要です。

自己破産の手続きが開始された時点において、(支払期限が到来済みの)未受領の養育費があると、この分は裁判所に没収される財産の対象となります。詳しくは以下をご参照下さい。

支払期限到来済みの未受領養育費は裁判所に没収される

前述の通り、自己破産の手続きが開始された時点で支払期限が到来している(未受領の)養育費の支払いを請求する権利は、原則として破産財団を構成する(=裁判所に没収される)ことになります。

つまり、この未受領分については、原則として相手方(元夫(妻))から受け取ることができません。もっとも、お子さんの養育を含めた生活を送るうえで、その養育費が生活上欠かすことができない場合などに例外が認められる(未受領分の養育費を受け取れる)こともあり得ます。このため、この辺については、自己破産の手続きを依頼した弁護士とよく協議をして自己破産の手続きにのぞみましょう。

なお、裁判所に没収された財産は、原則として破産管財人(※)によって債権者への配当のためのお金とされます。

※破産管財人…破産手続きにおいて、裁判所から選任されて、中立公正な立場から破産財団の属する財産の管理及び処分をする権利を有する者。

<column> ~養育費を請求する権利は誰のものか?~

前述のように、「未払いの養育費については原則として破産財団を構成する」というのが現状の自己破産の手続上の運用となっているのですが、これは前提として養育費を請求する権利が「監護親から非監護親に対する父母間の財産的請求権」であるという考え方に立っているからだと言われています。

しかし、その一方で、両親が離婚をしても、父母の子に対する扶養義務が消滅するわけではないことから、養育費については「子の非監護親に対する扶養請求権」であるという考え方もあります。

この辺りについては、「養育費が単に離婚後の父母間の金銭的な問題ではなく、子の生活と成長のために極めて重要な権利である」ということを前提に、「養育費は誰の権利なのか」ということを明らかにしようと、国においてもいままさに審議・検討しているところなのです。

審議の結果、「養育費は子の権利」ということが明らかになった場合、破産手続きにおける養育費の取扱いの運用が将来的には現状のものとは変わるといったこともあるかもしれませんね。

◆ 詳細が気になるかたは、以下の法務省のサイトもご参照下さい。
 ⇒「養育費不払い解消に向けた検討会議

 

 

【受け取る側】破産手続中に、養育費の受け取りで気を付けること

ポイント

養育費の支払いを受ける側が自己破産をした場合に、養育費を受領するにあたって気を付けるべきポイントを解説します。

未受領の養育費がある場合の注意点

相手方からの支払いが見込める場合

前述の通り、手続開始時点において未受領の養育費は、原則として破産財団を構成することになります。もし相手方(元夫(妻))が何らかの事情で未払い分を支払ってくれるという話になったら、すぐに自己破産手続きを依頼した弁護士へ相談しましょう。

未受領分を受け取って、それを使い込んでしまったとなると、自己破産の手続きにおいて問題視される(財産棄損行為として不利益な扱いを受ける)場合もありますので注意が必要です。

相手方からの支払いが見込めない場合

未受領分の養育費について、相手方(元夫(妻))からの支払いが見込めない場合には、未受領の養育費が破産財団を構成することが原則である以上は、なぜ支払いが見込めないのかを明らかにする必要があります。

例えば、支払いが見込めない原因が相手方の経済的事情にある場合には、相手方の所得を明らかにする資料や、毎月の収支を明らかにするなどといった方法があります。しかしながら、これらは相手方の協力が得られることが前提となってしまいますので、協力が得られない場合には原則として破産管財人による調査が行われることになります。

継続的に養育費の支払いを受け取っている場合の注意点

これまで未受領なく養育費を受け取っている場合でも、念のため注意が必要です。

多くの場合、養育費を銀行預金口座等への振込みで受領しているのではないかと思います。養育費を受け取る権利はなくなりませんが、銀行口座に振り込まれた養育費はあくまで「預金」です。自己破産の手続きにおいては、預金については一定限度しか手元に残すことができませんが、その一定限度は裁判所の運用によって金額が異なります。自己破産を依頼した弁護士とよく協議したうえで、預金から引き出すなどの対応をしましょう。

法律事務所MIRAIOでの債務整理をおススメする3つの理由

弁護士が説明

法律事務所MIRAIOでは、創業以来約20年に渡って、「とにかく周りにバレたくない」「弁護士費用が支払えるか不安だ」などの数々のご相談者様のお声をいただいてきました。こういったお声をもとに築き上げてきた実績がありますので、法律事務所MIRAIOでは以下のようなご相談者様ひとりひとりに寄り添った対応が可能なのです。

おススメする理由①

ご依頼者様一人一人の状況に応じた丁寧な対応が可能

借金問題は非常にセンシティブな問題であり、ご家族に内密にする場合などにはご依頼者様の状況に応じたきめ細やかな対応が重要になってきます。当事務所からご依頼者様への連絡1つをとっても、連絡の時間帯・連絡手段など、ご家族へ内密にするためには細かな点にまで配慮が必要です。

この点、法律事務所MIRAIOでは、債務整理の相談実績27万件超に基づく経験豊富な弁護士や事務員が多数在籍するのみならず、IT技術を用いた所内システムにより情報の一元化を図っています。このため、ご依頼者様一人一人の生活状況に応じた臨機応変な対応が可能です。

おススメする理由②

相談実績の中で培われた豊富なノウハウがある

破産や個人再生の手続きは、地方裁判所ごとにその独自の運用があることが多く、その運用に応じた提出書類や財産基準の捉え方が必要になってきます。これは、いかに法律を詳しく知っていようがなんとかなるものではなく、実際に裁判所とのやりとりなどを経た経験がものをいいます。

この点、法律事務所MIRAIOでは、債務整理の相談実績27万件超の中で培ってきた数々の経験から、各裁判所から求められる提出書類、裁判所が捉える財産基準等といった傾向を蓄積・分析したノウハウがあります。この経験があるからこそ、ご依頼者様に想定外のご負担をおかけする可能性を極めて低くすることができます

おススメする理由③

相談無料,弁護士費用は分割払いも可

法律事務所MIRAIOでは、借金に関するご相談については何回でも相談料は無料ですので、ご納得いただくまで弁護士とお話しいただき、そのうえで正式にご依頼いただくことが可能です。

また、費用のお支払いについては、ご依頼者様の生活状況に合わせた分割払いを承ります。「今はまとまったお金を準備するのが難しい…」と不安な方も、安心してご依頼いただくことが可能です。

POINT

MIRAIOであれば、総合的なサポートが可能です

いかがでしたでしょうか。
破産手続きにおいて養育費がどのように扱われているかをご理解いただくことができたのではないでしょうか。法律事務所MIRAIOでは、債務整理に限らず、養育費の未払回収についても経験豊富な弁護士・スタッフが多数在籍していますので、まずはお気軽にご相談下さい。