建物の賃貸人が、賃貸借契約の更新拒絶や解約申し入れをするには、「正当な事由」がなければ認められません。
正当な事由の有無を判断するには、次のような事情が考慮されます。

①建物の賃貸人・賃借人が建物の使用を必要とする事情
賃貸人、賃借人の双方について、建物に居住する必要性、建物で営業する必要性などが考慮されます。

②建物の賃貸借に関する従前（これまで）の経過
家賃や更新料などの支払い状況、契約期間、家賃の相当性、契約締結時の事情などが考慮されます。

③建物の利用状況
建物の種類、用途、構造、規模、土地利用の程度、建築基準法適合性などが考慮されます。

④建物の現況
老朽化により建て替えの必要性があるかどうか、などが考慮されます。

⑤建物の賃貸人が申し出た立退料など
立退料や代わりの建物の提供など、明渡しの対価の有無や金額などが考慮されます。

なお、賃貸人が契約更新を拒絶するには、期間満了の1年前から6か月前までに賃借人に通知する必要があります。